平成29年度 国立循環器病研究センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 928 363 492 822 914 1,220 2,229 3,141 2,033 246
 当センターは最高レベルの医学を目指し、予防、診断、治療法の開発、成因、病態の解明から専門技術者の養成まで、病院、研究所、研究開発基盤センター、管理部門が一致団結して、成人、小児の心臓病、血管病および脳卒中などに代表される循環器病対策を総合的に推し進めています。

 平成29年度の全退院患者数は12,388人で、高齢化社会を背景に循環器病疾患の有病率が増加していることから、最も多い年齢層は70歳~79歳で、全体の25.4%となっています。また0歳~9歳の年齢層についても7.5%を占めており、0歳児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんに対応できる機能を有しています。 
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
不整脈科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 476 7.05 5.30 0.00 60.86
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 296 6.08 7.71 0.00 63.33
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 248 11.63 11.21 0.40 72.28
050070xx9700xx 頻脈性不整脈 その他の手術あり 75 13.44 13.40 1.33 61.93
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 45 5.82 5.38 0.00 49.42
 不整脈科の症例で最も多いDPCは頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療です。平成29年度の件数は476件で、平成28年度の422件から54件増加しています。
 カテーテルアブレーション治療については、バルーンアブレーションが一般化し手技時間の短縮が症例数の増加につながっています。デバイスでは、心不全に対する心臓再同期療法、リード抜去術などの先進的な治療に取り組んでいます。また、QT延長症候群、ブルガダ症候群などの遺伝性不整脈疾患の遺伝子解析は国際的にも評価の高いものであり、基礎・臨床研究も精力的に行い、国際的に情報発信を行っています。
肺循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
04026xxx9910xx 肺高血圧性疾患 心臓カテーテル法による諸検査 あり 167 8.11 5.45 0.60 64.72
04026xxx01x3xx 肺高血圧性疾患 経皮的肺動脈形成術等 薬物(マシテンタン等)投与あり 140 12.21 12.47 0.00 66.35
04026xxx9913xx 肺高血圧性疾患 心臓カテーテル法による諸検査 あり 薬物(マシテンタン等)投与あり 126 15.02 15.07 1.59 57.23
04026xxx01x0xx 肺高血圧性疾患 経皮的肺動脈形成術等 122 7.47 7.92 0.00 63.42
04026xxx9914xx 肺高血圧性疾患 心臓カテーテル法による諸検査 あり 薬物(プロスタグランジンI2製剤)投与あり 58 21.17 18.89 0.00 44.17
 肺循環器科では肺高血圧症に対する検査、治療のための入院が大部分を占めており、診断群分類別患者数上位5位は全て肺高血圧性疾患のDPCです。
 肺高血圧症は厚生労働省の指定難病で、当院は全国有数の肺高血圧症の専門治療施設です。長い歴史と700例以上の肺動脈性肺高血圧症を診療し、全国有数の経験をもとに非常に良い成績を上げています。また研究所や臨床病理部と共に遺伝子などの病気の発症するメカニズムに関する研究も行われており、最先端の診断、治療が行えるよう努力しています。
心不全科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx9910xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 心臓カテーテル法による諸検査あり 281 9.24 5.96 1.07 70.02
050130xx99000x 心不全 手術・処置等なし 定義副傷病 なし 149 15.60 17.71 6.71 75.12
050060xx99100x 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 心臓カテーテル法による諸検査あり 111 10.52 7.74 0.00 55.17
050080xx9900xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 手術・処置等なし 56 12.57 12.91 8.93 74.68
050130xx9910xx 心不全 心臓カテーテル法による諸検査あり 50 12.56 15.87 2.00 67.00
 心不全科の症例で平成29年度最も多かったDPCは心臓弁膜症に対するカテーテル検査です。件数は281件で、平成28年度の265件からは16件増加しています。
 心不全科では、心筋症・心不全の原因を調べるための検査入院、弁膜症の手術前検査入院などを担当しています。高齢化社会の進行とともに大動脈弁狭窄症や慢性心不全患者数は年々増加しており、入院患者の多くを占めています。カテーテルによる大動脈弁狭窄症の治療、さらに2018年4月からは僧帽弁閉鎖不全症に対してもカテーテル治療が可能になり、今まで治療が難しかった症例にも治療が可能になってきており、その精査のための入院患者数が増加しています。また、原因不明の心筋症に関しては、若年者も含め全国より患者が紹介されており、各種検査を用いて確定診断を行っています。
