情報統括部・医療情報部
研究活動の概要

情報統括部・医療情報部では、当センターの研究活動の基盤となる情報ネットワークシステム、病院情報システムの運用管理および活用のための研究・開発を行っている。特に、電子カルテを始めとする診療情報の二次利用のための基盤構築および統計分析、医療現場におけるスマートデバイスやIoTの活用、情報セキュリティ対策、自然言語処理と人工知能(AI)活用による診療支援システムに関する研究など、医療情報学、医用工学、情報工学、診療情報管理学の分野における研究を行っている。

2023年の主な活動とその成果
  1. 情報システムの維持管理
  2.  国立循環器病研究センターの種々の活動を支える各種情報システムの維持管理、運用体制の見直し、不具合の修正などを行った。特に、オンライン会議やカンファレンスなどでハイブリッド開催されるケースが増加し、その支援依頼が増加している。

  3. 病院情報管理システム(HIS)の運用管理と利活用
  4.  病院情報管理システム(HIS)は、2019年7月に暫定稼働し、2021年3月に大幅な遅延の結果、構築完了となっている。種々の不具合解消と運用管理の効率化や、記録される診療情報の利活用環境の整備などを進めている。統合データベースの利活用に向けて、障害児ビューアの整備と看護スケジュール機能の開発など、蓄積される診療情報、画像情報の利活用による業務支援機能の整備を進めている。

  5. 情報セキュリティ対策の実施とセキュリティインシデントへの対応
  6.  内閣サイバーセキュリティセンター、厚生労働省を始めとする情報セキュリティ監査への資料準備、対応を行った。
     O365(マイクロソフトメール)の導入により、アカウント乗っ取り疑い事例などが報告され、その対応についてNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)や厚生労働省と連携しつつ対応を図った。

  7. 医事請求の適正化支援と診療録の量的・質的監査の実施
  8.  DPCコーディングを中心とした医事請求内容の監査と医事請求の適正化を支援した。さらには、医事室業務の診療報酬請求に係る内容の多くを医療情報部に引き取り業務を代行した。DPC管理室では、DPCコーディングの適正化を推進するとともに、査定減の取り組みをおこなった。診療情報管理室では、病院機能評価への対応と診療録の質的監査の拡充に取り組むとともに、クリティカルパスの出来高の分析、診療科への説明などに取り組んでいる。また、各種統計指標なども作成しNCVCポータルへの定期的な掲載、統計指標の増加に取り組むなど、病院の稼働状況の管理や新システムによる請求漏れやミスの発見など、病院経営へ貢献している。

  9. 臨床研究用情報システム構築の支援
  10.  稼動しているシステム基盤を活用したレジストリ収集事業について、データ抽出からそのコード化整理、部門システムなどの業者との調整などを行っている。統合画像データベースの構築、研究用診療情報検索システムの構築を行い、診療情報を広く活用するための基盤整備に取り組んでいる。
     また、EDCであるRedcapに関しては、システム的な脆弱性報告への対応を含めて利用支援や運用管理業務により、利用するプロジェクトが増加してきている。

  11. 研究等における個人情報管理
  12.  研究等個人情報管理室の実質的な取りまとめと運営について、中心的な役割を果たしている。症例報告、診療情報の外部持ち出しなど、個人情報保護法の改正にともなう各種対応について、窓口および相談などの業務を担っている。

  13. 各種事業の推進や支援
  14.  厚生労働省からの委託事業である循環器病データベース事業について、データベースシステムの検討や設計、推進体制の検討を含め、令和7年度稼働に向けた厚生労働省との調整や概算要求などの資料作成を行っている。この検討の中で、医療DXでうたわれているHL7 FHIRへの対応に関する検討や確認も行っており、一部はJH(国立高度医療研究センター 医療研究連携推進本部)の研究課題として2文書6情報のうち、退院時サマリのFHIR対応についても進めている。
     さらには、共創の場 健康医療データプラットフォームの責任者(情報統括部長)として、吹田市とのデータ授受に関する協議や、データプラットフォームの設計と仕様策定、今後の計画などの立案について中心的な役割を果たしている。