小林順二郎 センター長

国立循環器病研究センター健康サポートセンターでの役割

経験を生かして、心臓病に不安のある方、例えば狭心症や、弁膜症、大動脈瘤の治療を受けられている方に適切な治療法や手術の必要性・方法についてアドバイスをいたします。

小林順二郎センター長のプロフィール

主として、後天性心疾患の外科治療を担当し、心臓血管外科チームを2018年まで率いてきたのが小林順二郎医師です。1980年大阪大学医学部を卒業、1990年シカゴ小児病院心臓胸部外科 Research Fellow、1992年アラバマ大学バーミングハム校胸部心臓血管外科Special Postgraduate Fellowとして、臨床研修を行い、1年で約600例の手術に参加。1993年に帰国し、1994年に国立循環器病センターに移って、1997年にはドイツ・ハノーファー医科大学で、心臓移植の臨床研修を受けています。1998年に医長、2005年に部長、2010年に心臓血管外科部門長、2012年には副院長、2018年から病院長に就任。2020年4月より健康サポートセンター長、名誉院長。長所は、決断力と忍耐力そして危機回避の第6感。趣味はゴルフ、読書(浅田次郎、東野圭吾、宮部みゆき、葉室麟)、座右の銘は「いざは常、常はいざなり」。

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心臓手術を3000例に施行

高難度の技が求められる低侵襲な小切開の術式を熟知

低侵襲心臓手術(MICS)を得意として、弁膜症手術から人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術(OPCAB)、最近ではロボット支援下心臓手術や経カテーテル弁膜症手術まで積極的に取り組んでおります。これまでに冠動脈バイパス術約1300例(90%以上がOPCAB)、弁膜症手術約1200例、経カテーテル大動脈弁植え込み術約300例を執刀医として行っています。得意な手術は、僧帽弁形成術とOPCAB、経カテーテル弁膜症手術です。2005年には日本冠疾患学会、2016年には経カテーテル弁治療学会、2017年には冠動脈外科学会の会長を勤めました。
 MICS手術は、胸の下を小さく開く術式で、胸の真ん中を大きく開く一般的な手術に比べ、傷が小さく低侵襲なうえ、女性は乳房で傷が隠れます。痛みや合併症も回避でき、術後の回復が早い。究極のMICS手術がロボット支援下心臓手術です。その一方で、麻酔や人工心肺の方法、心臓を止めている間の心筋保護などの処置が複雑になり、手術手技が難しくなります。

経歴

1980年 大阪大学医学部卒業
1984年 大阪大学大学院医学研究科修了 医学博士
1985年 大阪府立病院心臓センター心臓血管外科
1987年 紀南総合病院外科
1990年 シカゴ小児病院心臓胸部外科 Research Fellow
1992年 アラバマ大学バーミングハム校胸部心臓血管外科Special Postgraduate Fellow
1994年 国立循環器病センター心臓外科
2005年 同部長
2010年 同心臓血管外科部門長
2012年 国立循環器病研究センター副院長
2018年 同病院長
2020年 同健康サポートセンター長 同名誉院長

学会等社会活動

日本胸部外科学会(理事:平成23年~平成28年、評議員:平成16年~)
日本心臓血管外科学会 (理事:平成28年~、評議員:平成22年~)
日本冠疾患学会(理事:平成17年~、会長:平成17年、評議員:平成15年~)
東北大学大学院医学研究科 心臓血管外科客員教授(平成24年~)
慶應義塾大学 医学部 客員教授(平成25年~)
日本心電図ペーシング学会(評議員:平成12年~)
日本冠動脈外科学会(理事:平成24年~、会長:平成29年評議員:平成14年~)
日本循環器学会(評議員:平成23年~)
日本移植学会(評議員:平成21年~)
日本経カテーテル心臓弁治療学会 (会長:平成28年、理事:平成27年~)
日本心臓病学会(理事:平成28年~)
沖縄サミット(G7)救急医療体制確保事業 心臓血管外科医療チーム(平成12年7月)
社会保険支払基金審査委員(平成12年~)
読売テレビ番組審議会(令和元年5月~)
Member of American Association for Thoracic Surgery (平成19年5月~)
Member of European Association for Cardio-Thoracic Surgery (平成19年10月~)
Member of Society of Thoracic Surgeons (平成25年2月~)
Fellow of Japanese Coronary Association (平成14年1月~)
Fellow of Japanese College of Cardiology (平成25年~)

専門医・認定医

日本外科学会認定医
日本超音波学会認定医
日本循環器学会専門医
日本胸部外科学会認定医
日本胸部外科学会指導医
日本外科学会指導医
日本心臓血管外科専門医
労働衛生コンサルタント(保険衛生)

