令和4年度 国立循環器病研究センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 672 293 517 939 952 1,501 1,916 3,441 2,642 488
 国立循環器病研究センターは、循環器疾患の究明と制圧のために設立された国立高度専門医療研究センターです。対象疾患は、脳・心臓循環器疾患に特化され、その予防、診断、治療法の開発、病態生理の解明を推し進めています。

 令和4年度の全退院患者数は13,361人です。高齢化社会を背景に循環器病疾患の有病率が増加していることから、最も多い年齢層は70歳~79歳で、全体の25.8%となっています。また0歳~9歳の年齢層についても約5%を占めており、0歳児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんに対応できる機能を有しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
不整脈科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 773 4.99 4.65 0.00 64.87
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1・3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 274 11.45 9.89 1.09 76.83
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし 246 4.22 6.24 0.00 66.52
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 72 3.78 5.11 0.00 52.69
050070xx9700xx 頻脈性不整脈 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1・3あり 手術・処置等2 なし 69 10.09 10.24 1.45 64.64
不整脈科で最も多いDPCは頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療症例です。
続いて、徐脈性不整脈に対するペースメーカ植込み、頻脈性不整脈に対する植込み型除細動手術が多くなっています。
カテーテルアブレーション治療については、バルーンアブレーションが一般化し手技時間の短縮が症例数の増加につながっています。
その他、心不全に対する心臓再同期療法、QT延長症候群、ブルガダ症候群などの遺伝性不整脈疾患の遺伝子解析は国際的にも評価の高いものであり、基礎・臨床研究も精力的に行い、国際的に情報発信を行っています。
肺循環科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
04026xxx99100x 肺高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 264 4.36 4.54 0.38 60.25
04026xxx01x0xx 肺高血圧性疾患 経皮的肺動脈形成術等 手術・処置等2 なし 136 4.60 6.03 0.00 67.61
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 51 7.35 5.68 0.00 54.75
04026xxx9914xx 肺高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病なし 45 5.51 16.86 0.00 43.56
04026xxx9913xx 肺高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 3あり 定義副傷病なし 36 13.58 12.46 2.78 56.08
肺循環科では肺高血圧症に対する検査、治療のための入院が大部分を占めており、診断群分類別患者数上位5位のうちほとんどが肺高血圧性疾患のDPCです。
肺高血圧症は厚生労働省の指定難病で、当院は全国有数の肺高血圧症の専門治療施設です。長い歴史と900例以上の肺動脈性肺高血圧症を診療し、全国有数の経験をもとに非常に良い成績を上げています。また研究所や臨床病理部と共に病気の発症するメカニズムに関する研究も行われており、最先端の診断、治療を行うよう努力しています。
心不全科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx99100x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 226 7.80 5.34 0.00 72.08
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 119 12.65 17.54 5.04 78.64
050060xx9910xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 115 9.73 6.36 0.87 60.04
050130xx9910xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 副傷病なし 106 12.17 14.28 3.77 71.50
050080xx97010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 41 15.56 15.83 7.32 83.66
心不全科の症例で令和4年度最も多かったDPCは、心臓弁膜症患者に心臓カテーテル検査を実施した症例です。
心不全科は、初期の内服管理から希少な疾患への先進医療も含め、心不全に関する診療全般を担当しております。当科には関西のみならず全国から毎年1000人以上の患者さんが、検査あるいは治療のために入院されています。
 特に弁膜症に関しては、当院心臓外科と構成されたハートチームで、常に最先端で質の高い治療を提案いたします。近年、注目を浴びている弁膜症に対するカテーテル治療にもいち早く取り組み、対象となれば大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症に治療が可能です。また、心筋症患者は当科で入院する心不全の多くを占め、年間300例以上が入院されています。
冠疾患科/心臓血管集中治療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1・2あり 手術・処置等2 なし 338 4.84 4.26 0.00 70.96
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 325 4.10 3.22 0.62 73.27
