情報統括部・医療情報部
研究活動の概要

情報統括部・医療情報部では、当センターの研究活動の基盤となる情報ネットワークシステム、病院情報システムの運用管理および活用のための研究・開発を行っている。特に、電子カルテを始めとする診療情報の二次利用のための基盤構築および統計分析、医療現場におけるスマートデバイスやIoTの活用、情報セキュリティ対策、自然言語処理と人工知能（AI）活用による診療支援システムに関する研究など、医療情報学、医用工学、情報工学、診療情報管理学の分野における研究を行っている。

2020年の主な作業とその成果
  1. 情報システムの維持管理

    2. 　移転建替に伴い更新した各種情報システムの維持管理、運用体制の見直し、不具合の修正などを行った。特に、コロナ禍によるテレワークやオンライン会議やカンファレンスなどへの対応に多くの時間とマンパワーを要している。

  2. 病院情報管理システム（HIS）の更新と障害対応

    3. 　新しい病院情報管理システム（HIS）は、2019年7月に暫定稼働し、これに合わせて各種新設医療機器の接続作業や、不具合対応、移転にともなって生じた新しい要望への対応を行った。また、予定より大幅に遅延しているHISの構築については、2020年3月をもっても終了せず、2020年度中の終了にむけて、今後の方針や可能な範囲の構築に関する打ち合わせを行った。

  3. 情報セキュリティ対策の実施とセキュリティインシデントへの対応

    4. 　内閣サイバーセキュリティセンター、厚生労働省を始めとする情報セキュリティ監査への資料準備、対応を行った。監査における指摘事項を踏まえて、移転後の新しいネットワークシステムや情報システムの管理を行った。
    　O365（マイクロソフトメール）の導入により、アカウント乗っ取り疑い事例などが報告され、その対応についてNISC（内閣サイバーセキュリティセンター）や厚生労働省と連携しつつ対応を図った。

  4. 医事請求の適正化支援と診療録の量的・質的監査の実施

    5. 　診療情報管理室を中心として、DPCコーディングを中心とした医事請求内容の監査と医事請求の適正化を支援した。また、査定減の取り組みやクリティカルパスの出来高の分析、診療科への説明などに取り組み、新病院の稼働状況の管理や新システムによる請求漏れやミスの発見など、病院経営へ貢献している。

  5. 人工知能、レジストリなど臨床研究用情報システム構築の支援

    6. 　稼動しているシステム基盤を活用したレジストリ収集事業について、データ抽出からそのコード化整理、部門システムなどの業者との調整などを行っている。
    　また、人工知能活用基盤を導入し、人工知能活用プロジェクト全体の整理、稼動用基盤の準備と記述情報の抽出などを行い、当センターにおける人工知能関連プロジェクトの円滑な進展と研究への参画を行なっている。

  6. 研究等における個人情報管理

    7. 　研究等個人情報管理室の実質的な取りまとめと運営について、中心的な役割を果たしている。症例報告、診療情報の外部持ち出しなど、個人情報保護法の改正にともなう各種対応について、窓口および相談などの業務を担っている。

研究業績
  1. 平松 治彦. 医療情報技師 能力検定試験過去問題・解説集2020. 2020.
  2. 平松 治彦. 健診システム. 医療情報 第6版 医療情報システム編. 73-75, 2020.
  3. 山本 剛. 医療情報化の目的と変遷. 医療情報 第6版 医療情報システム編. 10-26, 2020.
  4. 上田 郁奈代. 診療情報管理部門業務に関するシステム. 医療情報 第6版 医療情報システム編. 248-250, 2020.
  5. 櫻井 理紗. 医療情報システムにおける標準マスター. 医療情報 第6版 医療情報システム編. 350-357, 2020.
  6. 平松 治彦. 全面移転に伴い更新をした国立循環器病研究センターの情報システムの概要. 新医療. 47, 42-47, 2020.
  7. 山本 剛. 動画像ネットワークの最新機能活用が病院にもたらすもの 仮想基盤上で動画像ネットワークを構築して. 新医療. 47, 98-101, 2020.
  8. 政岡 祐輝. 開発 研修に必要な教材・資料の作り方. 病院安全教育. 7, 98-104, 2020.
  9. 政岡 祐輝. 現場の看護師に必要な教え方の姿勢とスキル. 看護人材育成. 17, 62-68, 2020.
  10. 政岡 祐輝. 実施 眠たくならない!主体的な学びの支援の仕方. 病院安全教育. 7, 98-101, 2020.
  11. 政岡 祐輝. 評価 研修担当者としての成長. 病院安全教育 . 7, 123-126, 2020.
  12. 政岡 祐輝. 身体抑制 必要な時はある派 身体抑制が必要かの判断を的確に行う. 重症集中ケア. 19, 64-68, 2020.
  13. 政岡 祐輝. 医療情報技師 能力検定試験過去問題・解説集2020. 2020.
  14. 政岡 祐輝. 臨床での指導に必要な「教え方」のスキル13. 2020.
  15. 櫻井 理紗, 黒田 知宏, 杉町 勝, 中村 英夫, 木村 裕一. 生体医工学研究における臨床研究法への該当性判断の原理. 生体医工学. 58, 134-146, 2020.
  16. 櫻井 理紗, 今津 貴史, 山口 雅和, 本谷 崇之, 松本 佳久, 浅田 智巳, 上村 幸司, 平松 治彦, 山本 剛, 奈良﨑 大士, 宍戸 稔聡, 竹村 匡正. 健康イベントにおける健康計測データ管理システムの構築および国際生活機能分類による評価. Mumps. 29, 21-30, 2020.
  17. 山本 剛, 竹村 匡正, 上田 郁奈代, 櫻井 理沙, 森﨑 宗一郎, 政岡 祐輝, 上村 幸司, 平松 治彦. 統合データベースの構築と利用に向けての課題ー外来患者待ち時間調査への応用ー. 医療情報学. 40 Suppl, 461-462, 2020.
  18. 政岡 祐輝, 目片 寛之, 山本 剛, 上田 郁奈代, 上村 幸司, 平松 治彦. 看護記録における看護情報支援用スマートフォンの利用状況の実態調査. 医療情報学. 40 Suppl, 932-934, 2020.
  19. 櫻井 理沙, 竹村 匡正, 山本 剛, 板頭 信浩, 上田 郁奈代, 平松 治彦. 辞書構築の自動化を目指したカルテ記載の形態素解析における未知語の出現分析. 医療情報学. 40 Suppl, 494-495, 2020.
  20. 黒田 知宏, 黒田 佑輝, 櫻井 理紗, 木村 裕一. 在宅医療を取り巻く個人情報保護法制の実際. 人工臓器. 49, S-25, 2020.
  21. 黒田 知宏, 櫻井 理紗, 吉元 俊輔, 中村 英夫, 杉町 勝, 木村 裕一. 臨床研究法の該当性判断ガイドラインを充実させるために. 第59回日本生体医工学会大会 プログラム・抄録集. 550-552, 2020.