バイオデジタルツイン研究部
研究活動の概要

 心血管系は物理的動作が主要な機能であることから、数理的モデルへの展開が、他臓器に比べて容易であるという特徴がある。国循とNTT-Rの共同研究チームは、心臓を中心とした循環のモデルを単純な電気回路モデルを基礎として構築し、患者個々の循環モデルを仮想空間に再現できることを目指している。これができることで、生体情報のインプットさえあれば、その患者の何が問題なのか?を瞬時に把握できるだけでなく、さまざまな治療シミュレーションが可能になることから、患者個々の病態や状況に合わせた最適化や将来的には自動治療(医師不要・医師以上の最適個別化治療の提供)も考えることができる。また、無数の心血管モデルを生成することで、仮想空間のみで臨床研究を行うような未来もあり得る。令和5年度は当該部門を立ち上げるとともに研究体制の強化や個別研究に関する学術的アウトプット増加に努めた。

2023年の主な研究成果

 令和5年は循環モデルに関する基礎的報告を積み重ねるとともに、自動治療につながる制御方法の開発や実証を大動物実験にて行った。

  1. 完全置換型人工心臓の循環平衡自動制御システムを開発した
  2. 体外式膜型人工肺と左室補助人工心臓の同時制御システムを開発した
  3. 麻酔時の低血圧を予防する血圧維持システムを開発した
  4. 循環平衡理論のアロメトリックスケーリング法を基礎開発した
  5. 原著論文8報、特許出願1件を行った