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 232 12.41 11.59 4.31 70.99
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 232 3.60 3.04 1.29 68.89
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 94 15.13 17.54 18.09 82.30
冠疾患科/心臓血管集中治療科では狭心症・慢性虚血性心疾患に対するカテーテル検査、カテーテル治療のための入院が大部分を占めております。また急性心筋梗塞の治療も多く行っております。診断群分類別患者数上位4位は全て虚血性心疾患(急性心筋梗塞、狭心症)のDPCです。
冠疾患科/心臓血管集中治療科の症例の上位4位の症例数は合わせて1,127症例で、令和3年度の1,085症例とほぼ横ばいとなっています。
冠疾患科/心臓血管集中治療科では急性心筋梗塞、狭心症に対する的確な診断と高度な治療を行っています。症状が急激に起きた場合の緊急治療から原因となる動脈硬化に対する継続的治療まで、一貫して最高レベルの技術・最新の医学的知識・豊富な臨床経験を駆使して対応します。
血管内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 副傷病なし 61 4.64 5.18 0.00 76.52
050170xx03001x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 副傷病あり 12 6.25 9.01 8.33 78.67
050161xx9900xx 大動脈解離 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし - - 16.55 - -
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし - - 11.12 - -
050170xx03010x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 あり 副傷病なし - - 16.59 - -
血管内科では閉塞性動脈疾患に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術等の治療を目的とした入院が大半を占めています。
動脈硬化は、心臓の冠動脈をはじめ下肢動脈、腎動脈、頸動脈、鎖骨下動脈など全身の主要な動脈に及びます。血管内科では全身の動脈硬化性疾患を包括的に管理治療していくことを実践し患者さんに負担の少ないエコー、CT、MRなどの画像診断と血流測定機器を駆使し血管疾患の迅速かつ正確に診断できる体制を整えています。内科的治療を基本とし、より積極的な治療が必要な場合には低侵襲なカテーテル治療等を行っています。
重症心不全・移植科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 108 3.61 3.22 0.00 48.52
050060xx9700xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 105 15.52 12.94 2.86 48.86
050060xx9910xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 94 4.89 6.36 2.13 46.20
050060xx9702xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 2あり 31 173.03 39.76 0.00 46.84
050130xx97000x 心不全 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 副傷病なし 31 25.71 22.51 0.00 52.39
重症心不全・移植科の症例で令和4年度最も多いDPCは、心臓移植後の拒絶反応を診断するための心筋生検、移植心冠動脈硬化症を診断するための冠動脈造影、血管内超音波検査を実施した症例です。次に心筋症における植込型補助人工心臓等装着後のフォローアップ検査等を実施した症例となっています。当院の特徴となりますが、心臓移植後のフォローアップ検査や補助人工心臓装着患者の自己心機能及び人工心臓のポンプ機能の経過を見るための検査を多く行っています。また、当科では循環器内科医師が中心となり、経皮的体外循環を含む従来の治療法では救命困難な急性重症心不全(劇症型心筋炎などの心原性ショック症例等)対するImpellaや左室補助人工心臓といった機械的補助循環を用いた心不全集学的治療や、拡張型心筋症や心筋梗塞後の慢性重症心不全症例に対する植込み型左室補助人工心臓、心臓移植治療を含めた集学的治療を行っています。2021年5月にDestination therapy(長期在宅植込み型補助人工心臓)が保険償還され、心臓移植の適応とならない重症心不全患者に対する植込み型補助人工心臓も積極的に装着しています。また、小児用補助人工心臓EXCOR®Pediatricを用いた小児重症心不全治療にもさらに力を入れています。
脳血管内科/脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし 126 5.68 7.33 8.73 67.13
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内かつJCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 副傷病なし RankinScale0、1又は2 122 11.26 16.01 14.75 73.80
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 110 6.36 6.30 3.64 75.05
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 108 15.06 19.58 56.48 68.89
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内かつJCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 副傷病なし RankinScale0、1又は2 93 12.99 15.97 22.58 72.10
脳血管内科/脳神経内科の症例で令和4年度最も多かったDPCはてんかんの症例で126件です。 DPCコードの集計ではてんかんが第1位となります。
