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子どもの心臓拍動を調節する 新しいタンパク質の発見

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)研究所の若林繁夫 分子生理部長、西谷(中村)友重 生体膜生理研究室長らの研究グループは、子どもの心臓拍動を調節する新しいタンパク質を発見しました。将来、小児循環器疾患の診断・治療に役立つことが期待されます。また、この遺伝子は心臓の収縮や弛緩に関係するため、心肥大・心不全の診断・治療への効果も期待されます。この成果は7月8日(日本時間)アメリカ心臓協会学会誌Circulation Research 電子版に掲載されます。

【背景】

これまで新生児期などの子どもの心臓は、構造が未発達であることから成人の心臓とは異なる拍動機構をもっており、それらを解明することは小児科領域の循環器疾患治療には必須ですが、未だ不明な点が多くあります。また、ストレスなどにより引き起こされる心肥大の発症機構についても全貌は明らかにはなっていません。

【研究内容と今後の展望】

心臓における役割が全く不明であったカルシウム制御タンパク質NCS-1(神経カルシウムセンサー1)の遺伝子をマウスで欠損させたところ、生後2週間以内の幼若期のマウスにおいて心臓の収縮力が弱く、生後数日以内に3割が死亡することが分かりました。一方、成体マウスの心臓にストレスを与えると、収縮力を高めて適応しようとするため心肥大が生じますが、この遺伝子欠損マウスでは心肥大が生じにくいことを見出しました。

詳しい解析から、このタンパク質は幼若期や心肥大の際に心筋細胞内で発現量が増加し、心臓の収縮や弛緩、また心肥大に必要とされる遺伝子発現を調節する細胞内カルシウムの働きを増強させるためであることが明らかとなりました。

NCS-1の心臓における量や働きを薬物などで調節することにより、小児における循環器疾患や、現代の社会問題となっている心肥大・心不全の診断や治療に役立つことが期待されます。

最終更新日 2012年02月13日

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