ホーム > 各部のご紹介 > 生体医工学部 > 高分子MRA造影剤による脳微細血管イメージング

生体医工学部

研究内容

脳血管障害により引き起こされる脳卒中は、脳血管が詰まって血液が運搬できなくなり脳細胞が死滅してしまう「脳梗塞」と、血管が破裂して脳内で出血を引き起こす「頭蓋内出血」に分類されています。いずれも血管構造の破綻により引き起こされるため、症状が疑われる場合、核磁気共鳴画像(MRI)を用いた脳の画像診断や、核磁気共鳴血管撮像法(MRA)による血管構造の撮像より診断されます。MRIは高解像度で画像を取得できる診断法ではありますが、一方で小さな血管から得られる信号強度は非常に微弱なために、微細な血管構造を可視化することはできません。このため、小さな血管で起こる異常をいち早く検出し診断するためには、信号強度を増強させるための造影剤が必要です。
そこで私たちは、医療用としても広く用いられているポリエチレングリコールという高分子に対して、MRI診断用造影剤であるガドリニウムキレート分子と、点眼薬などにも用いられる蛍光色素フルオレセインとを結合させた新たな高分子MRA造影剤を開発しました(図)。臨床で用いられている造影剤は、分子量が小さいために、血中を循環せずに血管外組織へと漏出します。開発した高分子MRA造影剤は、自己組織化構造を形成することにより、血中で安定に循環することができます。
これまでに、高分子MRA造影剤が血中を安定に循環することで微細血管が造影できることを明らかとしました。また、撮像後には尿中から速やかに体外へ排泄され、炎症を惹起しないことも認めています。このことから、開発した造影剤は脳血管の小さな変化も見逃さない新たな脳微細血管診断に貢献できるものと期待しています。

図1 高分子MRA造影剤と脳血管の造影メカニズム

論文など

  1. Mahara A, Enmi JI, Hsu YI, Kobayashi N, Hirano Y, Iida H, Yamaoka T., Superfine Magnetic Resonance Imaging of the Cerebrovasculature Using Self-Assembled Branched Polyethylene Glycol-Gd Contrast Agent. Macromol Biosci. 18(5), e1700391 (2018)
  2. Mahara A, Kobayashi N, Hirano Y, Yamaoka T. Sonoporation-based labeling of mesenchymal stem cells with polymeric MRI contrast agents for live-cell tracking, Polymer Journal 51, 685-692 (2019).

最終更新日 2019年09月18日

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