 脳梗塞のDPCコードは治療内容によって細かくDPCコードが分かれており、上位5位以内でDPCコードを合計すると脳梗塞の症例が215件で最多となり、年間では約1,000症例以上の急性期脳血管障害治療を行っています。
 脳血管内科/脳神経内科では、脳卒中ケアユニット(SCU)での多職種による集約的な急性期内科治療を行っています。tPA静注療法や血管内治療などの急性期再灌流療法や、脳血管障害のMRIや超音波検査などの画像検査などの診断法の確立に、全国の中心的な施設として貢献してきました。DPC上位は、脳梗塞、一過性脳虚血発作や脳出血の内科的管理を行った症例、頭頚部動脈の高度狭窄や閉塞などで画像診断検査を行った症例となっております。また、脳血流SPECTや脳波検査により、脳卒中後てんかんの専門的な診療を行う国内中心施設です。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 副傷病なし 179 3.17 2.95 0.00 60.68
010010xx9906xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 6あり 定義副傷病なし 133 3.14 4.30 1.50 68.98
010070xx9912xx 脳血管障害 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 2あり 定義副傷病なし 101 5.59 4.89 0.00 44.38
010070xx01x2xx 脳血管障害 脳血管内手術等 手術・処置等2 2あり 75 20.71 18.55 4.00 49.01
010030xx03x0xx 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術・処置等2 なし 56 9.43 9.06 1.79 61.23
脳神経外科で令和4年度最も多いDPCは、脳動脈瘤に対するカテーテル検査を行った症例です。続いて、転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療、ついで、もやもや病・頚動脈狭窄などの脳血管障害に対して脳血管造影検査及びSPECTを行った症例となっています。
 国立循環器病研究センター脳神経外科の最大の特色は、顕微鏡手術(マイクリサージェリー)、血管内手術(カテーテル治療)、定位放射線照射(ガンマナイフ)の3つを最高水準で提供できることです。脳外科専用の集中治療室(NCU)を完備し、緊急脳神経外科手術及び血管内治療については24時間体制で行っており、脳血管内科・脳神経内科と連携して急性期脳卒中診療を行っています。急性期治療以外でも、他施設より紹介される脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、頚動脈狭窄などありとあらゆる種類の脳血管障害の治療に取り組んでいます。特に、通常の方法では治療困難と思われる症例に対しても、手術・血管内治療・ガンマナイフを駆使した複合治療で好成績をおさめています。また、脳血管障害の治療で培った技術を生かして、良性脳腫瘍や三叉神経痛・顔面痙攣などの疾患の治療にも力を注いでいます。
腎臓・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし 35 8.97 11.77 11.43 65.51
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病なし 28 8.43 8.05 0.00 72.11
050140xx99x00x 高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし 14 11.64 8.98 0.00 65.07
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 12 16.00 13.82 33.33 75.75
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 定義副傷病なし 12 5.25 6.41 0.00 52.25
腎臓・高血圧内科において、令和4年度1番目、2番目に多いDPCは慢性腎臓病等に対する検査、治療を実施した症例で、症例数は合計で63症例です。次いで多い症例は高血圧性疾患に対する診断および治療を実施した症例で、症例数は14症例です。
 4番目に多い症例の慢性腎炎症候群および原発性アルドステロン症の診断目的の入院に関しては、「腎生検クリニカルパス」および「原発性アルドステロン症診断クリニカルパス」を用いています。慢性糸球体腎炎について、頻度の高いIgA腎症の場合、「IgA腎症ステロイドパルス治療クリニカルパス」を用い、抗免疫治療を行わない場合、「腎炎・腎不全教育入院クリニカルパス」を用いて入院加療を行っています。また、高血圧性疾患の検査および治療入院には多くの場合、「高血圧教育入院クリニカルパス」を用いています。腎臓・高血圧内科ではこれらのクリニカルパスを利用することで入院期間短縮、診断や治療方法の標準化を進めています。
糖尿病・脂質代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術なし 手術・処置等2 なし 88 11.05 10.80 0.00 68.24
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 75 13.05 14.28 0.00 67.60
100120xx99xxxx 肥満症 手術なし 50 11.94 14.43 0.00 57.30
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術なし 手術・処置等2 なし 副傷病なし - - 13.43 - -
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 - - 3.22 - -
糖尿病・脂質代謝内科の症例で令和4年度最も多いDPCは2型糖尿病です。続いて、2型糖尿病に対してインスリン注射を行った症例です。つぎに多いDPCは肥満症となっています。糖尿病・脂質代謝内科は最新の医学的知見に立脚してこれらの病気に対する専門的な診療を行い、合併症を予防することを目標にしています。特に臨床面ではインスリン抵抗性(インスリンが働きにくく血液中のインスリンが多くなる状態)と内臓脂肪型肥満(皮下よりもお腹に脂肪が貯まる状態)を含めた肥満および脂質異常症の是正を重点的に行い、動脈硬化の進展予防に力を入れています。また研究面でも、国立循環器病研究センターの他の部などと連携して、循環器疾患制圧のために生活習慣病の病態理解とその克服を目指しています。
小児循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 130 6.65 4.18 0.00 13.02
