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心筋梗塞に発展するリスクを有する動脈硬化巣を検出する新しい検査手法の臨床応用が可能であることを証明

2014年4月15日

国立循環器病研究センター(略称:国循)と新古賀病院(福岡県久留米市)の共同研究チームは、心筋梗塞に発展する可能性の高い危険な動脈硬化巣である不安定プラークを検出する心臓MRI検査法が臨床応用できることを世界で初めて証明しました。本研究の成果は、専門誌「Journal of American College of Cardiology」に平成26年3月11日付で掲載されました。

急性心筋梗塞や不安定狭心症は、冠動脈血管壁のプラーク(動脈硬化巣)とよばれる塊が突然破綻して血栓を形成し、血管が塞がれることで起こります。この突然破綻しやすい危険なプラークを「不安定プラーク」と呼びます。不安定プラークの検出に現時点では冠動脈CT(コンピューター断層撮影)を使用することが試みられていますが、放射線と造影剤を使用するCT検査は被曝や造影剤の副作用等のデメリットがあるため、より体への負担を軽減した新しい検査法の開発が望まれていました。CTとは対称的に、MRI(核磁気共鳴法)は、放射線や造影剤を使用せずにプラークを撮影できます。これまで、心臓の拍動とともに動きかつ細い冠動脈の撮影は困難でしたが、当研究グループではそれらの課題を克服しました。

本研究では、MRI検査を受けた患者568人を平均4年間以上経過観察し、MRIで描出された冠動脈プラークの特徴を分析しました。今回用いたMRIの技術は、プラーク内出血などプラークの不安定化に重要な変化を白く輝いて描出することができる"非造影T1強調画像法"です。本法を用いれば、不安定プラークに特徴的な出血を含む脂質成分が白く輝いて見えます(図1)。この方法により、この白く輝くプラーク(周囲の心筋に比べ1.4倍以上輝きが強い)を有する患者の心事故(心筋梗塞、不安定心筋症、心臓突然死、ステント治療を要した狭心症)発症の割合は有しない患者よりも高いことが証明されました(図2)。

被曝や副作用の心配が無いMRIで不安定プラークが特定でき、また複数回の検査が容易であることから、今後循環器ドックの項目として採用され、プラークを安定させ得る薬剤の評価等にも応用できるものと期待されます。

<図1>冠動脈プラークをMRIとCTで撮影した画像
AとCは非造影T1強調画像法で撮影したMRI画像
BとDは従来のCTを用いた冠動脈造影
<図1>冠動脈プラークをMRIとCTで撮影した画像
<図1>冠動脈プラークをMRIとCTで撮影した画像
B、Dで認められた冠動脈プラーク(黄色の矢印)は、MRIを用いた非造影T1強調画像で白く輝いて見えます。(A、Cの黄色の矢印部分)PMRとはプラークの輝きの強さを表す指標です。プラーク近辺の心筋の輝きを1とした場合、Aではプラークが心筋の1.91倍、Cでは2.05倍強く輝いています。
<図2>不安定プラークの有無による、心事故発症割合の比較
<図2>不安定プラークの有無による、心事故発症割合の比較
このグラフは横軸がMRI撮影後の経過月数、縦軸が心事故の発生率を表しています。
縦軸の数字が小さいほど心事故が沢山起きていることを意味し、1.0は心事故が一切起こらなかったことを、0.0は全ての患者に心事故が発生したことを示します。
本研究ではPMR1.4以上かつ冠動脈疾患の既往があるケース(赤線)が最も心事故を起こしやすく、36か月(3年)で30%が心事故を発症しています。一方PMR1.4未満かつ冠動脈疾患の既往がないケースでは、72か月(6年)経過しても殆ど心事故は起こっていません(黄線)。更にPMR1.4以上の病変があること(青線)は、冠動脈疾患の既往があること(緑)と同等の心事故発生率であることも明らかになりました。
<参考>不安定プラークについての図式
<参考>不安定プラークについての図式

最終更新日 2014年04月15日

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