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2型糖尿病患者さんでも隠れ肥満を簡単に判定

2019年12月19日
国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)糖尿病・脂質代謝内科の大畑洋子医師、孫徹医長、細田公則部長らの研究チームは、2型糖尿病患者さんにおいて、簡便に判定できる隠れ肥満が高血圧・脂質異常症の合併と関連していることを発見し、本研究成果はCardiovascular Diabetologyの電子版に2019年10月22日に掲載されました。

背景

一見肥満とは思われなくても、腹腔内に脂肪が蓄積する内臓脂肪蓄積型の肥満は、俗に「隠れ肥満症」と呼ばれることもありますが、体脂肪の蓄積と比べて、より心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患関連していることが報告され、より改善すべき病態と言えます。従来、この「隠れ肥満症」の判定は、腹部CTで臍の位置での内臓脂肪面積を測定することが必要でしたが、近年開発された簡便な内臓脂肪測定機器では、インピーダンス法(注1)を使って簡単に計測ができるようになりました。この検査法は、微量な電流を使用するため、体に余分な水分が溜まっているような状態(心不全や、腹水貯留、むくみなど)では正確に測れません。動脈硬化性疾患を起こしやすい2型糖尿病患者さんにおいても、内臓脂肪蓄積型肥満の有無を調べることは重要ですが、この簡便な機器で調べられるかどうか、これまでよくわかっていませんでした。

研究手法と成果

2011年10月から2012年9月までに糖尿病脂質代謝内科へ入院され、腹部CTとインピーダンス法で内臓脂肪測定を行った患者さん98名(男性73名、女性25名)について解析しました。 CTによる内臓脂肪面積とインピーダンス法による内臓脂肪面積の関連を検討したところ、体に余分な水分の貯留が疑われる、BNP100pg/ml以上の患者さんでは、CTに比べてインピーダンス法の内臓脂肪は低値となっていました。水分の貯留がインピーダンス法に影響を及ぼしている可能性が考えられましたので、このような患者さんを除いて、CTによる内臓脂肪面積とインピーダンス法による内臓脂肪面積の関係を解析したところ、高い相関関係があり、両者は同じように内臓脂肪面積を測定出来ていました(図1)。次に、高血圧・脂質異常症(注2)の合併との関連をみたところ、この二つの方法による内臓脂肪面積は、同じように高血圧と脂質異常症の合併と関連していました(図2)。

これらにより、2型糖尿病患者さんにおいて、インピーダンス法はCTと同様に内臓脂肪蓄積型の肥満の有無を調べられることが明らかになりました。

今後の展望・課題

インピーダンス法によって測定した内臓脂肪面積が、将来の動脈硬化性疾患の発症を予想できるかどうか、今後も検討を続けていきたいと思います。隠れ肥満をコントロールすることで、その後の脳梗塞や心筋梗塞などの病気の発症がどの程度予防できるか、新たな知見につながると考えられます。


〈注釈〉
(注1)体内に微弱な電流を流して電気抵抗を測定し、脂肪の割合を算定する方法。
(注2)高血圧(140/90mmHg以上、もしくは降圧薬内服中)、脂質異常症(中性脂肪150mg/dl以上もしくはHDL-コレステロール40㎎/dl未満もしくは脂質降下薬内服中)と定義しました。

〈図〉
図1 CT法による内臓脂肪面積とインピーダンス法による内臓脂肪面積の関係

CT法とインピーダンス法による内臓脂肪面積は高い相関関係が認められました。

CT法による内臓脂肪面積とインピーダンス法による内臓脂肪面積の関係

図2 高血圧・脂質異常症の合併有無に関するROC曲線

内臓脂肪面積(インピーダンス法)は、内臓脂肪面積(CT法)と同じように、動脈硬化疾患のリスク因子である高血圧と脂質異常症の合併と関連していました。

高血圧・脂質異常症の合併有無に関するROC曲線

最終更新日 2019年12月19日

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