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 56 6.45 5.68 0.00 14.13
14031xx09900xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 44 7.18 5.50 0.00 10.18
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 40 15.50 17.54 0.00 28.28
14029xxx9900xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 38 2.21 4.74 2.63 8.63
小児循環器内科の症例で令和4年度最も多いDPCは、両大血管右室起始症やファロー四徴症等の先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く)に対するカテーテル検査を実施した症例で、症例数は130症例でした。小児循環器内科では、生まれつき心臓の構造に病気のある先天性心疾患患者さんの診断と治療を中心として、学校検診で見つかる不整脈、心筋疾患、肺高血圧、川崎病冠動脈障害、慢性心不全患者さんの診断と治療など、広い範囲の診療内容を担当しております。また患者さんの年齢も、胎児から新生児、乳幼児、学童、そして成人に達した患者さんまで、幅広い年齢層の方々を担当しております
小児心臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14029xxx01x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 弁形成術等 手術・処置等2 なし 15 8.93 14.46 0.00 8.87
14031xx101x01x 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳未満) 大血管転位症手術 大血管血流転換術(ジャテーン手術)等 手術・処置等2 なし 定義副傷病あり - - 63.06 - -
14031xx097x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) その他の手術あり 手術・処置等2 なし - - 12.52 - -
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1・3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし - - 9.89 - -
14031xx09900xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし - - 5.50 - -
小児心臓外科の症例で多いのは複雑先天性心疾患と言われる、通常は複数回の心臓手術が必要になる重症例です。当センターでは胎児診断や生後すぐに搬送される重症心疾患児が多く、計画的に準備手術を行っていき、就学年齢までに最終の修復手術を終えることを目指しています。
心臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 159 16.79 21.78 0.63 64.48
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 副傷病なし 64 18.41 21.24 4.69 66.22
050080xx97010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 38 16.34 15.83 7.89 83.47
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 35 26.17 33.80 2.86 72.80
050050xx0111xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 1あり 副傷病なし 20 22.20 26.75 0.00 68.55
心臓外科の症例の多様化によりDPCの分散、非DPC症例の増加が特徴的です。また、治療の質の向上を目指し、結果として平均在院日数を減らしています。
症例で令和4年度最も多いDPCは、弁膜症に対するロス手術等を実施した症例で159症例あります。
心臓外科では虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、慢性心不全などを扱っており、緊急治療を要するものについては、ICU・CCUとの連携のもと24時間受け入れ態勢をとっています。
最重症例に対しても積極的に手術を施行し、治療目的として単なる延命ではなく、生活の質(QOL)向上が第一義と考えています。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050161xx97x1xx 大動脈解離 その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 80 30.94 28.45 26.25 68.99
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 なし 63 12.30 10.62 0.00 78.86
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 1あり 43 17.19 15.26 9.30 77.00
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 1あり 39 18.18 19.15 2.56 70.64
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等2 1あり 35 31.46 28.13 5.71 72.37
血管外科では大動脈、肺動脈、および末梢血管の疾患の治療を行っています。急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などの急性大動脈症候群にも昼夜をとわず24時間体制で積極的に対応しています。直達開胸手術だけではなく、低侵襲なステントグラフト治療も高齢者や手術リスクが高い患者さんにおこなっています。当センター開設以来胸部大動脈手術は4000件、腹部大動脈手術は3000件を超えており、スタッフ全員が心臓血管外科専門医であるため大動脈疾患以外にも冠動脈疾患、弁膜疾患の合併にも十分対応できます。また、平成30年から下肢静脈瘤のレーザー治療を開始しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 150 7.20 6.13 0.67 0.00
