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JROAD―DPCデータにおける急性心筋梗塞および心不全診断の妥当性の検討

令和3年3月12日
国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、略称:国循)OIC循環器病統合情報センターの中井陸運室長らの研究チームは、診療群分類包括評価(DPC)データの診断妥当性に関して5医療機関の臨床データを基に検証を行いました。本研究成果は、日本循環器学会の専門誌「Circulation Reports」で2021年2月20日に早期オンライン公開されました。

背景

近年、DPCデータはビックデータの1つとして多くの分析が行われていますが、その診断に関して臨床データを用いての妥当性の検証が十分にされていません。本研究では、循環器疾患診療実態調査(The Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases (JROAD))のDPCデータを用いて5機関(熊本大学、奈良医科大学、国立循環器病研究センター、横浜市立大学、札幌医科大学)で急性心筋梗塞と心不全における臨床データとの診断一致率の検証を行いました。
データ期間は2012年度・2013年度のどちらか1年または2年のデータを使用し、病名の選別には国際疾病分類第10版(ICD-10)で病名・入院契機病名・医療資源最大病名の中で、急性心筋梗塞はI21・心不全はI50であった症例を対象としました。また、急性心不全は、医療資源最大病名がI50かつ病名付加コードが「急性心不全または慢性心不全急性増悪」の症例と定義しました。臨床データにおける病名は、各施設の循環器専門医がカルテ情報を参照し診断を行いました。

成果

臨床データにおける急性心筋梗塞の症例は741症例・心不全の症例は933症例でありました。ICD10コードのみでの急性心筋梗塞の感度(95%信頼区間)・陽性的中率(95%信頼区間)(注1)は78.9(78.3-79.6)%・78.8(78.2-79.5)%でした。また、治療による入院のみ・救急医療入院のみを条件として加えると、陽性的中率が上昇しました。同じく、心不全のICD10コードのみの感度(95%信頼区間)・陽性的中率(95%信頼区間)は、84.7(84.0-85.3)%・57.0(56.1-57.9)%であり、これらも条件を加える事で陽性的中率が上昇しました。さらに、急性心不全では、感度は低くなるものの陽性的中率が高まる事が示されました(表1)

今後の展望

ICD10コードのみならず、条件を加える事でDPCデータの診断一致率が向上する事が示されました。本研究の成果は、今後のDPCデータを用いた臨床研究解析データ作成のガイドラインの一環となる事が期待されます。

発表論文情報

著者: Michikazu Nakai, Yoshitaka Iwanaga, Yoko Sumita, , et al
題名: Validation of Acute Myocardial Infarction and Heart Failure Diagnoses in Hospitalized Patients With the Nationwide Claim-Based JROAD-DPC Database
掲載誌: Circulation Reports
DOI: https://doi.org/10.1253/circrep.CR-21-0004

謝辞

本研究は、AMED(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業「全国的レジストリーによる脳卒中および循環器疾患の実態把握の確立と両疾患合併に関する包括的診療実態解明に関する研究」)、国立研究開発法人国立循環器病研究センター(「循環器病研究開発費: 循環器疾患診療実態調査(JROAD)におけるJROAD- DPCと臨床データのValidationに関する研究」)より資金的支援を受け実施されました。

<注釈>

注釈1:本研究における感度とは「臨床データで疾患症状をお持ちの患者の中で、DPCデータでも同様に疾患症状を持っていた患者」の割合を示し、陽性的中率とは「DPCデータで疾患症状をお持ちの患者の中で、実際に疾患症状を持っていた患者」の割合を示す。

<表>

表1:疾患診断基準別における解析結果

最終更新日 2021年03月12日

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