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中学生への脳卒中啓発が保護者にも効果があることが明らかに~若年層をターゲットとした新たな脳卒中啓発手法への期待~

平成27年1月8日

 国立循環器病研究センター(略称:国循)脳血管内科の横田千晶医長らの研究チームは、中学生を対象とした脳卒中啓発により、生徒のみならずその保護者にも啓発効果があることを明らかにしました。本研究の成果は、専門誌Strokeオンライン版に平成27年1月6日(日本時間)に掲載されました。

 脳卒中発症予防と後遺症軽減のためには、生活習慣是正、脳卒中知識の習得、脳卒中発症時の適切な対処法の普及が重要です。特に脳卒中発症後の治療開始時間短縮化のためには脳卒中発症後の病院受診までの時間を最小限にしなければならず、そのためには「脳卒中発症に気付くこと」と「脳卒中発症時の適切な対処法」が周知されていることが極めて重要なポイントです。従来、こうした啓発は、成人に対して行われてきており、若年層をターゲットとした啓発手法は未だ確立されていませんでした。

 横田医長らは平成22年度より循環器病研究開発費「小中学生を対象とした脳卒中啓発手法の確立に関する研究(主任研究者:当センター副院長 峰松一夫)」により、京都精華大学マンガ学部と「FAST」を用いたポスター、マンガ冊子、アニメの教材を共同開発し、小中学生を対象とした脳卒中啓発活動を開始しました。「FAST」とは、「顔面麻痺(FACE)」「片腕の麻痺(ARM)」「ことばの障害(SPEECH)」の3つの徴候のうち1つでもあれば、「発症時刻(TIME)」を確認してすぐ救急車を要請するというメッセージであり、海外での脳卒中啓発活動で用いられています。本研究では、脳卒中死亡率が高い栃木県の9つの公立中学生1127人(13~15歳)を対象とし、脳卒中授業の1週間前から脳卒中啓発ポスターを教室に貼り、脳卒中授業は、本研究スタッフ医師による講習を受講した脳卒中を専門としない医療関係者(公衆衛生医師、看護師等)による20分間の脳卒中知識の解説、10分間の脳卒中アニメ視聴、10分間の脳卒中マンガ冊子の供覧を行いました。生徒には、マンガ冊子を自宅に持ち帰りその内容を保護者に伝えるよう指示しました。啓発介入前後に脳卒中に関する生徒と保護者の理解度のアンケート調査を行った結果、生徒のみならず保護者にも脳卒中危険因子、脳卒中症状、脳卒中発症時の適切な対応に関する知識の向上、特にFASTの理解が確認されました(図1、2)。

 本研究により、若年層をターゲットとした脳卒中啓発は、対象である生徒のみならず、生徒を介して保護者にも啓発効果があることが明らかとなりました。さらに、適切な啓発教材を用いれば、脳卒中専門の医療従事者に限らず一般の学校教師や救急隊員による更なる脳卒中啓発普及の展開の可能性も示されました。今後は脳卒中啓発教材の各外国語への翻訳を進め、海外への脳卒中啓発手法の発信とその効果の検証も計画しています。

(図1)生徒における回答結果
脳卒中授業を受けた生徒に、脳卒中前後に脳卒中知識を問うアンケートを実施した結果、授業後は脳卒中症状や発症時の対処法、脳卒中危険因子に関する正答率が有意に上昇した。特に、FASTにあてはまる項目「顔面麻痺」「呂律困難」「片麻痺」については90%前後の生徒が正答した。

(図2)保護者における回答結果
生徒が授業を受けた前後に保護者にも啓発前後でアンケートを実施した結果、生徒への啓発後は保護者の脳卒中知識に関する正答率が有意に上昇した。特に、FASTにあてはまる項目「顔面麻痺」「呂律困難」「片麻痺」については80%以上の保護者が正答した。

最終更新日 2015年01月08日

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