120270xx99x0xx 産褥期を中心とするその他の疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 86 5.71 6.30 2.33 32.09
120180xx99xxxx 胎児及び羊膜腔に関連する母体ケア、予想される分娩の諸問題 手術なし 82 6.51 6.62 1.22 33.46
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 1あり 副傷病なし 31 7.84 10.26 3.23 0.00
120200xx99xxxx 妊娠中の糖尿病 手術なし 手術・処置等2 なし 26 7.27 5.25 0.00 35.92
産婦人科の症例で令和4年度最も多いDPCは、出生時体重2500g以上の新生児に対して検査および治療を実施した症例で150件でした。産婦人科では年間約300例の分娩を取り扱っています。センターの特性を生かした妊娠・分娩管理をその中心据えています。具体的には次の3つを診療の柱としています。①心疾患を持つお母さんの妊娠・分娩管理②脳血管疾患を持つお母さんの妊娠・分娩管理③赤ちゃんに心疾患のあるお母さんの妊娠・分娩管理です。医学的アドバイスを十分理解していただき、本人の希望、家族の意志を尊重し、他科との協力の元、集約的な管理を行っています。また、産後フォローまでの周産期管理を行っているため、低出生体重で生まれた新生児等の出生後の検査、経過観察入院の件数も多くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8
大腸癌 - - - - - - 1 8
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 - - - 15 - 81 1 8
肝癌 - - - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
初発患者はUICC-TNM分類から示される病期分類による患者数、再発患者は再発だけでなく、初回治療(がんと診断され初めに計画された一連の治療)後に転移と診断された患者数も含まれます。10人未満の数値は-で表示しております。

解説
 がんの病期分類は、がんがどれくらい進行しているのかという病期・進行度を意味し、 Stage 0 から Stage IV まであり、Stage IV は最も進行しているがんです。
 当院の症例は遠隔転移を認める stage IV や再発症例が多くなっております。 これは当院がガンマナイフ(定位放射線治療)を有し、転移性脳腫瘍の症例を近隣の医療機関、 がん診療拠点病院から受け入れ、密接な連携を保ち、積極的に診療していることによります。
 令和元年、ガンマナイフ治療機器は大阪府下では1号機となる最新型のIcon®に更新いたしました。これにより,これまでのフレーム固定に加え、最新型ではマスク固定による寡分割照射が可能となりました。サイズの大きなもの(直径4㎝程度まで)や摘出術後の照射などもフレームレスで行え、外来照射にも対応しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 19 15.84 78.42
中等症 11 13.45 73.73
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
○定義
成人の市中肺炎の患者で、入院契機病名及び最も医療資源を投入し傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎もの。
インフルエンザ等、ウイルス肺炎、誤嚥性肺炎は除外する。
肺炎の重症度をA-DROPを使用して分類しています。
A-DROP:以下の項目のうち入院時(入院中に発生した場合は発症時)の状態に該当する項目の数
 ・男性70歳以上、女性75歳以上
 ・BUN 21mg/dL以上または脱水あり
 ・SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
 ・意識障害あり
 ・血圧(収縮期) 90mmHg以下
重症度_0~1:軽症、2:中等度、3:重症、4~5:超重症

○特徴
当院は循環器病の高度専門病院のため、軽症の場合でも循環器疾患の既往があり重症化を危惧され入院となるケースがあります。
市中肺炎は年齢が上がるごとに重症化しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 887 14.44 74.71 28.07
その他 207 8.43 71.23 10.63
脳梗塞<ICD10(国際疾病分類)が 『I63$』 に該当する>患者数
 本格的な脳卒中ケアユニット(SCU)を国内ではじめて立ち上げ、24時間365日体制で急性期脳卒中患者さんを断らずに受け入れています。脳神経外科と良好に連携し、外科手術が必要な場合は遅れることなく外科治療を受けられます。急性期 診療に引き続き、近隣の医療機関に転院して回復期機能訓練を滞らずに受けられるよう、地域医療連携を推進しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
不整脈科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 641 1.90 2.94 0.16 66.45
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他のもの) 176 1.97 3.02 0.00 58.48
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 155 6.25 6.63 2.58 77.28
K597-2 ペースメーカー交換術 110 2.88 6.24 0.91 79.32
K599-22 植込型除細動器交換術(その他のもの) 42 2.60 6.14 0.00 69.02
不整脈科において、令和5年度最も多い手術は頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療です。
カテーテルアブレーション治療とは、心臓に入れた細い管(カテーテル)の先から高周波を流し、心筋の一部に熱を加えて火傷させ不整脈の原因をなくす治療方法です。
つづいて、ペースメーカ移植術、ペースメーカ交換術、植込み型除細動器交換術となっています。心臓再同期療法は心不全に対する非薬物治療ですが、当院の植込み数は国内トップクラスとなっています。
これら不整脈の診断・治療は日本だけでなく世界におけるトップレベルを目指しています。
肺循環科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K570-3 経皮的肺動脈形成術 171 3.29 2.89 0.58 67.92
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 31 2.26 4.90 0.00 53.13
