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国立循環器病研究センター 冠疾患科
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疾患・治療等コラム

STEMI/NSTEMIの治療法

STEMI/NSTEMIの治療法

急性心筋梗塞は、心電図でST上昇を伴うST上昇型心筋梗塞(STEMI)と、ST上昇を伴わない非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)に分類されます。
STEMI/NSTEMIの治療法

なぜこのような分類があるかといいますと、同じ心筋梗塞であってもST上昇の有無によって治療の緊急性や予後が異なるからです。STEMIは冠動脈の血栓閉塞により心筋に貫璧性虚血が生じており、発症から再灌流達成までの時間が心筋梗塞の大きさや予後に影響を与えます。そのためSTEMIでは一刻も早い再灌流療法(冠動脈の血流を再開通させること)が必要となります。STEMIに対する再灌流治療として、血栓溶解薬による血栓溶解療法を先行させることなく、当初からカテーテルによる経皮的冠動脈形成術(PCI)を選択することをprimary PCIといいます。数多くの研究からprimary PCIの方が血栓溶解療法よりも予後を改善することが報告され、発症12時間以内のSTEMI患者に対しできる限り迅速にprimary PCIを行うことがガイドライン上強く推奨されています(ClassA)。日本では全国のほとんどの地域にPCI施行施設があるため、大部分の症例でPrimary PCIが選択され、血栓溶解療法が行われることは稀です(5%未満)。STEMIでは症状出現から再灌流療法までの時間が遅れるにつれ心筋のダメージは大きくなり、再灌流療法の効果が弱くなってしまいます。

Time is money(時は金なり)」という言葉がありますが、STEMIにおいては「Time is muscle(時は心筋なり)」とも言われます。そのため、STEMIにおいては発症から再灌流までの時間をいかに短くするかがとても重要で、最初の医療者のコンタクトから再灌流までは120分以内、病院のドアから再灌流までの時間(door to balloon time)90分以内が推奨されています。患者さんにとっては持続する胸痛や冷や汗などの異変を感じたら我慢せず、早めに救急車を呼ぶことが再灌流療法を遅らせないために重要です。

当院でのDtoBの時間は?

一方、NSTEMIは冠動脈の不完全閉塞や一過性の閉塞が自然に再灌流した場合、完全閉塞でも良好な側副血行路からの残存血流が存在する場合など、心臓の壁の一部に心筋虚血が生じている状態です。NSTEMIは、適切なタイミングに侵襲的検査・治療を行うことが必要な病態であり、リスク評価を基に治療方針を決めることが重要です。
当院でのDtoBの時間は?

胸痛が持続している、血圧不安定などリスクが高い患者さんには早期に冠動脈造影を行い、冠動脈の病変に応じた血行再建の方法を検討します。一方、リスクの低い患者さんには、まずお薬での治療を行い、その後の状態に応じて侵襲的治療を検討します(3B)

NSTEMIの血行再建方法としてはPCIおよび冠動脈バイパス術(CABG)があり、臨床状態、患者さんの併存疾患、病変の複雑性などをもとに治療方法が検討されます。NSTEMIの患者さんに対してもPCIが有効な場合が多いですが、複雑病変であり解剖学的にPCIが困難な症例、PCIによる再灌流不成功症例、心臓破裂など機械的な合併症のある患者さんにはCABGを含めた外科治療も考慮されます。当院では、24時間体制でPCIおよびCABGを行える環境を整えており、ハートチーム一丸となって迅速かつ適切な医療を提供できるよう努力しております。

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