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生化学部

Bone Morphogenetic Protein-3bの新たな機能に関する研究

当研究室の日野らは、1996年新しいBMPファミリーに属する新規タンパク質BMP-3bのクローニングに成功し、その遺伝子構造を明らかにしました。BMPは、in vivoで骨形成を誘導する因子であり、単独で異所性骨形成シグナルとしての作用を有する唯一の因子です。BMPの遺伝子構造は、現在、BMP-3bの他にBMP-2からBMP-15までの15種類が報告されています。

(F1) BMP-3bの生体内分布と骨組織における機能

BMP-3bについての遺伝子レベルでの興味深い特徴は、骨組織は勿論のこと小脳や血管にも多量に存在する点であり、このことからBMP-33bは、循環調節系、或いは脳・神経系での生理作用を有する新たな分化調節因子と考えられます。その後の機能解析の結果、骨組織においては、BMP-3bが、高度に分化した骨芽細胞において重要な働きをしていることを明らかにしました。また、本因子は、循環器系組織(血管、心臓)にも存在していることから、現在、BMP-3bの循環器系における新たな機能の解析とその作用機序解明の研究を進めています。

(F2) 頭部形成におけるBMP-3bの役割

BMP-3bが脳・神経系の初期発生(頭部形成)において必須の因子であることを発見しました。また、その作用機序についてはユニークなものであり、BMP-3bは、BMP-2やNodalといった既知のBMPファミリーとヘテロダイマーを形成しそれらのアンタゴニストとして作用し、従来活性を持たないと考えられていたBMP-3b前駆体タンパク質が、実は新たな活性を有するという極めて特徴的な生化学的性質も証明しました。これらの結果は、BMP-3bが幹細胞を神経系などへ特異的、選択的に分化させる能力を有することを示唆しており、再生医療への応用も見据えた臨床研究へと繋がることが期待されます。

(F3) BMP-3bの骨芽細胞における機能とその作用メカニズム

BMP-3bの特徴の一つは、構造上BMPファミリーに属する因子なのでが、その機能は一般にBMPと称される典型的なBMP(BMP-2,4等)とは異なり、独自の作用を有していることです。特に、骨芽細胞においては、BMP-3bは骨芽細胞分化抑制作用を有しています。この作用は、構造からの予測とは異なり、典型的なBMPとは、全く逆の作用です。そのメカニズムもユニークで、BMP-3bの作用は、骨芽細胞内のSmad2/3を活性化し、それが典型的なBMPシグナル(Smad1/5)と拮抗しながら相互作用することも証明しました。

(F4) BMP-3bの肥満・エネルギー代謝に対する作用

最近開始した研究の一つで、BMP-3bが脂肪組織に多く存在していることに着目して、そこでの機能について研究を進めています。近年、社会問題としても注目されている生活習慣病の病態解明や治療薬開発へ繋がるテーマと期待されています。特に、肥満病態において、BMP-3bの発現量が変動していることが判明するとともに、BMP-3bを過剰に発現したマウスが、抗肥満やエネルギー消費亢進を示すことを見出しました。現在、そのマウスを用いた詳細な検討を行い、実用的な臨床応用への基盤となる研究を推進しているところです。

最終更新日 2016年07月01日

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