冠疾患科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等あり 386 5.83 4.62 0.26 71.99
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル法による諸検査あり 347 4.06 3.03 0.00 69.69
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル法による諸検査+血管内超音波検査等加算あり 234 3.76 3.19 0.00 69.59
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 132 13.37 12.72 1.52 68.41
050050xx99000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 66 5.85 6.83 6.06 71.36
 冠疾患科では虚血性心疾患(急性心筋梗塞、狭心症)に対する検査、治療のための入院が大部分を占めており、診断群分類別患者数上位5位は全て虚血性心疾患(急性心筋梗塞、狭心症)のDPCです。
 冠疾患科では急性心筋梗塞、狭心症に対する的確な診断と高度な治療を行っています。症状が急激に起きた場合の緊急治療から原因となる動脈硬化に対する継続的治療まで、一貫して最高レベルの技術・最新の医学的知識・豊富な臨床経験を駆使して対応します。
血管科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等  65 7.68 5.68 4.62 74.43
050170xx03001x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 下肢潰瘍等 あり 42 15.88 11.48 30.95 68.64
050170xx99001x 閉塞性動脈疾患 手術・処置等 なし 下肢潰瘍等 あり 21 22.95 18.24 47.62 73.10
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 心臓カテーテル法による諸検査あり 12 5.08 4.56 0.00 72.00
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 11 4.91 8.40 0.00 74.45
 血管科では閉塞性動脈疾患に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術等の治療を目的とした入院が大半を占めています。
 動脈硬化は、心臓の冠動脈をはじめ下肢動脈、腎動脈、頸動脈、鎖骨下動脈など全身の主要な動脈に及びます。血管科では全身の動脈硬化性疾患を包括的に管理治療していくことを実践し患者さんに負担の少ないエコー、CT、MRなどの画像診断と血流測定機器を駆使し血管疾患の迅速かつ正確に診断できる体制を整えています。内科的治療を基本とし、より積極的な治療が必要な場合には低侵襲なカテーテル治療等を行なっています。
重症心不全・移植医療部
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050060xx99100x 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 心臓カテーテル法による諸検査あり 104 5.42 7.74 0.00 46.07
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル法による諸検査+血管内超音波検査等加算あり 85 4.61 3.19 0.00 42.40
050060xx9700xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術あり 71 14.89 14.57 1.41 44.96
050060xx9702xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術あり SPECT等あり 26 128.54 40.43 0.00 41.65
050060xx9900xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術・処置等 なし 25 8.72 14.99 0.00 41.96
 移植医療部では循環器内科医師が中心となり、経皮的体外循環を含む従来の治療法では救命困難な急性重症心不全例(劇症型心筋炎などの心原性ショック症例等)に対するImpellaや左室補助人工心臓といった機械的補助循環を用いた心不全集学的治療や、拡張型心筋症や心筋梗塞後の慢性重症心不全症例に対する植込み型左室補助人工心臓、心臓移植治療を含めた集学的治療を行なっています。また拡張型心筋症や心臓移植後は定期的な検査が必要なため心臓カテーテル検査を含む入院が上位を占めています。
 具体的には、重症心不全・移植医療部の症例で平成29年度最も多かったDPCは心筋症に対するカテーテル検査を実施した症例で、心臓移植・植込み型補助人工心臓の適応判定のための検査です。その他、当院の特徴になりますが、心臓移植後の拒絶反応を診断するための心筋生検、移植互換動脈硬化症を診断するための冠動脈造影、血管内超音波検査も多く行っています。補助人工心臓装着患者の自己心機能及び人工心臓のポンプ機能の経過を見るための検査も行っています。 
脳血管内科・脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) エダラボン投与あり 発症前Rankin Scale 0、1又は2 121 17.07 16.38 33.88 71.02
