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国立循環器病研究センター 冠疾患科
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疾患・治療等コラム

狭心症・心筋梗塞 = 冠動脈が狭窄・閉塞する病気?

狭心症・心筋梗塞 = 冠動脈が狭窄・閉塞する病気?

狭心症や心筋梗塞の一般的な原因として、冠動脈血管壁に蓄積した動脈硬化巣プラークが血管内腔を狭小化、もしくは突然破綻し血栓が形成され閉塞することにより、心筋へ血液灌流が低下もしくは途絶することが挙げられます。一方で、狭心症や心筋梗塞として矛盾しない症状や検査所見を示すにも関わらず冠動脈に明らかな原因となる病変へのプラークの蓄積を認めない症例も多く存在します。器質的な冠動脈狭窄・閉塞以外に心筋の血液灌流に影響を与える原因は複数考えられますが、その中でも代表的な原因として「冠攣縮性狭心症」が挙げられます。

冠攣縮狭心症の原因 特徴 診断 治療法

冠攣縮は発作的に生じる心臓表面を走る太い表在冠動脈の過収縮により一過性に冠血流を低下させ、心筋虚血をひき起こします(図1)。

冠攣縮狭心症の原因 特徴 診断 治療法

主として、表在冠動脈に生じますが、心筋内の微小冠動脈にも生じることもあります。冠攣縮発作はとくに夜間から早朝にかけての安静時に出現し、通常は日中の運動によって誘発されない点が従来の狭心症発作とは異なる点です。原因としては脂質異常症を中心とした動脈硬化リスクが指摘されていますが、特に喫煙や飲酒、ストレスなどとの関連が指摘されているのも特徴です。「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)」では、冠攣縮性狭心症の診断基準が示されており、それに基づき当科でも診断・治療に当たっています。診断方法の一つである心臓カテーテルを用いた冠攣縮誘発試験(アセチルコリンないしはエルゴノビン負荷試験)は当科でも多く行なっており、緊急対応の際にも状況に応じて施行可能となっています。治療としては、第一選択薬であるカルシウム拮抗薬(例:ニフェジピン、ジルチアゼム、ベニジピンなど)を中心とした血管拡張薬による内服治療に加えて、禁煙・断酒が必要となります。ただし、カルシウム拮抗薬の投与を中止した場合、症状が増悪すること(リバウンド現象)がまれながら報告されており、減量・中止の場合は慎重な経過観察が必要であるため、専門医への相談が必要となります。

近年のトピック

MINOCA (Myocardial infarction with non-obstructive coronary artery:冠動脈閉塞・狭窄を伴わない心筋梗塞)とは近年、冠動脈狭窄・閉塞の認めない急性心筋梗塞患者症例にも注目が集まってきており、冠動脈狭窄が50%未満であるにも関わらず心筋梗塞の定義を満たすものはmyocardial infarction with non-obstructive coronary artery(冠動脈閉塞・狭窄を伴わない心筋梗塞); MINOCAと呼ばれます。MINOCAは心筋梗塞患者のうち6-10%程度に存在すると言われています。MINOCAという言葉自体は診断名とは言えず、あくまで従来の急性心筋梗塞とは違い一見冠動脈との関連が低いと考えられる患者群の総称でありその実態は不明な点が多くあります。上述の「冠攣縮性狭心症」もMINOCAの原因として含まれますし、その他にも「プラーク破綻」「冠動脈塞栓症」「冠動脈解離」「微小循環障害」「酸素需要不均衡」などの心筋虚血を原因とするものや「たこつぼ型心筋症」「心筋炎」「心筋症」などの実際には心筋虚血以外の原因も鑑別診断として挙げられ、またそれらが複合的に関わっている場合も考えられます。従来の冠動脈狭窄を有する心筋梗塞と比較しても、MINOCAの生命予後は同程度に悪いとする報告もあります。一方でMINOCAの標準的な診断方法・治療法は現時点では確立されていません。当科では、緊急症例においても積極的にFFR(冠血流予備比)などによる虚血評価、IVUS(血管内超音波)OCT(光干渉断層法)などの血管内イメージング、冠攣縮誘発試験、心筋シンチグラフィ、心臓MRIなどの様々な診断ツールを組み合わせて、このような判断の難しい症例に関しても積極的に確定診断に結びつけることにより、患者様の生命予後改善を目指しています。

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