情報統括部・医療情報部
研究活動の概要

情報統括部・医療情報部では、当センターの研究活動の基盤となる情報ネットワークシステム、病院情報システムの運用管理および活用のための研究・開発を行っている。特に、電子カルテを始めとする診療情報の二次利用のための基盤構築および統計分析、医療現場におけるスマートデバイスやIoTの活用について、安全に利用できる情報ネットワークシステムの情報セキュリティ対策、自然言語処理と人工知能(AI)活用による診療支援システムに関する研究など、医療情報学、医用工学、情報工学、診療情報管理学の分野における研究を行っている。

2017年の主な研究成果
  1. 新センターに向けた情報システムの仕様書作成と実施
  2. 平成31年に予定されている移転建替に伴う情報システムの構築に向けて、病院情報システム、NCVCネットワークシステム、セキュリティシステムや統合データベースに関する方針策定とその仕様書作成を行った。

  3. 病院情報システムの改修と障害対応
  4. 電子カルテシステムの適切な運用のために、医師、看護師、各部門の代表、電子カルテベンダーによる進捗会議を毎月実施するだけでなく、主要業者であるNECなどと頻回の打ち合わせを行い、現行システムの機能や運用に関する問題点の把握と共有、改修を実施し、システム全体の改善を図っている。
    また、障害発生時に、新システムを見据えた対応策について検討し、信用現場とコストへの影響を必要最低限に抑制している。

  5. 情報セキュリティ対策の強化
  6. 厚生労働省を始めとする情報セキュリティ監査への資料準備、対応を行った。また、これらの指摘やUSBメモリの紛失などを踏まえて、情報セキュリティポリシーの見直しやNCVCネットワークの設定変更、標的型攻撃メールの訓練や複数回の情報セキュリティ講習会、USBメモリなどの可搬記憶媒体の登録制の実施、SNS・クラウドサービスの利用申請を行った。

  7. 医事請求の適正化支援と診療録の量的・質的監査の実施
  8. 診療情報管理室を中心としてDPCコーディングを中心とした医事請求内容の監査と医事請求の適正化を支援した。また、査定減の取り組みやクリティカルパスの出来高の分析、診療科への説明などに取り組み、当センターの経営改善に大きく貢献している。

  9. 人工知能、レジストリなど臨床研究用情報システム構築の支援
  10. 稼動しているシステム基盤を活用したレジストリ収集事業について、データ抽出からそのコード化整理、部門システムなどの業者との調整などを行っている。また、人工知能活用基盤を導入し、人工知能活用プロジェクト全体の整理、稼動用基盤の準備と記述情報の抽出などを行い、当センターにおける人工知能関連プロジェクトの円滑な進展と研究への参画を行なっている。

  11. バイオバンク病名登録の改善
  12. これまでもバイオバンク病名登録を実施してきているが、2017年には未登録分だけでなく過去に登録ができていなかった併存病名登録について集中的に処理を行い病名登録を完了させた。また、個人依存していた登録業務について、部門としての実施が可能な体制整備を行った。

  13. 研究等における個人情報管理
  14. 研究等個人情報管理室の立ち上げの取りまとめ、その後の運営について中心的な役割を果たしている。症例報告、診療情報の外部持ち出しなど、個人情報保護法の改正にともなう各種対応について、窓口および相談などの業務をになっている。

研究業績
  1. Inada S, Shibata N, Iwata M, Haraguchi R, Ashihara T, Ikeda T, Mitsui K, Dobrzynski H, Boyett M, Nakazawa K. Simulation of ventricular rate control during atrial fibrillation using ionic channel blockers. Journal of Arrhythmia. 33, 302-309, 2017.
  2. 芦原 貴司, 坂田 憲祐, 奥山 雄介, 小澤 友哉, 土屋 健, 原口 亮, 稲田 慎, 中沢 一雄, 堀江 稔, 杉本 喜八, 永田 啓. 慢性心房細動アブレーションの新たな治療戦略に向けたインシリコの応用. 第37回医療情報学連合大会論文集. 796-798, 2017.
  3. 一瀬 貴宏, 服部 美奈子, 白井 伸恵, 山本 剛, 上村 幸司, 平松 治彦. DPCデータの分析による救急医療指数低下要因の検証と改善のための取り組み. 第37回医療情報学連合大会論文集. 408-409, 2017.
  4. 稲田 慎, 井上 優子, 柴田 仁太郎, 山本 剛, 芦原 貴司, 相庭 武司, 草野 研吾, 池田 隆徳, 三井 和幸, 中沢 一雄. ベクトル心電図特徴量と不整脈発生起源との関係. 第37回医療情報学連合大会論文集. 863-864, 2017.
  5. 稲田 慎, 井上 優子, 柴田 仁太郎, 山本 剛, 鈴木 信宏, 池田 隆徳, 芦原 貴司, 中沢 一雄. 12誘導慎心電図からの期外収縮発生起源同定の検討. 電子情報通信学会技術研究報告. MBE2016-89(116), 37-40, 2017.
  6. 粂川 雅子, 下村 修, 村上 裕一, 堀 健太, 平松 治彦, 竹村 匡正. 緊急指示の効果的な通知方法についての検討. 第37回医療情報学連合大会論文集. 660-661, 2017.
  7. 山本 剛, 竹村 匡正, 村川 圭三, 上田 昴志, 櫻井 理紗, 上村 幸司, 平松 治彦. 医用画像検査における検像行為の現状と問題点. 第37回医療情報学連合大会論文集. 873-874, 2017.
  8. 谷 昇子, 奈良﨑 大士, 山下 尚子, 西村 治彦, 横田 千晶, 平松 治彦, 峰松 一夫. 脳卒中教育アプリケーションを活用した啓発対象学年の検討. 第37回医療情報学連合大会論文集. 1049-1050, 2017.
  9. 中尾 明子, 東山 綾, 松尾 典子, 板頭 信浩, 大棚 欣也, 宮本 恵宏, 植田 初江, 平松 治彦. バイオバンク病名登録の正確性向上の取り組み−NCVC バイオバンク−. 第37回医療情報学連合大会論文集. 608-611, 2017.
  10. 服部 奈美子. DPCコーディングの不備改善 レセプト分析と情報共有の改善 DPC監査の強化に伴う診療報酬請求適正化支援. 医事業務. 24, 27-31, 2017.
  11. 平松 治彦. 医療情報システムのデータ利用における課題. 薬理と治療 増刊2号. 45, s76-s78, 2017.
  12. 平松 治彦. 第10回試験~第14回試験「解説」. 医療情報技師 能力検定試験過去問題・解説集2017. 200-330, 2017.
  13. 平松 治彦. 国際共同研究など外国にある第三者へのデータ提供について注意すること. 医療情報学. 37, 253-255, 2017.
  14. 櫻井 理紗, 竹村 匡正, 山口 雅和, 中井 隆史, 宍戸 稔聡, 平松 治彦, 山本 剛, 奈良崎 大士, 上村 幸司. ICFを用いた健康情報基盤構築のためのデータ集積手法の検討. 第37回医療情報学連合大会論文集. 788-789, 2017.