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 SPECT等 なし 115 7.90 6.28 2.61 69.88
010070xx99020x 脳血管障害 SPECT等 あり 110 6.63 5.47 0.00 68.67
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 94 18.96 19.10 68.09 69.01
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) リハビリテーションあり 発症前Rankin Scale 0、1又は2 84 15.45 16.51 27.38 71.43
 脳血管内科/脳神経内科の症例で平成29年度最も多かったDPCは来院時(または発症時)の意識障害の程度がJCSという評価基準でⅡ-10未満の脳梗塞に対してエダラボンを投与した症例です。脳梗塞のDPCコードは細かく分かれていますので、【010060x2990401】というDPCコードの症例件数は121件となりますが、発症3日目以内の脳梗塞という条件で集計すると、症例件数は699件になり、その中でtPAを投与した症例件数は97件になります。2番目に多かったDPCは脳梗塞発症リスクが高い一過性脳虚血発作で115件です。
 脳血管内科/脳神経内科では、脳卒中ケアユニット(SCU)での集約的な急性期内科治療を行っています。tPA静注療法をはじめとする急性期の内科治療や、脳血管障害の超音波検査や画像検査などの診断法の確立に、全国の中心施設として貢献してきました。DPC上位は、脳梗塞、一過性脳虚血発作や脳出血の内科的管理を行った症例、頭頚部動脈の高度狭窄や閉塞などで画像診断検査を行った症例となっております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 動脈造影カテーテル法実施あり 152 4.43 3.14 0.00 59.50
010010xx99030x 脳腫瘍 放射線療法(ガンマナイフ)あり 117 4.02 9.59 5.98 70.09
010070xx9912xx 脳血管障害 動脈造影カテーテル法実施あり SPECT等実施あり 89 5.45 5.62 0.00 38.47
010070xx01x20x 脳血管障害 脳血管内手術等 SPECT等実施あり 73 16.52 19.18 1.37 42.34
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等その他の手術あり 63 11.87 9.68 15.87 77.76
 脳神経外科の症例で平成29年度最も多いDPCは未破裂脳動脈瘤に対するカテーテル検査を実施した症例です。件数は152件で、平成28年度の165件からは13件減少しています。これは、カテーテル検査以外の検査に基づき治療を行った件数が増加したためと考えられます。治療を実施した症例では、脳腫瘍(主に転移性脳腫瘍)に対してガンマナイフ治療を実施した症例が117件。もやもや病、脳動脈閉塞・狭窄等の脳血管障害に対して直達手術、脳血管内手術等およびSPECT等の画像診断を実施した症例が73件でした。
 顕微鏡手術(マイクリサージェリー)、血管内手術(カテーテル治療)、定位放射線照射(ガンマナイフ)の3つを最高水準で提供できることが、当科の最大の特色です。脳外科専用の集中治療室(NCU)を完備し、緊急脳神経外科手術及び血管内治療については24時間体制で行っており、脳血管内科・脳神経内科と連携して急性期脳卒中診療を行っています。急性期治療以外でも、他施設より紹介される脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、頚動脈狭窄などありとあらゆる種類の脳血管障害の治療に取り組んでいます。特に、通常の方法では治療困難と思われる症例に対しても、手術・血管内治療・ガンマナイフを駆使した複合治療で好成績をおさめています。また、脳血管障害の治療で培った技術を生かして、良性脳腫瘍や三叉神経痛・顔面痙攣などの疾患の治療にも力を注いでいます。
高血圧・腎臓科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 39 4.15 5.76 0.00 57.54
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 25 12.76 12.23 4.00 71.88
050140xx99x00x 高血圧性疾患 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 21 9.81 9.08 0.00 65.67
110280xx99010x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 人工腎臓(導入等) あり 11 14.18 14.55 9.09 72.18
100310xx97xxxx 腎血管性高血圧症 手術あり - - 6.85 - -
 高血圧・腎臓科の症例で平成29年度最も多いDPCは原発性アルドステロン症に対する診断治療した症例です。件数は39件で、平成28年度の32件からは7件増加しています。また、平成28年度40件で最も多かった慢性腎不全等に対する検査、治療を実施した症例は、平成28年度は25件で15件減少しています。
 原発性アルドステロン症および慢性腎炎症候群の診断に関しては、「原発性アルドステロン症診断4日間」および「腎生検4日間のクリニカルパス」を用いています。慢性糸球体腎炎について、頻度の高いIgA腎症の場合、「IgA腎症ステロイドパルス治療クリニカルパス17日間」を用い、抗免疫治療を行わない場合、「腎炎・腎不全教育入院9日間クリニカルパス」を用いて入院加療を行っています。また、高血圧性疾患の検査および治療入院には多くの場合、「高血圧教育入院7日間のクリニカルパス」を用いています。高血圧・腎臓科ではこれらのクリニカルパスを利用することで入院期間短縮、診断や治療方法の標準化を進めています。
