2016年4月に、先進医療・治験推進部は発展的に解消し、新たに高度の専門的な知識と技術を駆使し、効率的で生産性の高い臨床試験を実現できる総合的なソリューションを提供することを目指したデータサイエンス部が発足しました。データサイエンス部は、データマネジメント室、臨床統計室、臨床研究品質管理室、プロジェクトマネジメント室の4室から構成されます。
データサイエンス部の活動は以下のような内容です。
- 治験以外の臨床研究(主に特定臨床研究)の準備から実施、解析にわたる幅広い支援
(モニタリング支援を含む) - 医師主導治験の準備から実施にかかる支援
- 治験・臨床研究に関連する教育・啓発活動
(研究者、患者、一般市民のそれぞれに対して最適な活動) - 国際共同臨床研究に円滑に参加するため、海外の臨床研究関連規制にも対応できる体制の構築
- 各室業務の専門家の育成 など
【データマネジメント室】
データマネジメント室は、DM/統計室から2019年に分室し、医師主導治験、特定臨床研究(先進医療B含む)およびその他の臨床研究におけるデータマネジメント業務を支援する活動を行っています。
試験立上げ時は、試験実施計画書作成の段階から参画し、症例報告書のデザイン、各種手順書・計画書の策定、EDC・データベースの構築などの支援を行い、また試験運用段階では、中央データモニタリング業務、データチェック、データ固定、症例検討などの業務を通し、臨床試験データの品質管理、品質保証を行うことが主な活動です。
また、AMED生物統計家育成支援事業において京都大学大学院修士課程学生に対し、データマネジメント概論の講義および実際にデータマネジメント業務を体験する研修や、臨床研究セミナーにおいてデータマネジメントに関する講義・セミナーを、来年度開催する予定です。
<2023年の主な支援実績>
- 医師主導治験:6試験
- 特定臨床研究:11試験
- その他の臨床試験・研究:5研究
【臨床統計室】
臨床統計室は、これまでのDM/統計室に代わって2019年に発足し、臨床試験での統計に関わる専門的な内容を支援する室として活動しています。症例数の設定や試験デザイン、症例登録とランダム化、試験の実施、統計解析、論文作成と報告の各段階を通し、より効率的で質の高い臨床試験の実施と報告を意識し、当室での業務、研究者への提案、他室・部署や外部委託先との連携を遂行しています。
また、当室が支援する臨床試験以外にも、研究者が実施する臨床研究に関し、統計コンサルテーションを実施しています。
2023年の主な支援実績は以下の通りです。さらに、AMED生物統計家育成支援事業において、京都大学大学院修士課程学生を受け入れ、実際の病院で、統計家がどのように臨床試験にかかわり、どのように研究を支援するかを実体験する研修を提供しました。また、研究者や統計家を対象としたセミナーや集中講義を開催しています。
<2023年の主な支援実績>
- 医師主導治験:8試験
- 特定臨床研究:13試験
- その他の臨床試験・研究:11件
- 統計コンサルテーション:36件
【臨床研究品質管理室】
臨床研究品質管理室は、臨床試験の科学的な質とデータの信頼性確保を目的としたモニタリング活動を支援する室として、医師2名(併任)、CRC1名(併任)、専任モニター1名の体制で活動しています。臨床研究法や倫理指針に基づき実施される臨床試験において、それぞれの試験の目的やリスクに応じて、研究者自身によるセルフモニタリング、中央モニタリング、サイトモニタリング(施設訪問、遠隔)など多様なモニタリング手法をうまく使い分けて、適切な品質管理が行われるように支援をしています。
当室ではこれまでに、室の業務手順書を定めるとともに、各試験において適切なモニタリング手法を選択するためのコンサルテーションを実施し、モニタリング手順書や計画書など各種文書の雛形を作成し、必要に応じて研究者に提供したり、当室員がモニタリングを担当するなどの支援活動を行ってきました。
2023年の主な支援実績は下記のとおりです。特に当センターが中心となって実施している臨床試験9件(うち特定臨床研究7件)については、当室が実際にモニタリングを担当し、結果を研究者にフィードバックし、細やかな意思疎通を図ることで、試験の品質向上に貢献しています。
また当室では国際共同臨床試験にも円滑に対応できるモニタリング体制の構築および人材の育成を進めており、院内外の研究者・アカデミアモニター向けの教育研修や、より効果的なモニタリング手法に関する研究等を通して、臨床試験の品質向上に向けた活動を実施しています。2023年度の主な実績として、日本臨床試験学会モニタリング担当者認定制度の制度設計や教育資材の作成において当室の室員が主導的な役割を果たしました。
主な研究活動として、2023年度は昨年度に引き続きAMED研究開発推進ネットワーク事業における、非臨床研究中核病院でのQMS推進を目指した研究班に参画しました。また、AMED研究公正高度化モデル開発事業の支援のもと、超急性期臨床試験における適切な同意取得のあり方を引き続き検討しました。
<2023年度の主な支援実績>
- モニタリング相談(新規):2件
- モニタリング支援:12件
(うち臨床研究品質管理室がモニタリングを担当 7件) - 国際多施設共同試験モニタリング 1件
- 国内多施設共同試験モニタリング 3件
- 国内単施設臨床試験モニタリング 4件
(うち特定臨床研究 7件、先進医療B 4件)
【プロジェクトマネジメント室】
プロジェクトマネジメント室は2017年11月に発足し、現在2名の室員にて、医師主導治験及び特定臨床研究(先進医療B該当研究を含む)に該当する臨床試験のマネジメント業務を実施しています。
業務内容は、試験実施計画書や手順書等の試験文書全般の作成から、試験実施に必要な体制構築、規制当局対応、試験全体の管理(スケジューリング及び進捗促進)、種々の調整業務(試験実施体制間、外部委託先、スポンサー等)等、治験・臨床試験の立案から終了・導出まで多岐に渡りますが、これらを通じ、規制や計画の遵守を確保しつつ、各プロジェクトをスムーズに遂行させることがプロジェクトマネジメントの主眼です。
<2023年の主な支援実績>
- 医師主導治験:11試験
- 特定臨床研究:6試験
(うち先進医療B該当の臨床試験 2試験)