KOKUJYUN Press No57
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分子薬理部チトクロムc酸化酵素のクライオ電顕による単粒子解析(分解能〜2Å)新谷 泰範Yasunori Shintani分子薬理部HP04KOKUJUN Press心疾患でみられるエネルギー不全を改善させる、新たな治療薬開発を進めています。 また分子薬理部では、国循の患者さんやそのご家族のかたから同意をいただき、診療で得られた試料を解析させていただいております。ミトコンドリア心筋症や拡張型心筋症の病態メカニズムの理解、新たな診断法・治療薬開発につなげることを目指し、努力してまいります。〈専門領域〉ミトコンドリア(チトクロムCオキシダーゼの活性制御メカニズムの解明と創薬展開)、生化学、循環器内科学〈専門医資格〉博士(医学)分子薬理部部長チトクロムCオキシダーゼの活性調節因子Higd1aの発見 ミトコンドリアはヒトの体を構成するほぼすべての細胞に存在する、生体エネルギーであるATPを産生する工場です。このエネルギー産生系に支障が生じると、細胞障害・臓器障害につながり、ミトコンドリア病という先天性の代謝疾患を発症します。心臓で発症すれば、ミトコンドリア心筋症を引き起こします。 私たちの研究グループは、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生システムの1つの酵素(チトクロムCオキシダーゼ)に直接結合し、エネルギー産生を増強させる新規調節分子(Higd1a)を発見しました(PNAS. 2015;112:1553, FASEB J. 2020;34:1859)。この発見にもとづき、チトクロムCオキシダーゼの活性化によるミトコンドリア心筋症・ミトコンドリア病、あるいはミトコンドリアにおけるATP合成57

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