テレビ、雑誌等で取り上げられた取材内容


NHK健康チャンネル

https://www.nhk.or.jp/kenko/doctor/dct_2249.html


今日の健康
【ブラックジャックを探せ】日本の心臓外科をリード

https://www.zakzak.co.jp/health/doctor/news/20141024/dct1410240600001-n1.htm


手術数でわかる いい病院 2018
巻頭特集 ここがすごい!トップ病院の手術

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19779


コラム1  神の手は必要か

マスコミに神の手と称される医師が登場するようになって久しい。神の手とは何か。 神の手として知られているのは、ハリウッド映画ベン・ハーに出てくるイエス・キリストの奇跡である。ベン・ハーの母と妹が業病にかかっていたのが、キリストが触れることによって病が治癒するのである。これが神の手の由来ではないだろうか。1986年ワールドカップ準々決勝アルゼンチン対イングランド戦、両チーム無得点で迎えた後半、ディエゴ・マラドーナは、左手の拳でボールをはたいて得点したが、主審はマラドーナがヘディングでボールにコンタクトしたと判断し、ゴールを認めアルゼンチンが勝利した。マラドーナは試合後このプレーについて、「ただ神の手が触れた」と表現した。以後、サッカー界ではこれに類するプレーを神の手と呼ぶことになった。
医療の世界では、脳神経外科医の福島孝徳氏が手術の早さと正確性から「神の手」と呼ばれる様になったのが初めてだと思われる。それ以後色々な領域で、いわゆる名医のうち外科医や侵襲的治療を行う医師をしばしば神の手と呼んでもてはやしている。しかし、もし神の手がキリストの手のごとく、すべての患者をその望み通りに治癒させることができる事を指すとしたら、そのような神の手の医師はいないだろう。また、神の手がその医師にしかできない難しい手術法ができる医師の技術を指すとしたら、神の手は不要である。なぜなら、医療技術は広く誰にでもできるようにならなければ意味がないし、またならなければ広がらない、新しい手術法に関する論文を書くのは、その方法が広まり、自分だけでは治療できないあまたの患者を救うことができるように広めるために書くのである。
私はキリスト教信者ではないが、神の手は、神から人にゆだねられたものであり善行をおこなうためにあるとする考えもある。心臓外科医の私としては、マスコミの言う神の手は必要ではないが、神にゆだねられた天賦の才として、日々努力を重ねて技術を高めていく手は必要と考えている。(2019年日本医事新報から)

コラム2 地震、台風、火事、移転

地震、雷、火事、おやじとは昔から怖いものの代表とされてきた。ものの本によると「おやじ」は親父ではなく、「大風(おおやじ)」すなわち台風とする説があるらしい。私は、平成30年4月に国立循環器病研究センター病院長に就任したが、いきなりこれらに遭遇した。
まず地震。6月18日午前7時58分にセンターから9.8km離れた茨木市を震源とするマグニチュート6.1の直下型地震が発生し、震度6弱を観測した。センターの屋上の西側高架水槽50トンのパイプが外れて、10階から8階が水浸しになった。屋上からの津波である。同時に停電し、自家発電が作動したものの、復電時のケーブルショートで、一時はUPS緑電源も停止する羽目となった。幸い月曜日の朝で、ほとんどの職員が出勤しており、何とか対応して、軽症の患者が数人出ただけで済んだ。一時は、復電時の漏電による火災発生も危惧され、10階の脳卒中後の患者を担架で4階におろす羽目になった。次に来たのが台風21号。9月4日に強風で流されたタンカーが関西空港の連絡橋の橋げたを破壊し、自動車や鉄道が通れなくなり、1か月ほど閉鎖されたことをご存知の方もおられると思う。この時は雷が鳴り、センターの窓ガラスが割れて、雨漏りがした。自宅も16時間停電し、センターで寝泊まりした。そして、令和元年6月30日北千里からJR岸辺駅前への病院移転が始まる。通常の救急自動車では、補助循環がついた患者を乗せることができず、ドクターカーで7kmの道のりを5往復した。
94人の患者を大雨の中無事に搬送できたことに安心したところ、7月初めからの2週間に3回の火災警報、「火事が発生しました避難してください」の自動放送。消防署へは自動連絡がいって、消防車がやってきた。カフェのパン焼の煙を感知したり、オートクレーブの熱気を感知したりするなど、予想もしていなかった。
「神は乗り越えられる試練しか与えない」という言葉は、以前放映されたTVドラマ「JIN~仁」で主人公が口にする言葉だが、今後私にいかなる試練が降りかかるか戦々恐々としている。(2020年日本医事新報から)

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