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国立循環器病研究センター 冠疾患科
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疾患・治療等コラム

石灰化デバルキング

石灰化デバルキング

石灰化デバルキングとは、石灰化病変を除去することを意味します。冠動脈石灰化は、血管造影では38%、血管内超音波(IVUS)を用いると73%の患者で検出されます。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)技術の進歩は目覚ましいものがありますが、冠動脈石灰化は短期的にも長期的にも成績に大きな影響を及ぼすとされています。重度の冠動脈石灰化が存在すると、死亡、心筋梗塞、標的血管再血行再建、ステント血栓症などのイベントの発生率が高くなります。そこで現れたのがロータブレーター(Rotational atherectomy)です。

Rotational atherectomy(ロータブレーター)

ロータブレーターという機械を使用して石灰化を切削していきます。ロータブレーターは日本では1998年から保険適用が可能となり以後広く使われています。ロータブレーターはバー(burr)と呼ばれるドリルの先端にダイヤモンドが埋め込まれており、このburr1分間に14~19万回転することで石灰化病変を切削していきます。特徴として血管壁の柔らかい部位は切削されず、石灰化などの硬い部位は切削されるという点があります(これをdifferential cuttingと呼びます)。削られた石灰化は赤血球より小さい粒子となって流れていくため冠動脈の末梢の方で詰まったり、体のどこかで溜まったりということはまず起こらないとされています。burrの大きさは現在本邦で使用可能な大きさは直径1.25, 1.5, 1.75, 2.0, 2.15, 2.25mmの6種類があり、一般的に血管径の半分前後のサイズのburrを選びます。ロータブレーターの適応は、①360度に及ぶような重度石灰化病変、②血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)などの血管内を観察する道具や他の道具が石灰化病変によって通過しない場合などがよい適応とされています。一方で心機能が悪い患者、病変に血栓があるもの、血管が蛇行しているもの、冠動脈バイパスグラフトに対するロータブレーターはリスクが高いと言われております。ロータブレーターで石灰化を切削した後は通常のカテーテル治療の同様に薬剤溶出性ステントを留置し終了することが多いです。

Orbital atherectomy(ダイヤモンドバック)

日本では2019年から保険適用が可能となっており、比較的新しい手技といえます。この装置はダイヤモンドでコーティングされたクラウンと呼ばれる構造物が先端から約6mm手前についており、シャフトの軸を中心に回転し血管壁に沿って周回することで石灰化病変を切削します。ロータブレーターと異なり、クラウンのサイズは1.25mm1種類のみであり、回転数の違い(1分間に8万回転または12万回転)で切削できる径が変わってきます。最初は低速(8万回転)で石灰化を切削し、血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)で切削された範囲などを確認しつつ、高速(12万回転)で切削していきます。ロータブレーターと同様石灰化を切削した後は薬剤溶出性ステントを留置するのが一般的です。

Orbital atherectomy(ダイヤモンドバック)のメカニズム

Orbital atherectomy(ダイヤモンドバック)のメカニズム

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