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入院時の高血糖が、急性心筋梗塞に伴う急性腎障害の合併を予測する簡便なバイオマーカーとなり得ることを示唆

平成26年5月26日

国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)心臓血管内科部門の石原部長らの研究チームは、入院時の高血糖が急性心筋梗塞に伴う急性腎障害の合併を予測する簡便なバイオマーカーとなり得ることを明らかにしました。本研究成果は専門誌「Circulation Journal」に平成26年5月23日付で掲載されました。

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成22年1年間の死亡総数のうち、心疾患は18万9,360人で15.8パーセントを占め、悪性新生物(がん)に続き第2位、このうち急性心筋梗塞が4万2,629人に及び、致死的疾患といえます。心臓の機能と腎臓の機能には本来緊密な関係があり,心臓が悪くなると腎臓にもその影響が及び、腎臓が悪くなると心臓も大きく影響を受けることが知られています(心腎連関)。これまで、急性心筋梗塞にどの程度急性腎障害(AKI)を合併するのか、また、どのような症例が急性腎障害に陥り予後はどうなのかということは重要なテーマでしたが、これまで十分な検討がなされていませんでした。

今回、2007年1月から2012年6月までの間、国循に発症48時間以内に入院した急性心筋梗塞760例を対象として、後ろ向きに解析しました。急性腎障害はAKIネットワークの定義に従い、腎機能の指標であるクレアチニン(Cr)が任意の48時間以内に0.3 mg/dl以上、あるいは前値の50%以上上昇したものと定義しました。その定義に基づくと96例(13%)で急性腎障害が発生し、急性腎障害を発生したものでは有意に院内死亡率が高いということがわかりました(AKIあり、25% vs AKIなし、3%, p<0.001)。急性腎障害の発生は入院時の血糖値が高いほど高率であり(図1)、入院時血糖値は急性腎障害発生の独立した予測因子であるといえます(血糖値18mg/dlあたり死亡率が10%上昇; OR 1.10, 95% CI 1.03-1.18, p=0.02)。

この解析によって、急性腎障害を合併した急性心筋梗塞患者では有意に院内死亡率が高いことが明らかになり、入院時採血で血糖値が高いことが、急性腎障害合併を予測するマーカーとなることが明かになりました。今後は、急性心筋梗塞患者の血糖値をコントロールすることにより急性腎障害の発生を予防できるかについて、介入研究が期待されます。

(図1)
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最終更新日 2014年06月09日

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