05 マイコプラズマ感染症はマイコプラズマという細菌による感染症です。学童期〜成人に多く、高齢者には少ないという特徴があります。昔は4年に一度、オリンピック開催年に流行していたため「オリンピック肺炎」などと呼ばれていましたが、最近はその傾向は崩れているようです。 感染様式は新型コロナウイルス同様、飛沫感染や接触感染ですが、特に濃厚接触(家族、職場、学校など)で感染することが多く、感染拡大の速度は遅いです。また感染したら全員発症するわけではなく、無症状の場合も多く、自然に治ることも少なくありません。 発症する場合は、発熱、倦怠感、喉の痛み、強めの咳などの症状が出ます。咳は痰が少ない乾いた咳が特徴で、解熱後も長く(3〜4週間)続くことが多いです。2024年は夏(31週)以降、グラフから見てわかるように過去最多となっています。 治療には、マクロライドという抗菌薬がよく使われますが、国内のマイコプラズマの30〜60%がこの抗菌薬が効きにくい「耐性マイコプラズマ」のようです。マクロライド服用後2〜3日経っても改善しない場合は、再受診した方がいいでしょう。 マスク着用、石けんによる手洗い・アルコールによる手指消毒、こまめな換気、に日々努めてください。慢性呼吸器疾患(主にCOPD)の治療・病態解明、呼吸器感染症、医療関連感染対策、睡眠時無呼吸症候群の診断・治療・病態解明〈専門医資格〉日本呼吸器学会専門医・指導医日本内科学会認定内科医日本感染症学会インフェクションコントロールドクター(ICD)日本睡眠学会総合専門医・指導医感染対策室呼吸器科医長佐田 誠Makoto Sata〈専門領域〉夏以降国内過去最多水準で増加国内では今夏以降、過去最多水準でマイコプラズマ肺炎の患者が増加しています。(図) マイコプラズマ感染症とは?1 なぜ感染するの?どんな症状なの?2 治療方法は?3 予防法は?4図. 国内のマイコプラズマ肺炎の報告数の推移(厚労省 感染症発生動向調査週報)Hot topicsマイコプラズマ感染症
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