心臓外科
研究活動の概要
心臓外科は、主として虚血性心疾患、弁膜疾患、不整脈外科、重症心不全外科などの成人後天性心疾患を担当している。また、経カテーテル的弁膜症手術や小開胸による心臓手術に代表される低侵襲手術を開発してきた。末期的心不全に対する外科治療や重症弁膜症については移植部や循環器内科と連携して「ハートチーム」として治療・研究を行っている。さらに、外科治療成績の解析や新しい術式開発に関連した臨床研究を行うとともに、循環器内科、移植部、麻酔科、当センター研究所の各部門などと連携し、トランスレーショナル・リサーチに積極的に取り組んでいる。本邦での様々な治験も積極的に受託している。
具体的なテーマとしては、以下のテーマの研究を行った。
- 虚血性心疾患
- 冠動脈バイパス術手術の遠隔成績と短期及び長期にわたるリスク因子の抽出
- 短期及び長期成績から見た急性心筋梗塞機械的合併症に対する外科的アプローチの検討
- 心臓弁膜症
- ロボット補助下低侵襲手術の推進と均てん化に関する検討
- 心房性僧帽弁閉鎖不全に対する僧帽弁手術の成績の検討
- 経カテーテル的弁膜症手術における新規アプローチの開発、リスク解析
- 大動脈弁置換術の長期遠隔成績の検討
- 心不全外科
- 急性心不全に対する体外設置型補助人工心臓の新規アプローチの開発
- 植込み型補助人工心臓の成績の検討
- 心臓移植の長期遠隔成績に与える因子の抽出
- 不整脈外科
- メイズ手術遠隔成績の検討
- 右小開胸によるメイズ手術の成績の検討
2023年の主な研究成果
- 虚血性心疾患
- ダブルパッチ法による心筋梗塞後心室中隔穿孔修復術の成績を報告した。
- 心臓弁膜症
- Maze手術の成績をアプローチ別に検討し、右開胸による低侵襲アプローチの有用性を明らかにした。
- ロボット支援下三尖弁形成術の成績を報告した。
- 僧帽弁後尖逸脱に対する手術手技の最適化について報告した。
- 二尖弁に伴う大動脈弁疾患に対する大動脈弁置換術後に、上行大動脈が拡大しないことを報告した。
- 心不全外科
- 重症両心不全に対する体外設置型人工心臓による補助の最適化について報告した。
- 植込み型補助人工心臓装着患者における大動脈弁閉鎖不全の発生に対する外科治療の有効性を報告した。