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生体医工学部

研究内容

生体医工学部では、臨床利用を意識したサイズ(内径2mm・長さ30cm)に目標を定めて研究を進め、最近、食用ダチョウの頸動脈を素材とした小口径人工血管の開存に成功しました。「そんなもの患者さんに使えるの?」と思うかも知れませんが、例えば、毎年国内で18000件くらい使用されている人工心臓弁の半分は、ウシやブタの組織で作製されているんです。もちろんダチョウの血管にはダチョウの細胞が沢山ありますから、そのまま移植は出来ません。そこで、10000気圧という超高圧をかけてダチョウの細胞を全て殺して、取り去ります。できた血管は、血液を固まらせる働きの強いコラーゲンがむき出しになっていますから、そのまま移植すると、あっという間に血栓で詰まってしまいます。そこで、血中を循環パトロールしている血管内膜を修復する能力がある細胞を捕捉するペプチド分子(小さなタンパク質)を内腔面にズラッと並べました(図1)。これを使って、ブタの左足動脈から右足動脈をバイパスして評価しています。作製した血管の写真を図2に示しました。白くて、固さや手触り、また、移植時の縫い易さなどは、生体内の血管と全く変わりません。これをブタに移植した時の血管造影の写真が図3で、30cmと長い血管を評価するために、片足からぐるっと曲がって反対の足につながれているのがよく判ります。結果は、驚くほど切れ味の良いものでした。コラーゲンむき出しの血管はあっという間に全例が塞栓したのに対して、ペプチド分子を並べた血管では、初期の血栓形成が大きく抑制され、1時間ほどで血中の目的細胞を捕捉、1日後には内膜様組織が完成し、1月後に評価したところ血栓は全くなく通常血管と区別が付かない内膜が新生していました。

図1

図1 ダチョウ血管由来脱細胞血管の作製とミニブタによる開存性の検証。

論文など

  1. M.C. Munisso* and T. Yamaoka, Circulating Endothelial Progenitor Cells in Small-diameter Artificial Blood Vessel, (Review) Journal of Artificial Organs, in press (2019)
  2. Atsushi Mahara, Takahiro Sakuma, Naoto Mihashi, Toshiyuki Moritan, Tetsuji Yamaoka, Accelerated endothelialization and suppressed thrombus formation of acellular vascular grafts by modifying with neointima-inducing peptide: A time-dependent analysis of graft patency in rat-abdominal transplantation model, Colloids and Surfaces B:Biointerfaces in press (2019)
  3. H. Yamanaka, T. Yamaoka, A. Mahara, N. Morimoto, S. Suzuki, Tissue-engineered submillimeter-diameter vascular grafts for free flap survival in rat model, Biomaterials, 179 156-163(2018)
  4. M. C. Munisso, *T. Yamaoka, Novel peptides for small-caliber graft functionalization selected by a phage display of endothelial-positive/platelet-negative combined selection, Journal of Materials Chemistry B, 5, 9354-9364 (2017)
  5. A. Mahara, S. Somekawa, N. Kobayashi, Y. Hirano, Y. Kimura, T. Fujisato, and *T. Yamaoka, Tissue-Engineered Acellular Small Diameter Long-bypass Grafts with neointima-inducing activity, Biomaterials, 58, 54-62 (2015)

最終更新日 2019年09月18日

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