医学倫理研究部
研究活動の概要

 医学倫理研究部では、研究倫理・臨床倫理に関する学術研究、研究倫理教育・研修、研究倫理・臨床倫理コンサルテーションなど、医学研究と医療の中で直面する様々な倫理課題について研究・教育・支援の三方面から取り組んでいる。

 研究としては、センター内外の研究倫理コンサルテーションや、AMED「研究公正高度化モデル開発支援事業」で事業研究の実施に加え、各自の研究に取り組んでいる。理論研究と併せて、教育・実践に密着した研究を行っている。

主な研究テーマ

⮚ 医薬品・医療機器を用いた臨床試験に係る倫理・政策課題
⮚ ヒト試料等を用いた研究・ヒトゲノム研究等に係る倫理・政策課題
⮚ 臨床研究におけるインフォームド・コンセントの方法論的課題
⮚ 研究倫理のコンサルテーションおよび教育に関する方法論の構築と実践
⮚ 臨床研究の規制・ガバナンスに関する政策的課題
⮚ 臨床倫理および生命倫理・生命倫理政策に係る課題
⮚ 看護研究に係る倫理課題

2019年の主な教育・支援成果
  1. 研究倫理準専門家(研究倫理コンサルタント)養成パイロット研修会
     主催:AMED研究公正高度化モデル開発支援事業・松井班
     共催:徳島大学病院臨床試験管理センター
        国立がん研究センター生命倫理・医事法研究部
        東京大学医科学研究所公共政策研究分野
        国立循環器病研究センター医学倫理研究部

  2.  第1回 2019年10月26日、徳島大学病院(徳島市)

    プログラム内容

    講師等

     講義:研究倫理概論  楊河宏章(徳島大学病院臨床試験管理センター)
     講義:研究倫理コンサルタントに求められる心得、
        コア・コンピテンシー、およびルーブリック
        による評価
     松井健志
    (国立がん研究センター生命倫理・医事法研究部)
     模擬コンサルテーション
     ・相談事例提示
     ・注目点の分析
     ・模範回答・解説
     松井健志
     グループ演習1:口腔ケアの臨床試験  中馬真幸(徳島大学病院臨床試験管理センター)
     グループ演習2:オプトアウトの情報公開文書  松井健志
     山本圭一郎(東京大学大学院医学系研究科)


     第2回 2019年12月9日、仙台駅前ヒューモスファイヴビル貸会議室(仙台市)

    プログラム内容

    講師等

     趣旨説明:研修会のねらい  井上悠輔(東京大学医科学研究所)
     講義:研究倫理の基本的考え方  松井健志
    (国立がん研究センター生命倫理・医事法研究部)
     講義:研究倫理コンサルタントに求められる心得、
        コア・コンピテンシー、およびルーブリック
        による評価
     模擬コンサルテーション
     ・相談事例提示
     ・注目点の分析
     ・模範回答・解説
     山本圭一郎(国立国際医療研究センター)
     伊吹友秀(東京理科大学)
     グループ演習1:企業の支援を受けた画像解析研究  清水右郷
    (国立循環器病研究センター医学倫理研究部)
     グループ演習2:オプトアウトの情報公開文書  土井香
    (国立循環器病研究センター医学倫理研究部)


  3. 認定臨床研究審査会委員対象セミナー
     主催:医学倫理研究部  国立循環器病研究センター

    1. 一般の立場の委員対象 2019年9月18日
      「一般の立場の委員としてどのような視点で審査をしているか」
        森田秀樹(森田企画代表取締役)
      「一般の立場の委員にどのような視点での審査を期待しているか-事務局の立場から」
        北尾良太(京都大学医の倫理委員会事務局)

    2. 法律・生命倫理の専門家の委員対象 2019年10月18日
      「審査における法律・生命倫理の専門家の視点」
        飯島祥彦(名古屋大学医学部附属病院 医学研究・臨床倫理推進室長)

    3. 医学の専門家の委員対象 2020年2月7日
      「審査における医学の専門家の視点:臨床研究法をめぐる現状」
        楊河宏章(徳島大学病院臨床試験管理センター長)

  4. 臨床研究セミナー
     主催:臨床研究推進センター  国立循環器病研究センター

  5.  第1クール
     「倫理研修1 臨床研究倫理の要点」會澤久仁子、2019年4月24日
     「倫理研修2 トピックス:匿名化、広範同意、オプトアウト」會澤久仁子、2019年8月1日
     「研究倫理と利益相反」會澤久仁子、清水右郷、2019年10月11日

     第2クール
     「倫理研修1 臨床研究倫理の要点」會澤久仁子、2019年11月20日
     「倫理研修2 トピックス:匿名化、広範同意、オプトアウト」會澤久仁子、2020年1月29日
     「研究倫理と利益相反」會澤久仁子、清水右郷、2020年2月21日

  6. 倫理コンサルテーション実績
     2019年度実績(2019年12月時点):依頼件数182件 依頼者数87人
  7. *筆頭依頼者毎に集計

    図1. 依頼件数の年次推移

    図2. 依頼者数の年次推移

研究業績
  1. 清水 右郷. 認識的規範と倫理的規範の対立をどのように調停するか―ランダム化比較試験と臨床的均衡をめぐる論争の検討―. 日本リスク研究学会誌. 29, 111-121, 2019.
  2. 川崎 唯史. 傷つきやすさと実効的自由―メルロ=ポンティ的アプローチ. 臨床哲学. 20, 68-82, 2019.
  3. 松井 健志. インフォームド・コンセント. テキストブック再生医療~創る、行う、支える~. 68-73, 2019.
  4. 松井 健志, 遠矢 和希, 川崎 唯史, 清水 右郷, 服部 佐和子, 土井 香, 會澤 久仁子. 研究倫理コンサルテーション・サービスの整備による研究倫理機能の強化:国循での経験知から. 北海道生命倫理研究. 7, 40-47, 2019.