K574-3 経皮的卵円孔開存閉鎖術 20 1.65 3.45 0.00 57.25
K6233 静脈形成術(その他の静脈) 15 3.07 3.47 0.00 49.27
K592-2 肺動脈血栓内膜摘除術 10 11.40 31.20 20.00 52.60
肺循環科において、令和4年度最も多い手術は経皮的肺動脈形成術で慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するカテーテル治療です。症例数は171症例と非常に多くの症例を扱っており、全国から全国有数の肺高血圧症専門治療施設である当院で治療を受けられています。
 2番目に多い手術は経皮的心房中隔欠損閉鎖術で心房中隔欠損症に対するカテーテル治療です。成人先天性心疾患の患者さんは心臓だけでなく肺血管にも異常を持つ場合があり、肺高血圧症を合併することもあります。肺循環科では小児循環器内科、小児心臓外科と連携して診断、治療を行なっています。
心不全科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 60 7.50 9.72 10.00 82.98
K559-3 経皮的僧帽弁クリップ術 43 8.21 9.86 4.65 77.98
K599-32 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術(経静脈電極の場合) 15 13.27 14.27 13.33 58.87
K5992 植込型除細動器移植術(経静脈リードを用いるもの) - - - - -
K5551 弁置換術(1弁のもの) - - - - -
最も症例数が多いK555-22経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術・TAVI)は、手術リスクの高い患者様に開胸手術をすることなく新しい弁を留置することが可能な治療です。当院のTAVIの特徴として、①弁の形態に併せて選択が可能、②当院ハートチームは外科と内科で構成されおり、あらゆるアクセスルートの選択が可能、③豊富な経験症例数があり様々な状況に対応が可能で、施設限定の透析患者へのTAVI施行の施設にも選ばれている、ことが上げられます。
 次に症例数が多いK559-3 経皮的僧帽弁クリップ術(マイトラクリップ治療)は、平成30年4月保険適応となり、当院は全国でも数少ないトレーニング施設として認められています。この治療を行うことにより、僧帽弁閉鎖不全症を患っていながら開胸手術は躊躇されるようなハイリスク症例、ご高齢のかたでも、治療可能な場合があります。
 さらに心不全患者さんに対するペースメーカ治療も、不整脈科と協力して行っています。
冠疾患科/心臓血管集中治療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 252 2.94 4.24 2.38 70.48
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞に対するもの) 129 0.00 15.43 6.98 72.47
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症に対するもの) 115 0.21 10.96 6.09 72.22
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 75 2.85 4.44 1.33 75.88
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他のもの) 34 2.29 3.38 0.00 72.44
冠疾患科/心臓血管集中治療科において、令和4年度最も多い手術は急性心筋梗塞、狭心症の治療である経皮的冠動脈ステント留置術です。症例数は、「急性心筋梗塞に対するもの」「不安定狭心症に対するもの」「その他のもの」合わせて496症例です。令和3年度435症例から61症例増加しています。次いで多い手術は、経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル)で、症例数は75症例で令和3年度75症例と横ばいとなっております。
 経皮的冠動脈ステント留置術等のカテーテル治療(PCI)では、ロータブレーター(カテーテルの先端に小さなダイヤモンドの粒を装着した丸い金属を非常に高速に回転させることで、石灰化した固い病変を削ることができます)や、薬物溶出性ステント(冠動脈ステントを構成するステンレスの金網の表面に再狭窄を予防する効果のある薬剤をコーティングしたものです)など最先端技術を取り入れるとともに、心血管イメージングや機能検査法を組み合わせて必要な時に必要な血管に対してカテーテル治療を実施しています。
血管内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 75 1.69 2.76 1.33 76.81
K6082 動脈塞栓除去術(その他のもの(観血的なもの)) - - - - -
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) - - - - -
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) - - - - -
- - - - - - -
血管内科において令和4年度最も多く実施している手術は、下肢閉塞性動脈硬化症、重症虚血肢、バージャー病等症例に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術です。
血管内科では、本当に血行再建(カテーテル治療や外科治療)が必要な患者さんかどうかを見極めて治療方針を決定します。内科的治療が基本ですが、症状の強い患者さんには血行再建を考慮します。当院の特徴として、重症の患者さんが多く来院されますが、困難なケースを含めても90%以上の手技成功を収めています。またカテーテル治療で治せない場合や、カテーテル治療がふさわしくない場合には外科的治療を選択します。そのために毎週、血管外科や放射線科との合同カンファレンスを行い、それぞれの患者さんに最善と考えられる治療法を提供しています。
重症心不全・移植科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K604-24 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降(1日につき)) 171 9.55 11.44 1.75 48.48
K5541 弁形成術(1弁のもの) 12 86.00 86.08 0.00 43.67
K604-21 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(初日(1日につき)) 10 16.20 93.30 0.00 50.10
