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循環器疾患の発症リスクの予測や重篤化防止のため、人工知能(AI)を用いるプロジェクトを開始

2017年4月24日

国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)は、循環器疾患の発症リスクの予測や重篤化を防止する健康改善、治療モデルの構築に向け、膨大な様々な形式のデータをデータベース化し、人工知能(AI)を用いて解析、予測するプロジェクトを開始いたしました。
データベース化に関しては日本アイ・ビー・エム株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:エリー・キーナン、以下「日本IBM」とします)の協力を得て実施いたします。

背景

高齢化が世界に例をみない速度で進む我が国において、脳卒中、心筋梗塞を中心とする心脳血管疾患は、日本人の死因の25.5%を占め、国民医療費の約20%を循環器病が占めています(がんは13%)。更に急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症・冠動突然死)はいまだ死亡率が高く、個人の生活の質を損なうだけでなく社会負担を著しく増加させることが知られており、平成20年の厚生労働省調査では、心筋梗塞・狭心症の患者数は80万人強と報告されています。更に高齢者医療費の最大の原因である脳卒中の患者数は今後も更に増加し、2020年には300万人に達すると予想されています。
このような状況のもとで、心脳血管疾患発症や重篤化のリスクを正確に予測し、適切なタイミングで適切な健康指導や治療を実施できるようにするためには、その症状や治療内容を正確に把握する必要がありますが、症状などは電子カルテなどに自由記述されているケースが多く、従来の技術ではデータベース化が困難でした。

研究手法と成果

日本IBMとの取り組みにより、IBM Watson Explorerを用いておよそ1500人分の患者の電子カルテの記載から、胸痛、夜間発作性呼吸困難などの症状を自動的に抽出するロジックを確立しました。従来からあるGRACEスコアなどの心臓病の予後予測スコアに加えることで、心脳血管疾患の二次発症の予測能の向上が可能であることを、本年3月の日本循環器学会(金沢)において一部報告を行っております。

今後の展望と課題

心脳血管疾患発症や重篤化のリスクを正確に予測し、適切なタイミングで適切な健康指導や治療を実施できるようにすることは、国民の健康寿命の延伸、医療費抑制の観点から重要であり、国循は国民の健康増進のためイノベーション創出に向けた取組みを進めていきます。
なお、本研究は、日本医療研究開発機構研究費(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業)「循環器疾患の発症予測・重症化予測に基づいた診療体系に関する研究」(研究代表者:安田聡(国立循環器病研究センター副院長))にて行われました。

※IBM Watson は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporation の商標です。

最終更新日 2017年04月24日

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