呼吸器・感染症診療部
研究活動の概要

 呼吸器・感染症診療部は、〇感染症科および〇呼吸器科の2つのセクションからなる。呼吸器科では循環器疾患との合併・併存が多い呼吸器疾患を中心に、循環器疾患との関連を調べ新しい診療概念の確立を目指している。感染症科では循環器領域における効果的な感染症診療の確立に向けて、臨床検査部や薬剤部と連携して研究活動を行っている。

具体的には以下のテーマの研究を行っている。

  1. 循環器疾患患者における感染症発症状況の把握と効果的な感染予防策および診断・治療方法の確立に関する研究
  2. 感染症の早期発見・治療評価のための非侵襲的診断法の開発
  3. 循環器領域における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の合併・併存状況の把握に関する研究
  4. 慢性心不全とCOPDの相互作用に関する研究
  5. 循環器領域における睡眠時無呼吸の病態解明と効果的診療方法の確立に関する研究
2017年の主な研究成果
  • 肺高血圧患者の呼吸機能検査および心カテーテル検査(2014〜2015年分約400症例)に関するデータベースを作成し、年齢、性別、%FEV1、FEV1/FVC、meanPAP 等の各因子間の相関を調べた。
  • 身体加速度と心拍周波数変動の時系列間に生じるラグ(Lag)の連続解析プログラムを利用し、その時系列相互相関解析から、身体加速度と自律神経活動における時差がない頻度[Lag0出現頻度(%Lag0)]を算出した。%Lag0 は高齢者では有意に低下し、身体活動ー自律神経活動の協働連関(身体活動ー自律神経応答)の健全性を評価する指標と考えられた。夜間途中覚醒の有無と %Lag0 の関連をみたところ、起床後途中覚醒のあった群では %Lag0 が減少する傾向が見られたことから、睡眠呼吸障害 (SDB) などで就寝中途中覚醒のある場合、起床後の自律神経—身体活動間の協同連関が障害される可能性が考えられた。
研究業績
  1. 佐田 誠. 心疾患患者に潜在するCOPDの診断と治療. CARDIAC PRACTICE. 28, 43-50, 2017.