肺循環科
研究活動の概要

肺循環科は肺高血圧症、静脈血栓塞栓症、成人先天性心疾患等の診療をおこなっており、研究として現在3つの柱を中心に行っています。
①肺動脈性肺高血圧症のメカニズム解明とその治療方法の確立、②慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する肺動脈カテーテル治療の確立、③急性肺塞栓や深部静脈血栓症等の静脈血栓症のメカニズムおよび最適な治療研究です。
肺動脈性肺高血圧症は根本的治療がなく予後は不良で近年の治療の進歩もありますがそのメカニズムは不明であり機序解明が必須であり、肺高血圧先端医学研究部において研究所及び病理部と共に研究を行っています。
肺動脈性肺高血圧症に関しては現在積極的な治療で極めて良好な成績を得られており臨床研究をおこなっています。また慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する肺動脈カテーテル治療において治療効果と安全性の両方を満たす治療を行なえるよう研究を行い、現在飛躍的に効果および安全性も向上しており、その成績をまとめています。

具体的には以下のテーマの研究を行っています。

  • 肺動脈性肺高血圧症におけるupfront combination therapyの効果
  • 膠原病、肺疾患等の肺動脈性肺高血圧症における病理学的血管病変の検討
  • 肺高血圧症を伴うCPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema)における肺静脈病変の関与
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症における肺動脈カテーテル治療と薬物治療の効果
  • 深部静脈血栓症に対するカテーテル治療の効果
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン治療後におけるリハビリテーションの右室に対する効果
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン治療の反応性における検討
  • 肺高血圧症患者における右心機能の検討
  • 肺動脈性肺高血圧症における腸内細菌の影響(肺高血圧先端医学研究部)
  • 肺動脈性肺高血圧症における右心機能に対する新規治療(肺高血圧先端医学研究部)

2018年の主な研究成果
  • 肺動脈バルーン拡張術後の右心機能の実態を明らかにし心電図で予測できることをInt J Cardiol誌に掲載した。
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療に関して国際シンポジウムでまとめ、Eur Resp Jに掲載された。
  • 慢性の深部静脈血栓症に対する安全で効果的な治療法を臨床で確立しCirc J誌に掲載された。
研究業績
  1. Nakamura K, Sakaguchi M, Matsubara H, Akagi S, Sarashina T, Ejiri K, Akazawa K, Kondo M, Nakagawa K, Yoshida M, Miyoshi T, Ogo T, Oto T, Toyooka S, Higashimoto Y, Fukami K, Ito H. Crucial role of RAGE in inappropriate increase of smooth muscle cells from patients with pulmonary arterial hypertension. PLOS ONE. 13, e0203046, 2018.
  2. Ueda J, Tsuji A, Ogo T, Asano R, Konagai N, Fukui S, Morita Y, Fukuda T, Yasuda S. Beneficial Effect of Endovascular Treatment on Villalta Score in Japanese Patients With Chronic Iliofemoral Venous Thrombosis and Post-Thrombotic Syndrome. Circulation Journal. 82, 2640-2646, 2018.
  3. Menon K, Sutphin PD, Bartolome S, Kalva SP, Ogo T. Chronic thromboembolic pulmonary hypertension: emerging endovascular therapy. Cardiovascular Diagnosis and Therapy. 8, 272-278, 2018.
  4. Konagai N, Fukui S, Kitano M, Asaumi Y, Nakanishi M, Ogo T, Fujita T, Ohnishi Y, Kobayashi J, Yasuda S. Successful Transcatheter Atrial Septal Defect Closure Prior to Coronary Artery Bypass Grafting Using Anti-Congestive Therapies and Intraaortic Balloon Pumping in a Patient with Severe Ischemic Cardiomyopathy and Triple-Vessel Coronary Artery Disease. International Heart Journal. 59, 1480-1484, 2018.
  5. 大郷 剛. 遺伝性肺動脈性肺高血圧症. 循環器診療 ザ・ベーシック 肺高血圧症. 2018.