小久保喜弘 医師

国立循環器病研究センター健康サポートセンターでの役割

 生活習慣の改善は自分一人では分かっていてもなかなか難しいものです。予防医学専門の立場から、エビデンスに基づいて、どの様なことに心がけ、実践していけば病気になりにくいか、たとえ病気になっていても再発しにくいかについて、無理なくその人にあったことを一緒に考え支援していきます。

小久保喜弘医師のプロフィール

 予防医学を担当し、予防健診部で健診の診察および生活習慣の改善指導、禁煙外来、高度循環器ドックを担当しております。1996年東京医科歯科大学医学部医学科を卒業、2000年同大学院医科学研究科を卒業後、同大学難治疾患研究所疫学教室研究員として、新潟県新発田市、兵庫県宍粟郡(現在の宍粟市)の地域保健として健診と生活習慣の改善指導を担当していました。2001年に国立循環器病センター集団検診部(現在の予防健診部)に移り、吹田市および吹田市医師会と連携して、吹田市の基本健診と生活習慣改善指導をおこなってきました。2006年から禁煙外来が開始され担当医をしております。2007年に医長、2018年より高度循環器ドックの診察及び結果指導の担当医をしております。また当センターで吹田国保受診者の動機づけ支援も行っております。2019年に併任として臨床研究開発部室長になり、院内の倫理に関する事前審査をおこなっております。さらに、2019年より予防外来として保健指導を開始しました。一期一会を大切にして、病気にならないように皆様方の健康増進と健康寿命の延伸のために日夜取り組んできております。長所は粘り強さと諦めないことです。趣味は読書、日曜大工、絵画、クラシック。座右の銘は「自己形成に必要な周りの10名」。

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予防医学を熟知

 都市部地域住民を対象とした吹田研究により、循環器疾患予防に関連する様々な発症要因について予防健診部の先生方、他大学の先生方と一緒に成果を出してきました。追跡研究だけで30編論文あり、また大規模コホート研究から、生活習慣と循環器疾患予防との関係について28編の論文をまとめており、高血圧治療ガイドラインに7編、動脈硬化性疾患予防ガイドラインに4編の論文など多くのガイドラインに引用いただいて我が国の予防に役立っていただいております。また、欧米の循環器学会のフェローを行い国内外での交流を深めて、特に国際高血圧学会理事として、我が国と海外の高血圧予防の差異について検討しております。それによると、高血圧予防として日本高血圧ガイドラインに掲載されている7項目(減塩、野菜果物・魚の積極的摂取、適正体重、適正飲酒、禁煙、運動)は、欧米のガイドラインと見方がかわっても内容はほぼ同じであり、文化や人種を超えて高血圧予防に普遍な項目として保健指導を行っております。さらに、動脈硬化性疾患予防ガイドラインのうち、高血圧ガイドライン以外の内容として3項目(加工食品を控える、食物繊維・大豆製品の積極的摂取)があり、2つのガイドラインを合わせた10項目は、循環器疾患全般的に、またがんなど他の疾患でも応用でき、生活習慣改善として指導の現場で行っております。
 頸動脈超音波検査で用いるプラークの定義も我が国で初めて示し、プラークに進展するとその後の循環器病発症リスクであることを世界で初めて示しました。現在は、頸動脈超音波検査を利用した予防方法を現場で検討しております。
 これまで、古典的な危険要因と循環器疾患との関連の論文をまとめました。個々のリスク要因だけでは、その人の疾患が将来どの程度の確率で発症するかは分かりません。そこで、循環器疾患の10年後予測確率が出せるような取り組みも行っております。我々は、虚血性心疾患と心房細動のリスクスコアを開発しました。虚血性心疾患のリスクスコアは、動脈硬化学会で吹田スコアとして採用され、リスクスコアのレベル別に全国の一般外来で使われています。心房細動のリスクスコアは我が国初めてのスコアで公開して心房細動予防に活用しております。この2つのリスクスコアはいずれも心不全の大きな発症要因となる疾患であり、我が国で初めて心不全予防に向けての予防方法を現在構築し立ち上げるところです。

経歴

1996年3月 東京医科歯科大学医学部卒業
2000年3月 同大学医学研究科卒業
2000年4月 同大学難治疾患研究所疫学教室研究員 (~2001年3月)
2001年4月 国立循環器病センター集団検診部(現予防健診部)
2007年7月 国立循環器病センター予防健診部医長
2009年4月 東京医科歯科大学医学部医学科非常勤講師
2010年4月 研究開発基盤センター予防医学・疫学情報部室長(併任 ~2013年3月)
2015年4月 大阪大学大学院医学研究科招聘教授
2015年9月 英国グラスゴー大学循環器医科学研究所客員教授
2018年4月 東京医科歯科大学大学院グローバルヘルス公衆衛生マスター非常勤講師
2019年7月 国立循環器病センター臨床研究開発部室長(併任)

専門医・認定医

社会医学系専門医・指導医認定
公衆衛生学会認定専門家
日本疫学会認定上級疫学専門家
米国心臓協会国際フェロー(F.A.H.A., 疫学、脳卒中、高血圧)
欧州心臓学会国際フェロー(F.E.S.C.)
米国心臓専門学会ディプロマ(F.A.C.C.)
欧州脳卒中学会フェロー(F.E.S.O.)

