看護部
研究活動の概要

 看護部における研究活動は、循環器病看護の知識・技術の向上を目指すために必須の活動であり、以下の取り組みを行ってきた。

 看護部組織における看護研究推進委員会では、「研究対象者の人権擁護」の側面から、研究の視点・研究目的・研究方法・評価方法などについて検討し、看護研究の質向上を目指している。今年度は、倫理委員会の審査に向けて助言と調整を主とした予備審査を委員会が担い20件の申請に繋がった。研究への関心と研究的な思考を育て研究意欲につなげるための活動を行っている。学会前には計49題の予演会を開催し、意見交換を実施した。

 また、看護部の教育研修プログラムの一環として、専門看護師等を講師とし、看護研究の意義、文献検索、倫理的配慮、研究計画書の作成の仕方などの学習を継続している。

 今年度に看護部で取り組んだ研究は、当センターならではの高度で特異的な診療を必要とする難易度の高い症例の看護に関するもの、患者・家族指導や支援に関するもの、看護師の実践能力の評価、教育・人材育成に取り組んだもの、看護管理者の視点からのものなど、60題を学会及び学術集会で発表することができた。

 さらに、『NCVC看護研究会』が中心となり、「臨床研究計画書の書き方」「臨床研究計画書作成の実践」「量的研究に焦点をあてた統計処理方法」についての講座を開催した。今年度の『NCVC看護研究学会』では12題の口述発表と5題のポスター発表が行われた。ランチョンセミナーでは、「心臓移植医療におけるチャイルド・ライフ・スペシャリストの役割」について小児の心臓移植医療の現状の一面を紹介し、特別講演では、「幸せな未来を導くための学び合う組織の構築」をテーマに京都大学医学部附属病院の内藤知佐子講師を招いた。日々病棟で取り組んでいる看護実践を積極的に共有し、お互いに刺激を受け、切磋琢磨できる機会となった。

2016年の主な研究成果
  1. 今年度に倫理委員会で決定通知を受けた研究
    1. 研究助成による研究
      1. 循環器病研究開発事業
        • 循環器専門病院における看護基礎情報の解析及び再構築に関する研究
      2. 公益財団法人循環器病研究振興財団 循環器疾患看護研究助成
        • 脳血管疾患患者における術後せん妄状態発症の要因分析
        • 内科系心臓血管集中治療科(CCU)における睡眠バンドル導入の効果
    2. 倫理委員会承認研究
      • Fontan術後の急性期におけるHigh-flow nasal cannulaの有用性の検討
      • ユマニチュードを体験学習したことでみられる看護ケアの変化
      • 急性期脳卒中患者に対する気管吸引
      • 急性期脳卒中患者における脳卒中関連肺炎に関する因子の検討
      • 急性期脳内出血患者における経口摂取継続可能例と意識障害の関連性の検討
      • 急性期広範囲前壁心筋梗塞後の重症心不全を合併した看護に対し超急性期よりリハビリテーションを施行した一例
      • 活用場面の類推による学習転移を目指した内省支援ツールの再設計
      • 実践報告「CCUにおけるせん妄に起因したインシデント件数減少への取り組み」
      • 吸入プロスタサイクリン誘導体治療患者に効果的な看護外来システムの構築
      • 院内発症時に看護師がとらえた脳卒中患者の神経徴候増悪についての調査
      • 体外式両心室補助人工心臓装着中患者の意欲向上に向けた看護介入
      • 半側空間無視に対する空間を広げるアプローチに関する研究
      • 植込み型補助人工心臓退院プログラムに関する後ろ向き観察研究
      • デバイス植え込み患者の外来看護相談に関する後ろ向き観察研究
      • 脳卒中関連病棟に勤務する看護師が重要視している項目に対する現状調査
      • 脳血管疾患患者における術後せん妄状態発症の要因分析
      • 脳神経外科疾患で手術を受けた患者の経口摂取までの期間についての後ろ向き研究
      • 内科系心臓血管集中治療科(CCU)における睡眠バンドル介入の効果
      • (他18研究は申請中)
  2. 症例報告
    • 疾患の治療に関しての患者看護に関する内容
    • 外来看護、在宅支援および在宅看護等の継続看護に関するもの
    • 植え込み型重症心不全患者の補助人工心臓装着中の看護および心臓移植後患者の看護に関するもの
    • 循環器疾患患者の心理及び緩和ケアに関連したもの
    • 安全な看護の提供を目的にアルゴリズムシートの評価や教育方法に取り組んだもの
    • 循環器疾患看護の質評価、質向上に向けた人材活用および教育
    • 皮下植込型除細動器に対する看護
    • 長期臥床を余儀なくされた予後不良の心不全合併急性心筋梗塞患者の危機的介入について
    • 循環器疾患のクリテイカルパスに関連したもの
    • 心臓血管外科及び心臓内科集中治療室における臨床現場での看護技術の検討に関するもの
    • 看護師長の役割として看護管理者の視点に関するもの
    • 心臓移植待機患者および植込型左心補助人工心臓装着患者の社会復帰に向けた回復期心臓リハビリテーションへの介入
    • 心臓リハビリテーションに関するもの
    • 胎児診断を受けた家族支援に関する介入
    • 心疾患を有する褥婦への看護
    • 心不全患者の看護
    • 成人先天性移行期患者の介入に関するもの
    • 完全大血管転位症に対し2歳でRasrelli術を受けた患児の術後急性期の呼吸ケア

【総演題数60題を以下の学会及び学術集会への院外発表を行った】

日本医療マネジメント学会学術総会、日本医療マネジメント学会大阪支部学術集会、日本小児循環器学会、
日本心臓リハビリテーション学会、日本心不全学会学術集会、近畿地区国立病院看護学会、
日本循環器看護学会学術集会、国立病院総合医学会、日本人工臓器学会、国立病院看護研究学会、
大阪母性衛生学会学術集会、日本成人先天性心疾患学会、心臓血管外科ウインターセミナー学術集会、
日本集中治療医学会、日本胎児心臓病学会学術集会、日本循環器学会学術集会、日本脳卒中学会総会