K599-42 両室ペーシング機能付き植込型除細動器交換術(経静脈電極の場合) - - - - -
K6031 補助人工心臓(1日につき)(初日) - - - - -
重症心不全・移植科において令和4年度最も多い手術は「植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降)」になります。これは特発性拡張型心筋症や重症心不全症例に対し植込型補助人工心臓手術をおこなった後、心機能評価や合併症の加療を行うために再度入院した場合に手術項目に算定することになるためです。重症心不全・移植科での実際の診療は心臓血管内科部門、心臓血管外科部門や他の病院各部門と連携して行いますが、令和4年12月までに580症例以上のImpella、体外式補助循環、植込型補助人工心臓をあわせた機械的補助循環装着装着と160例の心臓移植を行っています。最近では植込型非拍動流式LVAD(植込型LVAD)が心臓移植への橋渡し治療として保険償還されたことを受け、数多くの重症心不全症例の紹介をいただいており、年間20例を超える植込型VAD装着を行っています。小児用LVAD症例も増加し、これまで体格の大きな小児(8~16歳)7例に植込み型補助人工心臓Heart Mate 3を装着しました。令和4年度は、Impella 6件、小児用補助人工心臓 3件、体外式補助循環16件、植込型LVAD 26件、心臓移植21件を行いました。
脳血管内科/脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 88 0.50 19.06 45.45 78.91
K597-3 植込型心電図記録計移植術 25 0.12 3.00 0.00 70.12
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 24 3.46 9.46 8.33 75.46
K597-4 植込型心電図記録計摘出術 14 0.00 2.93 0.00 74.14
K178-2 経皮的脳血管形成術 11 1.64 19.36 72.73 73.18
脳血管内科/脳神経内科において、令和4年度最も多い手術は経皮的脳血栓回収術で、件数は88件です。
 頭頚部の主幹動脈が閉塞した急性期脳梗塞に対する血管内治療は、2015年に相次いで有効性を示す研究が報告され、該当する患者さんには積極的に急性期血管内治療を行っております。当院では、日本脳神経血管内治療学会により認定された指導医・専門医資格を有する脳血管内科・脳神経内科医を中心に、脳神経外科と連携して、有効性が高いと見込まれる患者さんを慎重に見極めた上でこの治療を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1781 脳血管内手術(1箇所) 79 3.84 28.33 31.65 62.68
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) 52 4.79 17.54 7.69 40.38
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 48 0.67 11.00 10.42 79.46
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 45 4.40 31.76 20.00 63.76
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステントを用いるもの) 40 3.65 9.23 2.50 59.03
脳神経外科で令和4年度最も多く実施している手術症例は、脳血管内手術です。次に脳血管障害に対する動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈)、続いて、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術、脳動脈瘤に対する脳動脈瘤頸部クリッピング手術です。
 当院では、2019年7月の新病院移転時より、脳神経外科治療に特化した本格的ハイブリッド手術室(Hybrid OR)を稼働しています。ハイブリッド手術とは、その名の通り、全く治療概念の異なる「開頭手術」と「血管内治療」をコラボレーションさせた治療法で、困難な病変に対する安全かつ確実な治療を遂行するための強力な武器となります。従来の独立した手術室・血管撮影室では種々の制限があり実現が困難でしたが、これを可能にするのがHybrid ORで、手術室・血管撮影室の融合により次世代の脳神経外科手術が可能となります。当センターでは稼働より1年で、通常の開頭術・血管内治療をあわせた77例の患者さんをHybrid ORで治療を行い、いずれも良好な結果を得ています。今後、困難な病変に対する治療のみならず、安全・確実な治療において威力を発揮するものと期待されます。
腎臓・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K613 腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術) - - - - -
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)) - - - - -
K596 体外ペースメーキング術 - - - - -
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) - - - - -
K0911 陥入爪手術(簡単なもの) - - - - -
腎臓・高血圧内科において、令和4年度最も多い手術は腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)です。
経皮的腎血管拡張術による腎血管性高血圧の治療はクリニカルパスを用いることで入院期間の短縮と治療の標準化を進めています。
小児循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 38 2.74 2.42 0.00 11.53
K597-2 ペースメーカー交換術 26 2.46 9.31 0.00 21.54
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他のもの) 25 2.00 2.92 0.00 24.12
K570-3 経皮的肺動脈形成術 24 2.54 6.92 0.00 6.29
K5862 単心室症手術(フォンタン手術) 16 7.06 31.44 6.25 4.31
