ホーム > 各部のご紹介 > 生化学部 > グアニリン・ファミリーの新たな機能に関する研究

生化学部

グアニリン・ファミリーの新たな機能に関する研究

リガンドが同定されている受容体型グアニル酸シクラーゼ(GC)にはGC-A、GC-B、GC-Cがあり、前2者にはナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNP)が結合することが知られています。GC-Cは腸管、腎臓、副腎、気道の上皮に存在し、その内在性リガンドは共通した2個のS-S結合を持つグアニリン(Guanylin、15アミノ酸残基)とウログアニリン(Uroguanylin、15~16アミノ酸残基)であることが1992年以降明らかにされました。両ペプチドはGC-Cを活性化し、セカンドメッセンジャーとしてcyclic GMPを増加させ、腸管と腎尿細管上皮での水・Naの再吸収抑制とCl分泌をもたらします。

(E1) グアニリン・ファミリーの構造解析と生体内分布

当研究室の宮里らは、グアニリンおよびウログアニリンにそれぞれ特異的な抗体を作製し、両ペプチドの構造解析・定量法ならびに免疫組織化学的手技を確立し、その組織分布、免疫組織化学的局在、内在性分子型を明らかにしました。さらにヒトおよびラット・ウログアニリンcDNA、ヒトウログアニリン遺伝子のクローニングに成功し、全身臓器における遺伝子発現および染色体部位を明らかにしました。また、両ペプチドは血中にも分泌され、それらの血漿濃度は心不全および腎不全患者において、障害の程度に従い増加していました。グアニリン・ファミリーは、水・電解質代謝調節に関与している新たな生理活性ペプチドであり、病態生理との関連が注目されます。

(E2) グアニリン・ファミリー受容体(GC-C)の機能解析

グアニリン・ファミリーの生体内での主要な生理機能“水・電解質代謝活性”がどのように発揮されているのか、そのメカニズムを細胞/分子レベルで詳細に解明することを試みています。これまでに、ファミリーの共通受容体GC-Cを特異的に認識する抗体と、培養細胞に導入する種々のGC-C構造変異体遺伝子を作製し、それらを用いてGC-Cのグアニル酸シクラーゼ(GC)活性の調節メカニズムを解析し、GC-C分子内にはGC触媒部位以外に、GC活性とグアニリン・ファミリーのリガンド選択性に関わる重要な構造領域が存在することを明らかにしました。また、GC-Cと相互作用しGC活性に影響を与える細胞内因子を分子生物学的・生化学的手法により探索したところ、様々なイオンチャネル/イオン交換輸送体と相互作用してその活性調節を行っている一群のタンパク質が目的とする因子であることを見出しました。そしてGC-C、活性調節因子、イオンチャネル/イオン交換輸送体の3者の相互作用(複合体形成)が、生体内に於けるグアニリン・ファミリーの“ 水・電解質代謝活性”を発揮するメカニズムの一つである可能性を示しました。またこれらのことから、組織ごとの発現の組合わせが、組織特異的なグアニリン・ファミリーの使い分けと生理活性に反映されていることが予想されます。

(E3) グアニリンによる脂肪細胞における脂肪蓄積制御

高脂肪食で飼育したラットの中からエネルギー摂取量は同じでも、普通食摂取ラットの平均体重を下回り、脂肪細胞の肥大化が見られない肥満抵抗性ラットを複数獲得し、腸間膜脂肪組織における発現遺伝子を網羅的に解析した結果、本来消化管に存在し、水・電解質代謝に機能するグアニリン(Gn)とその受容体GC-Cが高発現している肥満抵抗性ラットが存在することが判明しました。さらに、これらの分子はいずれも腸間膜マクロファージで産生されていることが、免疫組織化学的検討や組織細胞分画でのmRNA 発現検討から明らかになりました。そこで、両分子をマクロファージ特異的に発現させたGn/GC-Cダブルトランスジェニックラット(Gn/GC-C Tgラット)を作出し、同ラットが肥満抵抗性の表現型を示すことを報告しました。また、Gn/GC-C発現マクロファージ細胞株と腸間膜脂肪細胞との共培養系を確立し、共培養した脂肪細胞の脂肪滴蓄積が抑制されることやマクロファージ細胞株のGnとGC-Cをノックダウンすると脂肪滴の蓄積が回復することも確認しました。以上の成果は、宮崎大学との共同研究によるものです。

最終更新日 2016年07月01日

ページ上部へ