呼吸器・感染症診療部
研究活動の概要
呼吸器・感染症診療部は、〇呼吸器科、および〇感染症科の2つのセクションからなる。呼吸器科では循環器疾患との合併・併存が多い呼吸器疾患を中心に、循環器疾患との関連を調べ新しい診療概念の確立を目指している。感染症科では循環器領域における効果的な感染症診療の確立に向けて、臨床検査部や薬剤部と連携して研究活動を行っている。
具体的には以下のテーマの研究を行っている。
- 循環器領域における睡眠時無呼吸の病態解明と効果的診療方法の確立に関する研究
- 循環器疾患患者における感染症発症状況の把握と効果的な感染予防策および診断・治療方法の確立に関する研究
- 心機能障害と閉塞性呼吸機能障害の相互作用に関する臨床的研究
- 慢性心不全とCOPDの相互作用に関する研究
2018年の主な研究成果
- 睡眠障害に係る身体心理的ストレスが、身体加速度と自律神経系の協働連関の指標に反映されるのではないかと考察し、睡眠障害によるストレス度を反映する新規指標の候補として%Lag0を考案し、この指標の睡眠障害におけるストレスマーカーとしての意義について検討している。睡眠呼吸障害(SDB)患者(N=19)における無呼吸低呼吸指数(AHI)と%Lag0との関連を調べたところ、重症SDB患者では%Lag0は低下する傾向にあるが、軽症・中等症SDB患者の%Lag0は大きくばらついた(中間解析)。さらにAHIと睡眠前後の%Lag0の関連を調べたところ、睡眠前の%Lag0が低値の場合、AHI値に関係なく、睡眠後の%Lag0低下率が大きい傾向にあった(N=7)(中間解析)。これまでの検討から、%Lag0はAHIとは独立した、睡眠ストレス指標になりうると考えられた。
- 肺高血圧患者の呼吸機能検査および心カテーテル検査(2014〜2015年分約400症例)に関するデータベースを作成し、年齢、性別、%FEV1、FEV1/FVC、meanPAP 等の各因子間の相関を解析中である。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する慢性心不全(CHF)患者を対象とし、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)/ 長時間作用性β2刺激薬(LABA)投与群とLAMA/LABA非投与群をランダム化比較することで、血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値を指標にしたLAMA/LABAの心不全改善効果を明らかにする目的で、特定臨床研究「慢性閉塞性肺疾患を有する慢性心不全患者におけるLAMA/LABA投与による心不全改善効果の検討に関する探索的臨床試験」(多施設・試験薬投与/非投与・比較対照・並行群間比較・ランダム化・非盲検・探索的臨床試験)を計画中である。
研究業績
- 佐田 誠. 睡眠時無呼吸症候群はなぜサイレントキラーなのか? —眠っている間に病気が作られる!?— 特集:睡眠時無呼吸症候群. 関西労健. 96, 2-17, 2018.