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冠動脈造影を行うと冠動脈内の狭窄度は把握することができますが、狭窄病変によってどのくらい血流量が阻害され血管が血液を送っている組織や細胞に血液が十分に供給されない状態(虚血)に至っているかまではわかりません。
そのため、狭窄度がそこまで強くない(いわゆる中等度狭窄)である場合や狭窄を認める部分が複数ある場合にその部分が実際に症状の原因となっているか判断できない場合がありました。
そのような場合に心筋血流予備量比(fractional flow reserve;FFR)は、冠動脈造影の後に先端に圧センサーがついたガイドワイヤー(図1)で、冠動脈内圧を測定し、狭窄部位の遠位部と近位部の圧を比で算出することで血流量が狭窄部位でどのくらい低下しているか評価することのできる検査です。(図2)
図2:冠血流予備量比 (FFR) の説明
冠血流予備量比 (FFR) とは、冠動脈狭窄病変がどれくらい重度かを知る指標です。FFR は、薬剤投与を行い、冠動脈の末梢血管が最大に拡張している状態において冠動脈狭窄部の手前の血圧 (Pa) と狭窄より先の血圧 (Pd)を測定することで算出されます。 (FFR = Pd ÷ Pa )
例えば、FFRが0.6の場合、狭窄病変があるために正常のときに得られる最大血流量の60%しか得られていないことを意味します。
当院では、FFRが0.80以下で冠血行再建術を行う目安にしています。
冠動脈造影検査に続いて行います。
冠動脈拡張剤(アデノシンやニコランジル)を点滴投与しながら、外径: 約0.36mのプレッシャーワイヤーという装置(図1)を冠動脈に挿入してFFRを測定します。通常、10分程度で終了します。
メリット
デメリット
→このようなケースでは、薬剤を変更したり、薬を使用しない方法で冠血流を評価しています。
→慎重に手技を行うことで予防できます。