臨床栄養部
研究活動の概要

 臨床栄養部は、栄養管理部門とNST活動を統括している。栄養管理部門では、入院患者への美味しい減塩食を提供できるよう、管理栄養士と調理師が一体となり活動を行っている。NST活動においては心移植待機患者をはじめとする心不全によるカヘキシー患者に対する栄養管理を積極的に実施している。
 また、「社会実装推進室」と密接に連携し、国循食事業「かるしおプロジェクト」の活動を行っている。

病院食の充実に向けた取り組み

 臨床栄養部は循環器疾患治療を目的に、塩分制限・脂質組成・エネルギー量等を考慮すると共に、嗜好的にも満足できる病院食の取り組みを行ってきた。減塩食を中心とした治療食(特別加算食)の提供は他施設より大幅に高く、食事提供者の80.6%(2024年11月迄の実績)を占めている。嚥下リハビリテーション学会の基準に準拠し、病状によりステップアップができるよう、4段階の食形態の提供を行っている。さらに患者サービスの一環として週2回の選択食導入や、お子様ランチの提供を行っている。加えて、低食欲、低栄養患者への取り組みとして、食品・経腸栄養製品・栄養補助食品等も駆使し患者の栄養管理を行っている。
 新調理システム(クックチル+再加熱カート)での安全で精度の高い食事提供を継続しレシピの開発も継続して行ってきた。また、新調理システムでの嚥下食の提供を開始した。11月に実施した患者へのアンケートでは、満足とやや満足が67%、普通が24%と肯定的な意見が91%であった。

栄養食事指導への取り組み

 栄養食事指導においては、栄養治療の重要性を認識してもらうべく入院・外来患者に個別栄養指導、糖尿病透析予防指導に加え慢性腎臓病透析予防指導を開始した。集団指導として高血圧教室、腎臓病教室、糖尿病教室、心リハ教室を行っている。
個別指導では、循環器病の予防と治療を目的とした、効果的かつ継続可能な減塩の方法についての指導を、12月迄に196件/月行った。また、生活習慣病部門と連携して行っている糖尿病透析予防指導管理に関しては、12月までに17件、慢性腎臓病透析予防指導に関しては16件の協働介入を行った。

チーム医療への取り組み

 臨床栄養部は、NST(Nutrition Support Team)、褥瘡チーム、嚥下チーム、代謝内科チーム、緩和チームに参画し、各チームの介入患者への栄養学的アプローチに寄与している。NSTにおいては、臨床栄養部が中核を担い能動的な活動を行っている。NST活動は、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師などを含む多職種協同で栄養状態の把握から適切な栄養投与に関する治療活動を進めている。12月迄にNSTで対応を行った件数は206件/月、うちNST加算件数196件/月、歯科医師連携加算も同数の算定を行った。早期の栄養介入管理においてはCCU(HCU含む)では12月迄に300件/月の算定を行い、ICUでは276件/月の算定を行った。

学会発表・講演活動・患者支援

  • 学会発表
    • 30回心臓リハビリテーション学会学術集会
    • 第78回国立病院総合医学会

  • 講演活動
    • 令和5年度循環器病診療に従事する看護師の研修
    • 令和6年度循環器病診療に従事する看護師の研修
    • 第14回国循看護地域連携学習会
    • 2024年世界糖尿病デー
  • 患者支援
    • 令和6年度第1回せんり会院外研修
    • 令和6年度第2回せんり会院外研修

かるしお認定

 塩分などに配慮し循環器疾患・予防への対応を考えた美味しい食事「かるしお」生活をひろげていくため、一般企業より申請のあった商品の認定活動を継続した。これまでに58社191件(容量違い除く)の認定を行った。

食育活動

 子供及び子育て世代に減塩生活の啓発を行う一環として、吹田市の小学校給食にかるしおレシピを応用したメニューの導入を行った。また、減塩についての知識向上のためのプログラムも作成し食育活動を行っている。また、そのプログラムを全国展開するためバックアップを行った。

S-1g(エス・ワン・グランプリ)大会

 第6回を開催し今回は「まずは1品から!おいしく減塩お惣菜コンテスト」」をテーマとした。一般部門と学生部門、災害栄養部門の3部門のレシピ募集を行い全国から106レシピの応募があった。それぞれのレシピの栄養量の確認、初期採点を実施し、最終審査の審査員も務めた。