動脈硬化・糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100120xx99xxxx 肥満症 手術なし 61 16.98 17.59 0.00 56.56
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 85歳未満 41 10.15 11.16 0.00 69.49
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) インスリン製剤注射 あり 85歳未満 34 12.32 14.27 0.00 64.24
100071xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 85歳未満 30 10.53 12.07 0.00 69.70
100071xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) インスリン製剤注射 あり 85歳未満 27 13.04 14.63 0.00 72.07
 動脈硬化・糖尿病内科の症例で平成29年度最も多いDPCは肥満症となりましたが、MDC6(DPCコードの最初の6桁)で集計すると最も多い症例は2型糖尿病(【100070】と【100071】)となり、件数は併せて169件(上記の表以外の件数含む)となります。
 動脈硬化・糖尿病内科では、最新の医学的知見に立脚してこれらの病気に対する専門的な診療を行い、合併症を予防することを目標にしています。特に、臨床面ではインスリン抵抗性(インスリンが働きにくく血液中のインスリンが多くなる状態)と内臓脂肪型肥満(皮下よりもお腹に脂肪が貯まる状態)を含めた肥満および脂質異常症の是正を重点的に行い、動脈硬化の進展予防に力を入れています。また研究面でも、病院の他の臨床部門、予防健診部、研究所の生化学部、病態代謝部、オミックス解析推進室などと連携して、循環器疾患制圧のために生活習慣病の病態理解とその克服を目指しています。
小児循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 心臓カテーテル法による諸検査 あり 212 9.19 4.32 0.47 13.58
14031xx09900xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術・処置等 なし 90 9.03 6.01 0.00 14.14
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 経皮的心房中隔欠損閉鎖術等その他の手術 あり 76 9.24 6.33 0.00 19.91
14031xx004x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 経皮的肺動脈形成術等 62 8.63 5.85 0.00 7.13
14029xxx9900xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 手術・処置等 なし 61 2.61 5.28 0.00 7.51
 小児循環器科の症例で平成29年度最も多いDPCは、両大血管右室起始症やファロー四徴症等の先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く)に対するカテーテル検査を実施した症例です。件数は212件で、平成28年度の206件からは6件増加しています。また、カテーテル手術を実施した症例では、動脈管開存症、心房中隔欠損症に対して経皮的動脈管開存閉鎖術、経皮的心房中隔欠損閉鎖術を実施したDPCが最も多く、平成29年度の件数は76件でした。
 小児循環器科では、生まれつき心臓の構造に病気のある先天性心疾患患者さんの診断と治療を中心として、学校検診で見つかる不整脈、心筋疾患、肺高血圧、川崎病冠動脈障害、慢性心不全患者さんの診断と治療など、広い範囲の診療内容を担当しております。また患者さんの年齢も、胎児から新生児、乳幼児、学童、そして成人に達した患者さんまで、幅広い年齢層の方々を担当しております。
小児心臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031xx003x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 心室中隔欠損閉鎖術 単独のもの等 - - 15.11 - -
14031xx097x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) その他の手術あり - - 15.70 - -
14031xx101x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳未満) 完全型房室中隔欠損症手術等 - - 37.53 - -
14031xx101x1xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳未満) 完全型房室中隔欠損症手術等 パリビズマブ あり - - 59.22 - -
050163xx01x2xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 持続緩徐式血液濾過等 あり - - 48.56 - -
