ホーム > 広報活動 > プレスリリース > わが国の脳卒中医療の実像を世界に紹介― 疫学、再開通療法、国産薬最新治療、対策基本法など ―

わが国の脳卒中医療の実像を世界に紹介― 疫学、再開通療法、国産薬最新治療、対策基本法など ―

2019年8月8日
国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)の豊田一則副院長、古賀政利脳血管内科部長、井上学脳卒中集中治療科医長が、近年急速な変容を遂げるわが国の脳卒中医療、脳卒中研究の現状を、英文総説に纏めました。海外の医師や研究者にわが国での医療実態を正しく紹介して、今後の円滑な国際連携を目指すものです。この総説論文は、米国心臓協会の医学専門誌「Journal of the American Heart Association」オンライン版に2019年8月9日午前5時(現地時間)に掲載予定です。

論文の概要

わが国では、2005年の急性期脳梗塞rt-PA静注療法の承認、2014年の新規ステント型デバイスによる急性期脳梗塞カテーテル治療(血栓回収療法:rt-PA静注療法と併せて急性再開通療法と呼ばれます)の承認などを契機に、国内の脳卒中医療体制を整備し、より良い治療の開発と実践に全国の医師が取り組んできました。また、2018年12月にいわゆる脳卒中・循環器病対策基本法が成立しました。脳卒中や心臓血管病の診療向上を目的とした法律は世界的にも珍しく、とくに脳卒中と心臓血管病をセットにして法制化したことは、国循がこの2疾患を分離せずに診療・研究を行うナショナルセンターであることと同様に、わが国の特徴です。
今回の総説では、基本法の紹介を端緒に、わが国の脳卒中の疫学(発症頻度など)、病態の特徴、急性再開通療法の現状やこの治療に合わせた医療システムの整備、さらには国産薬にこだわった脳卒中薬物療法の紹介などを、海外の読者が興味深く読めるように工夫して執筆しました。もちろん日本の読者にも、役に立つと信じています。また日本の脳卒中実像を視覚に訴えるよう多くの図表を用いました。ここでは1例として、日本脳卒中データバンクの20年近い臨床データ蓄積に基づく、脳梗塞患者と脳出血患者の発症時年齢分布を示します。上段(脳梗塞)、下段(脳出血)とも、左図では男女別に年齢分布を棒グラフで表しました。男性は脳梗塞が70歳代前半、脳出血が60歳代前半でピークを迎え、女性はどちらも80歳代前半でピークを迎えています。また右図は患者数が均等になるよう調査期間を3~6年ごとに分けた時の発症時年齢の中央値の推移を示しています。年齢中央値がじわじわと高くなってゆくのが分かります。このように脳卒中発症年齢の高齢化が際立つのも、世界の最長寿国である日本ならではの特徴です。
わが国の脳卒中医療は少しずつ、しかし確実に進歩してきました。この進歩の積み重ねが脳卒中医療の大きな飛躍につながると期待しています。

<論文情報>
Small but steady steps in stroke medicine in Japan
Toyoda K, Inoue M, Koga M: Journal of the American Heart Association 2019


<図> わが国の脳梗塞患者と脳出血患者の年齢分布:日本脳卒中データバンクより

ページ上部へ