国立循環器病研究センター

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広報活動

小児用補助人工心臓の治験実施について

平成24年3月30日

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)は、小児用補助人工心臓EXP-01の承認に向けた治験を4月から開始します。

現在、我が国において体重20キロ未満の子供が安全に使える補助人工心臓はなく、早期の実用化が求められています。

背景

小児の心臓移植は、その原因となる疾患が成人とは異なり、心臓の筋肉の病気である拡張型心筋症や拘束型心筋症のみならず、生まれつき心臓や大血管の構造に異常のある先天性心疾患の手術前および手術後の重症心不全、川崎病冠動脈病変による重度の心筋虚血や心筋梗塞、薬剤(とくに抗がん剤)に起因する重症心不全、などが含まれます。18歳未満の小児への心臓移植は、欧米を中心に世界全体で毎年500人前後の重症心不全患者に行われており、移植手術後は、約半数の患者さんが16年間生存するとされています。

平成22年7月に施行された改正臓器移植法に伴い、日本国内でも小児への心臓移植が可能となりましたが、ドナーの数が直ちに増加する可能性はなく、長期の移植待機が必要となることは確実です。しかし、現在我が国においては体重20キロ未満の子供が安全に使うことができる補助人工心臓はなく、早期の実用化が求められています。

治験機器EXP-01はドイツのベルリンハート社が製造販売する小児用、空気圧駆動/拍動型の体外設置型補助人工心臓で、小児に対して長期の補助が可能な補助人工心臓として世界中でひろく普及しています。EXP-01は厚生労働省が設置した「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」により、平成22年3月に早期導入が望まれる医療機器に選定されています。

治験概要

目的

日本人の重症心不全小児患者を対象として、日本の医療環境の下で治験機器EXP-01を心臓移植へのブリッジとして使用する場合の管理可能性を確認することを目的とする。本治験の結果は、安全性及び有効性を確認した国外臨床試験を用いて考察を行い、治験機器EXP-01が移植へのブリッジとして使用できることを示す。

対象

心臓移植へのブリッジとして循環補助を必要とする小児の重症心不全患者を対象とする。対象となる基礎疾患には拡張型心筋症、虚血性心疾患、心筋炎後心筋症、先天性心疾患などが含まれる。

治験実施施設

東京大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、国立循環器病研究センター

治験機器の概要

治験機器EXP-01は、ドイツのベルリンハート社が製造販売する小児用、空気圧駆動/拍動型の体外設置型補助人工心臓である。EXP-01はポンプ、カニューラ、及び駆動/制御装置から構成される。脱血用カニューラを左室心尖部、又は心房に装着し、送血用カニューラを上行大動脈、又は肺動脈へ装着することにより、左心又は右心の補助(ポンプ1台)、及び両心補助(ポンプ2台)を行う。ポンプはドライビングチューブにより駆動/制御装置に接続される。駆動/制御装置の空気圧駆動によりポンプを拍動させ、拍出量を制御することにより心機能を補助する。

最終更新日 2012年03月30日

最終更新日:2021年09月28日

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