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MRIを用いた不整脈の治療効果の可視化

目に見えない電気信号異常の治療効果が見えることで治療成績向上に期待

平成28年8月5日

国立循環器病研究センター(略称:国循)不整脈科の宮本康二医師、草野研吾部長、放射線科の森田佳明医師らの研究チームは、MRIを用いることにより不整脈に対するカテーテル治療の成果を視覚的に評価することに成功し、その技術を用いて多施設での臨床研究を開始しました。本研究の内容は、科学誌「Journal of arrhythmia」に平成28年7月29日(日本時間)に掲載されました。

背景

不整脈は、心臓の中の電気信号に異常が生じている状態をいいます。不整脈に対するカテーテル治療件数は年々増加しているものの、目で見ることのできない電気信号に対する治療であるため、その治療効果を視覚的に判定することは困難でした。
不整脈の一種である心房細動については日本国内の推定患者数は約170万人といわれていますが高齢化に伴い患者数は増加すると考えられており、治療成績と安全性の向上は不可欠となります。そのため、心房細動に対するカテーテル治療の効果を非侵襲的に視覚的に認識する方法が求められています。

研究手法と成果

研究チームは、造影剤を用いて病変部分を映し出す「遅延造影効果」を応用し、当センターで心房細動に対するクライオバルーンによるカテーテルアブレーション治療(バルーン型のカテーテルに冷気を送り込み、電気信号の異常が起こっている部位を一括で冷却することによる治療方法)を実施した患者の心臓をMRIで撮影しました。その結果、アブレーションを行った肺静脈周囲に遅延造影効果を認め、治療効果を可視化することに成功しました(図)。本技術を用い、2015年12月に多施設での臨床研究を開始しました。

今後の展望

MRIの遅延造影効果を利用した心房細動治療効果の可視化については、多施設共同研究により症例数を増やし、画像データの集積及び分析により治療成績や安全性の向上が期待できます。今後は、心房細動に限らず他の不整脈に対しても同様に治療の結果を可視化させ、不整脈全体について治療の有効性・安全性を向上させることが課題となります。


(図)遅延造影効果を応用したクライオバルーンによるカテーテルアブレーション治療後のMRI画像
青色の部分が造影された冷却部位で、冷却されていない、もしくは不十分な部位とはっきり区別して確認できる。
治療が完全に行えたかが一目でわかるため治療成績の向上につながり、また医師の教育ツールとしても使用できるため安全性の向上にも寄与すると期待できる。

Mishima, Miyamoto et al. Heart Rhythm Case Reports 2015Mishima, Miyamoto et al. Heart Rhythm Case Reports 2015

最終更新日 2016年08月05日

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