分子薬理部門のポイント分子薬理部03種類ほどわかっています。ミトコンドリア心筋症あるいはミトコンドリア病の原因となる遺伝子は400種類以上存在します。診断のために遺伝子異常を調べても、現状の解析法では原因となる遺伝子異常がみつからないケースも半数以上存在します。すなわち同じ診断名の心筋症であっても原因はさまざまであるということです。 現状では、拡張型心筋症に有効な治療薬も、ミトコンドリア心筋症に有効な治療法もありません。我々の目標は、拡張型心筋症あるいはミトコンドリア心筋症に有効な治療法を開発することです。さらに、原因遺伝子がAの拡張型心筋症の患者さんと、原因遺伝子がBの拡張型心筋症の患者さん、個々の病態にあわせた医療、すなわち原因に即した治療法の開発を目指しています。Close up Interview 特集/心筋症_2分子薬理部では、心筋症に対する新規治療標的分子を探索し、心筋症の発症メカニズムの理解と新規治療法の創出を目指しています。 私たちの心臓は、おおむね1日に10万回、収縮・拡張を繰り返して血液を全身に送り出すポンプとしての仕事を行います。この収縮・拡張の原動力になるのが、筋繊維を細胞の中にもつ心筋細胞です。この心筋細胞の活動をささえるタンパク質の先天的な異常によって不都合が生じると、心筋症とよばれる心筋の病気が発症します。心筋症には①心筋の収縮力が低下して心室が拡張する拡張型心筋症、②心筋が分厚くなりすぎる肥大型心筋症、③心筋が固くなりすぎて動きが制限される拘束型心筋症、④心臓が動くためのエネルギー源がうまく作れないためにおこるミトコンドリア心筋症など、複数の種類があります。 すべてのタンパク質は遺伝子の産物ですので、遺伝子の異常により先天的に心筋症が発症することがあります。たとえば拡張型心筋症の原因となる遺伝子は100分子薬理部タンパク質の構造を解き明かしその制御により新規治療法創出を目指しています
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