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認知症患者の行方不明や行方不明後の死亡とそれらの関連因子: 日本でのエコロジカル研究

令和2年6月30日
国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)の西村邦宏予防医学・疫学情報部長、竹上未紗 EBM・リスク情報解析室長、村田峻輔 派遣研修生(日本学術振興会特別研究員PD)らの研究チームは、日本における認知症の行方不明発生率と行方不明後の死亡率を推計し、認知症の行方不明は人口集中地域ほど起こりやすく、一方で行方不明後の死亡は人口集中地域ほど少ないことを示しました。本研究成果は日本疫学会が発行する学術雑誌「Journal of Epidemiology」に令和2年6月27日付で掲載されました。

背景

認知症患者の増加に伴い、認知症患者の行方不明の発生件数も増加しています。認知症の行方不明は本人が困るのみならず、家族にも大きな負担となります。加えて、認知症患者の行方不明後の電車との接触事故が訴訟問題となるなど社会的にも問題となっています。しかし、認知症の行方不明発生率、その後の死亡率は報告されていませんでした。また、日本での地域差やどのような要因と関連しているのかは明らかとなっていませんでした。

研究方法と成果

都道府県ごとに集計されたデータを用いて分析しました。認知症の行方不明の発生、およびその後の死亡と関連する要因については、人口集中地区人口割合や人口10万人当たりの保健師数などとの関連を分析しました。
分析の結果、40歳以上での認知症の行方不明発生率は、10万人年あたり21.7,行方不明後の死亡率は10万人年あたり0.652でした。認知症の行方不明は人口が集中している都道府県(都会)ほど起こりやすく、一方で行方不明後の死亡は人口が集中している都道府県(都会)は少ないことを示しました(図1)。また、認知症の行方不明は保健師の数が多い都道府県、介護福祉施設の多い都道府県ほど起こりにくいことが明らかとなりました(図1)。
本研究の結果は、認知症の行方不明発生やその後の死亡を予防・予測するのに役立つ可能性があります。

今後の展望と課題

本研究は地域ごとに集計されたデータを用いた分析(エコロジカル研究)であり、分析手法に限界があります。今後は、個人単位ごとのデータを用いたより詳細な分析が必要です。

発表論文情報

著者:Shunsuke Murata, Misa Takegami, Daisuke Onozuka, Yuriko Nakaoku, Akihito Hagihara, Kunihiro Nishimura
題名:Incidence and mortality of dementia-related missing and their associated factors: An ecological study in Japan
掲載誌:Journal of Epidemiology

謝辞

本研究は、下記機関より資金的支援を受け実施されました。
大阪ガス福祉財団「調査・研究助成」

<図表>
図1.
認知症の行方不明発生率と介護福祉施設数の関係(左上)
認知症の行方不明発生率と保健師数の関係(右上)
認知症の行方不明発生率と人口集中地区人口割合の関係(左下)
認知症の行方不明後の死亡率と人口集中地区人口割合の関係(右下)

〈参考〉
(図)
40歳以上での10万人年当たりの認知症の行方不明発生率(左)と行方不明後の死亡率(右)

最終更新日 2020年6月30日

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