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臨床研究・治験の質の向上を目指した生物統計家育成

~OJT型・PBL型の研修プログラムの開発と展開~

平成28年10月11日

国立循環器病研究センター(略称:国循)は、京都大学を中核とする臨床試験の専門家としての「生物統計家(注1)」の育成支援事業において、京都大学医学部附属病院とともに、先進医療臨床試験や医師主導治験を題材にしたOJT型(注2)・PBL型(注3)の研修を開発・展開する代表病院の役割を担うことが決定いたしました。本件については、2016年10月4日、日本医療研究開発機構(AMED)及び京都大学により発表されました。

背景

質の高い臨床試験・治験を実施するためには、生物統計家が初期段階から最終段階まで関与することが重要です。しかし、わが国では生物統計家の人材が不足しており、臨床研究実施の遅れや研究不正につながっていると指摘されています。このため、実務家としての生物統計家を育成し臨床研究実施機関に送り出すことは喫緊の課題とされていました。
AMEDは問題解決のために、日本製薬工業協会の協力のもと、臨床試験における実務家として高度な専門的知識と技術、科学的客観性および倫理性を有する生物統計家を、座学及び臨床現場での臨床研究実地研修を通じて育成することを目的として「生物統計家育成支援事業(以下、「本事業」)」を平成28年7月に公募しました。本事業では東京大学大学院と京都大学大学院が人材育成拠点として選定され、今後は両者が中核となり、平成28年度から平成32年度まで生物統計家の人材育成プログラムが開発・展開されます。

今後の取組・展望

本事業では、平成29年8月に入試を行い、平成30年4月から学生の受け入れを開始、平成32年から専門職学位(Master of Public Health)を取得する学生を各年10名以上育成するとともに、学生はそれぞれの育成拠点でのキャリアパス支援等により、即戦力として臨床研究を行う全国の臨床研究中核病院などに配属され、臨床試験の質の向上に寄与することが期待されています。
国循は、わが国唯一の循環器病を専門とするナショナルセンターとして、循環器領域の臨床試験に関する研修カリキュラムを開発し、実地研修を行います。特に国循が中心となり構築した、わが国の脳卒中に関連する臨床試験ネットワーク「脳卒中臨床試験基盤整備事業(NeCST)」と連携することで、NeCSTが米国NIH Stroke Networkと共同で実施する国際共同臨床試験を通して国内外の生物統計家、医師、データマネージャー及びその他の臨床試験支援者と交流することが可能になります。このような交流により問題認識力・理解力・応用力の醸成、国際コミュニケーション能力の形成、変化する問題に対する柔軟性の修養を目指す研修プログラムを開発し、若国の高い水準の医療を世界に発信できる次世代の生物統計家を育成することを目指します。

(注1)生物統計家
臨床試験・治験において、統計的な観点から適切なデザインを選択し、デザインに対応した解析計画を立案し、得られたデータを解析し,結果を解釈する専門家。研究の適切な実施計画設計や研究計画書(プロトコル)の作成、データ解析や報告書作成など研究の初期段階から最終段階まで関わることで、試験の質を向上させることができる。
画期的な医療技術の開発には臨床試験が不可欠であり、欧米では研究の初期段階から生物統計家が関与することがスタンダードになっている。しかし、わが国では高度な知識・技術を有した生物統計家が不足しており、研究の企画・立案から解析、各種書類作成まで全て医師や研究者が担っていることが、臨床試験が進まない一因となっている。

(注2)OJT型研修
On the Job Training(実務を通した教育)の略。実務経験の積み重ねにより業務スキルを向上させる手法。

(注3)PBL型研修
Problem-Based Learning(課題解決型学習)の略。与えられた、もしくは自ら設定した課題をチームで解決する中で様々な学びにつなげる手法。

最終更新日 2016年10月12日

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