テレビ、雑誌等で取り上げられた取材内容


医のココロ

新しい医療のまち~健都~
最近の研究成果で見えてきたこと(吹田研究)
2019年10月19日(土)午前5:20分~5時30分

https://www.mbs.jp/inokokoro/archive55.shtml


ガッテン!「心疾患&糖尿病をダブルで予防!すごさ再発見”あの栄養素”とは」
NHK総合テレビ 2019年9月4日

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190904/index.html?c=food


1日200gのフルーツで美と若さを!
甘くても太らない!フルーツ生活のススメ
2018年12月25日(火)BSプレミアム 午後10時~10時59分

https://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2018/139/311784.html

林修の今でしょ!講座 日本全国!健康長寿の方々を大調査 秋の長生き朝食ベスト20 テレビ朝日 2019年10月22日(火)午後7時~9時50分

https://www.tv-asahi.co.jp/imadesho/osarai/0026/

動脈硬化からの循環器病 超音波で分かる発症リスク
産経新聞 2018年7月19日

https://www.sankei.com/life/news/180719/lif1807190009-n1.html

吹田研究が世界に示した頸動脈エコーの意義
メディカルトリビューン 医療ニュース 2018年6月22日

https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0622514775/

心房細動リスクの採点表国立循環器病センターが公開
47NEWS 2017年6月27日

https://www.47news.jp/medical/news/273981.html

吹田市ホームページ

https://www.city.suita.osaka.jp/home/soshiki/div-somu/koho/shiho/shiho30/1807/06-07.html

コラム1

 循環器病にならないために心がけることは何でしょうか。それを科学的根拠に基づいてまとめました。科学的根拠としたのは、病気の予防・ 治療の指針であるガイドラインで、それぞれのガイドラインは国内外の 論文を徹底的に調べ、確からしいと判断できた項目をまとめたものです。 今回は、高血圧と動脈硬化性疾患予防の二つのガイドラインで重視されている10の項目を中心に話を進めます。これら10項目をしっかり実行していただければ、他の病気のガイドラインでもその多くが重なりますので、高血圧や動脈硬化性疾患ばかりではなく、さまざまな疾患予防も心がけることになり、ひいては健康長寿を目指すことにつながると考えます。世の中には実に多くの健康情報があふれていますが、私たち人類に普遍的ともいえるこれら10項目を、まず心がけていただければ何よりです。

知っておきたい循環器病あれこれ
循環器病の予防 鍵は10項目 ─ 健康長寿を目指す ─

http://www.jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_133.pdf

コラム2

 我が国の食生活は、高度経済成長時代を迎えるまで、ごはん、味噌汁におかずといった、いわゆる高炭水化物、高塩分、低タンパク質、低脂肪食でした。それ以降、欧米の食文化が入ってきて、副菜が豊かになりタンパク質と脂肪の摂取量が増加し、独自の食文化を遂げてきました。昨年、和食がユネスコに取り入れられて、国際的に日本の食文化が大きく挙げられ、ヘルシーな和食を見直そうという動きが国内外でみられてきました。
 和食の中心的な食品である魚と大豆製品をよく摂取すると、循環器病の予防になり、長寿につながることが最近の研究成果でわかってきました。また、高血圧や動脈硬化のガイドラインにも、予防に必要な食品として挙げております。このようなことから、魚や大豆製品をしっかり摂ることが健康長寿につながります。和食の良さを見直しているこの機会に、和食の中心的な食材である魚と大豆製品を見直すことが重要です。しかし、最近、魚と大豆製品の摂取量が減少しており、今後の健康増進をたいへん憂いています。
 そこで、魚と大豆製品が摂れる食生活を考えるに当たり、日に1回は和食を摂ることが良いと考えています。その中でも、みそ汁は和食の代表的な1品であり、みそ汁を摂取する食生活は自然に和食が摂れるようになります。しかし、血圧が高い方はみそ汁を避ける傾向にあります。以前は特に東北地方では1回の食事でみそ汁を2杯以上摂っていてかなりの塩分量になるので、さすがにみそ汁を控えるように言われましたが、最近のみそ汁摂取量は都市部で平均週3杯程度と少ないため、みそ汁を控えてもそれほど減塩につながりにくく、また、最近の研究では日に1杯のみそ汁が高血圧になりにくいことがわかってきております。みそ汁の具材に含まれるからだに良い食材が摂れるので、ある程度摂取したほうが良いと考えられます。従って、味噌を上手に使い健康を維持することができると考え、今回味噌料理をご紹介するに至りました。
 この料理本では、欧米の食文化が入ってきた現代の食生活にも、味噌を使った料理ができないか検討しました。さらに、多忙な現代社会において調理時間がなかなか取れない中で、味噌を上手に利用できるように、味噌タレを紹介しております。このタレを利用されることで、忙しい人にも味噌を使った料理を工夫して作れるようになり、海外の方もこのタレを活用できると思います。当時、産業革命時に多忙すぎて自分たちの食文化を失ったといわれるイギリス人のように、和食という食文化が博物館の遺物として陳列されることのないように、日常生活の中で和食が良い形で継続して行くことができるように願ってこの本をまとめました。
 世界保健機関は、世界中の人の食塩摂取目標を1日5gとしています。最新の日本高血圧学会のガイドラインには塩分摂取量を6gに制限しております。このことを踏まえてこの平均5.5gの食塩量のうちで、みそ汁が2割に収まるようにし、またそれに合わせて他のメニューも1回当りの塩分摂取量を1.1g超えないようにメニューを考えました。お味噌を見直して上手に利用していただいて、からだに良いことを始めてみてはいかがでしょうか。

からだがよろこぶみそ料理 miso
祥伝社 2015年3月

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784396440220