小児循環器内科において、令和4年度最も多いカテーテル手術は経皮的心房中隔欠損閉鎖術で、症例数は38症例です。次いでペースメーカー交換術で26症例です。先天性心疾患は、高度な心臓外科手術、新生児乳児の集中治療、新しいカテーテル治療の発展などにより、最近では95%以上の患者さんが救命されるようになりました。我々は開設以来40年間、多くの治療困難な先天性心疾患患者さんの内科的診断および外科手術治療を担当し、その数と治療成績において日本のみならず世界をリードしてきました。これまでのカテーテル治療件数は国内最多です。とくに心房中隔欠損のカテーテル治療では、全国で最初に導入した施設の一つとして、現在も指導的な役割を果たし続けています。
小児心臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5741 心房中隔欠損閉鎖術(単独のもの) 13 1.15 7.23 0.00 9.85
K488 試験開胸術 - - - - -
K587 左心低形成症候群手術(ノルウッド手術) - - - - -
K5622 動脈管開存症手術(動脈管開存閉鎖術(直視下)) - - - - -
K566 体動脈肺動脈短絡手術(ブラロック手術、ウォーターストン手術) - - - - -
小児心臓外科では、先天性心疾患、あるいは小児期の心臓血管疾患に対する外科的治療を行っています。先天性心疾患に対しては、新生児から成人期まで、術後遠隔期のあらゆる病変を含めて全ての外科治療に対応しています。特に複雑先天性心疾患に対する治療として、人工心肺を用いた開心手術を多数行っています。我々は小児循環器内科、集中治療科と共にチーム医療を行っており、24時間365日対応できる体制を整えています。
心臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)(2吻合以上のもの) 103 3.69 15.32 5.83 67.58
K554-21 胸腔鏡下弁形成術(1弁のもの)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合) 74 3.39 10.07 0.00 62.38
K5551 弁置換術(1弁のもの) 68 4.34 17.53 10.29 71.24
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 42 3.93 6.43 4.76 84.74
K5552 弁置換術(2弁のもの) 24 7.88 17.21 8.33 73.50
心臓外科ではその専門性を生かし、難治性疾患、希少疾患を積極的に治療する一方で、既存の治療をより安全に、より良い成績となるように改良して患者さんの治療にあたっています。特に、大動脈弁のカテーテル治療(TAVI)や小切開手術(MICS)、ロボット手術(ダヴィンチ)など新しい治療は患者さんのご負担を減らす治療となります。
 また、平成30年4月よりダ・ヴィンチを用いたロボット支援下胸腔鏡下弁形成術が保険適用となりました。手術支援ロボットを用いた小切開による僧帽弁形成術は、毎年100例近く行っており、世界的にも数少ないロボット僧帽弁手術センターの一つとなっています。弁形成術は術者を必要とする一方で、遠隔成績が優れ、ワーファリンによる合併症が少ないため、当センターでは積極的に行っています。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 63 3.38 9.24 0.00 79.71
K5603ニ 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術)(その他のもの) 52 2.85 27.46 19.23 74.21
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 51 3.67 13.61 5.88 74.18
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)) 39 3.03 15.59 5.13 70.56
K560-22ニ オープンステントグラフト内挿術(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術)(その他のもの) 32 0.28 31.69 18.75 65.56
国立循環器病研究センターでは、年間200例から250例の胸部大動脈、150例から200例の腹部大動脈の手術を行ってきました。
 これまでは大動脈瘤に対する手術法としては、人工血管置換術が大半を占めていましたが、最近になって「ステントグラフト留置術」と呼ばれる体の負担の少ない血管内治療も盛んに行われるようになりました。
 従来の人工血管置換術は、直接大動脈瘤を露出する必要があり、大きな創がなければ手術ができませんでした.しかし、ステントグラフト留置術は足の付け根の小さな創から、カテーテルという細い管を使って折りたたんだ人工血管を大動脈瘤の中に留置する方法ですので、体の負担がとても小さくなります。体の負担が少ない低侵襲な治療法としての特長を生かし、高齢者の患者さんや従来の手術の危険性が高い患者さんを中心にこの方法を実施しています。以前であれば手術侵襲の大きさから大動脈手術をあきらめざるを得なかった患者さんにとっても大きな福音となっています。平成30年から下肢静脈瘤のレーザー治療を開始しています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 38 12.32 8.53 0.00 34.24
K893 吸引娩出術 35 5.06 6.69 0.00 33.71
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 25 10.32 10.32 0.00 33.20
K895 会陰(陰門)切開及び縫合術(分娩時) 18 3.00 5.22 0.00 34.61
K9091イ 流産手術(妊娠11週までの場合)(手動真空吸引法によるもの) 13 6.77 1.77 0.00 35.46
産婦人科において、令和4年度最も多い手術は選択帝王切開術で症例数は38件です。当院の循環器および脳疾患専門医の協力のもと、ハイリスクな患者様の分娩、分娩時異常に対する帝王切開術(緊急)等に対応出来る体制を整えています。また、無痛分娩も積極的に行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 12 0.09
異なる 18 0.13
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 73 0.55
異なる - -
入院契機の同一・異なるとは、入院するきっかけとなった病名と、入院期間の主な治療が同一か異なるかを区別しております。

『手術・処置等の合併症』は、人工的な挿入物の感染(ペースメーカ-植込み等)があります。
合併症・創部の感染症の発生率は1.0%未満となっております。
更新履歴
令和5年9月28日
令和4年度国立循環器病研究センター病院指標公開