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乳児特発性僧帽弁腱索断裂に関する全国実態調査結果について

平成24年4月20日

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)の白石 公 小児循環器部長らによる厚生労働省難治性疾患研究班は、これまで社会的にも医学的にも認知度の低かった「乳児特発性僧帽腱索断裂」に関して、今回初めてとなる全国実態調査を実施し、現在までに88症例の詳細な臨床経過を集計しました。その結果、死亡率が約7%と高いこと、救命し得ても人工弁置換術を余儀なくされる症例や、多臓器に及ぶ重篤な後遺症を残す症例が多いこと、さらに発症が近年増加傾向にあることが分かりました。

乳児特発性僧帽弁腱索断裂とは、生来健康な乳児が突然に心不全によるショック状態に陥り、早期診断と早期治療が行われないと生命の危険にさらされる重篤な疾患です。しかし本疾患は日本人に多く、世界的にみても過去に実態調査はなされておらず、国内外の教科書にも記載がないために、一般小児科医に認知されていません。そのため、未診断の死亡例も含めると実際の発症例は更に多いと考えられるため、早期に診断基準や治療のガイドラインを作成するとともに、病理組織標本を全国的に集計して基礎的な病因研究を行い、早期診断と的確な治療の必要性を啓発する必要があります。

「乳児特発性僧帽弁検索断裂」の臨床的特徴

1)生後4-6ケ月の乳児に好発する。

2)数日の感冒様の前駆症状に続き、突然に僧帽弁腱索(僧帽弁を支持する組織)が断裂する。

3)大量の僧帽弁閉鎖不全により、心拍出量の低下および著しい肺うっ血をきたし、短時間に呼吸困難、顔面蒼白、ショック状態に陥る。

4)早期発見と早期外科治療がなされないと、死亡したり、救命し得ても重度の多臓器障害を残すことがある。患者さんによっては人工弁置換を余儀なくされたり、生涯にわたる抗凝固剤の内服と再弁置換術を必要とすることがある。

1)2000年以降の発症数

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
0 2 7 7 3 4 8 8 12 18 7(〜6月)

2)季節別の発症数

冬期 春期 夏期 秋期
11% 31% 43% 15%

3)予後

総数 死亡 人工弁置換
88例 6.8% 28%

4)現在までの調査研究で考えられる原因

ウイルス性感染、弁の先天異常、川崎病、妊婦の膠原病など

最終更新日 2012年05月09日

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