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慢性心不全と癌の間に強い相関関係を認める
~慢性心不全と癌の関連性についての観察研究を発表~

2017年4月7日

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)臨床研究部の坂本真里医師、北風政史部長、データサイエンス部の濱崎俊光部長らの研究チームは、慢性心不全患者における癌の既往・罹患率・発症・種別などを観察することで、慢性心不全と癌の間に強い相関関係を認めることを明らかにしました。本研究成果は、日本高血圧学会学会誌「Hypertension Research」に2017年4月6日(日本時間)に掲載されました。

背景

心疾患と癌は、いずれも先進諸国において比較的頻度の高い主要な死因です。日本でも、2015年の厚生労働省の発表によると、死因の第一位は悪性新生物(癌、死亡総数に占める割合28.7%)、第二位が心疾患(15.2%、うち心不全は5.6%)となっています。心疾患の共通した終末像として知られる慢性心不全では、様々な神経・体液・免疫調節性因子の活性が増加しており、それらが癌の発症や進行に関与する可能性が考えられます。米国でも、慢性心不全患者では癌のリスクが継時的に増加することが報告されており、慢性心不全患者における癌のサーベイランスの重要性も提唱されています(Journal of the American College of Cardiology, 2013;62:881-6)。

研究手法と成果

そこで、坂本医師らの研究チームは、2001年から2013年の間に国立循環器病研究センター病院に心不全で入院した患者約5200名について、診療録(カルテ)から情報を抽出することで、癌の既往・発症・罹患期間・種別などを観察し、国立がん研究センターがん対策情報センターが公開している全国がん罹患モニタリング集計2008年罹患数・率報告を対照(コントロール)として比較・検討を行いました。その結果、慢性心不全患者における癌の罹患率は、全国集計より約4倍高いことが明らかとなりました(表・図)。このうちの約半分は、心不全の診断のあと癌が発見されています。これは、慢性心不全の病態生理と癌の間に強い相関関係・因果関係があることを示しています。

今後の展望と課題

本研究では、慢性心不全と癌の間に相関関係があることが明らかとなりました。今後、慢性心不全患者について、癌にも罹患する確率がある程度高いことを念頭において診療に当たることが望ましいと言えます。しかしそのような患者に癌のスクリーニングを施すことで、慢性心不全患者さんの生命予後の改善があるかどうかを検証することは、医療における費用対効果の点からも、今後の課題であると言えます。今後は、前向き観察研究を行う必要があると考えております。

表. 心不全患者における癌の罹患率

図:癌の罹患率(直接法にて年齢・性別をマッチングした後の比較)

最終更新日 2017年04月07日

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