国立研究開発法人国立循環器病研究センター 法人番号3120905003033
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ホーム > 各部のご紹介 > 生体医工学部 > 圧力をつかった母斑組織に対する皮膚再生治療
母斑組織とは皮膚にできる奇形組織であり、その1つである先天性巨大色素性母斑はほくろが巨大化したような皮膚組織です。この組織は、真皮(皮膚組織の中心部分)に多くの母斑細胞を含むため、多量のメラニン色素を含みます。生まれた時から存在するこの皮膚組織は、放置すると悪性黒色腫(ひふの癌)が数%程度の割合で発生するというとても深刻な問題があります。現在ではシリコンバッグなどの拡張器を皮下に入れて皮膚組織を拡張させ、その皮膚を摘出して患者さんへ再移植する再建手術や、分割切除術が実施されます。しかし、一般的に切除が必要な母斑は大きな皮膚組織であるために、手術侵襲や皮膚採取部の大きな傷跡ができるなど患者さんへの負担の大きい治療法でした。 そこで私たちは、関西医科大学との共同研究で手術時に摘出した母斑組織を圧力で処理して、母斑細胞を完全に死滅させた後に再び患者さんへと移植する、皮膚組織のリサイクル治療法を開発しました。世界で初めての試みとなるこの自家組織完全リサイクル治療法は、母斑組織を2,000気圧で10分間処理することで再生用皮膚組織を準備することができます。この処理は、皮膚の主要成分であるコラーゲン組織を損傷することなく、細胞を10分で完全に死滅さることができます。1回の手術で組織の摘出から再移植までを完了できるので、患者さんへ負担も大幅に軽減されます(図1)。 これまでに、圧力処理により皮膚内部の細胞が完全に死滅することや、圧力処理皮膚を移植することで元通りの組織に再生されることなどを実験的に証明しています。現在、この治療法は関西医科大学において臨床研究をすすめており、近い将来、母斑組織で悩んでいた多くの患者さんを救える有用な治療法になるものと期待しています。
図1 圧力処理を用いた移植用皮膚の作製
最終更新日 2019年09月18日
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