 小児心臓外科では、先天性心疾患、あるいは小児期の心臓血管疾患に対する外科的治療を行っています。先天性心疾患に対しては、新生児から成人期まで、術後遠隔期のあらゆる病変を含めて全ての外科治療に対応しています。特に複雑先天性心疾患治療の領域では1978年の開設以来これまでに約7,500例の人工心肺を用いた手術、900例以上の新生児手術を手がけています。我々は当センター開設以来、小児循環器科と一体となった診療体制をとっており、24時間365日対応できる体制を整えています。
心臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 中心静脈注射等 あり 144 17.44 23.93 4.17 65.08
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 中心静脈注射等 あり 81 18.54 23.29 9.88 69.15
050080xx9701xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 経カテーテル大動脈弁置換術等その他の手術 あり 中心静脈注射等 あり 58 14.12 21.63 5.17 82.14
050070xx9701xx 頻脈性不整脈 メイズ手術等その他の手術 あり 中心静脈注射等 あり 27 17.70 28.75 0.00 66.81
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 中心静脈注射等 あり 18 18.72 28.38 11.11 60.17
 心臓外科の症例の多様化によりDPCの分散、非DPC症例の増加が特徴的です。また、治療の質の向上を目指し、結果として平均在院日数を減らしています。症例で平成29年度最も多いDPCは、弁膜症に対する弁置換術等を実施した症例です。また、050080弁膜症に対して経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術)を実施した症例数(上記以外のDPCを含む)は、66件ございます。
 心臓外科では虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、慢性心不全などを扱っています。また緊急治療を要するものは、ICU・CCUとの連携のもと24時間受け入れ態勢をとっています。最重症例に対しても積極的に手術を施行し、治療目的として単なる延命ではなく、生活の質(QOL)向上が第一義と考えています。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 59 15.24 12.51 3.39 78.34
050161xx97x10x 解離性大動脈瘤 その他の手術 あり 中心静脈注射等 あり 45 31.11 28.04 28.89 67.38
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 中心静脈注射等 あり 42 20.71 21.40 7.14 68.79
050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 中心静脈注射等 あり 41 20.90 16.80 14.63 78.90
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 中心静脈注射等 あり 35 35.29 28.38 11.43 66.31
 血管外科の症例で平成29年度最も多いDPCは、非破裂性大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を実施した症例です。症例数は【050163xx03x0xx】と【050163xx03x10x】を合算すると、100件となります。
 血管外科では大動脈、肺動脈、および末梢血管の疾患の治療を行っています。大血管を中心に血管疾患の外科治療を担当しています。急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などの急性大動脈症候群にも昼夜をとわず24時間体制で積極的に対応しています。直達開胸手術だけではなく、低侵襲なステントグラフト治療も高齢者や手術リスクが高い患者さんにおこなっています。当センター開設以来胸部大動脈手術は3500件、腹部大動脈手術は2500件を超えており、スタッフ全員が心臓血管外科専門医であるため大動脈疾患以外にも冠動脈疾患、弁膜疾患の合併にも十分対応できます。
周産期・婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術・処置等 なし 定義副傷病 なし 139 9.13 6.18 0.72 0.00
120180xx99xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 手術 なし 99 6.59 6.70 1.01 32.05
14031xx09900xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術・処置等 なし 54 8.83 6.01 0.00 29.02
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 42 13.40 9.75 0.00 34.29
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術・処置等 なし 36 26.28 20.41 2.78 32.03
 周産期・婦人科の症例で平成29年度最も多いDPCは、出生時体重2,500g以上の新生児に対して検査および治療を実施した症例で139件でした。
 周産期・婦人科部では年間約300例の分娩を取り扱っています。センターの特性を生かした妊娠・分娩管理をその中心に据えています。具体的には次の3つを診療の柱としています。①心疾患を持つお母さんの妊娠・分娩管理、②脳血管疾患を持つお母さんの妊娠・分娩管理、③赤ちゃんに心疾患があるお母さんの妊娠・分娩管理です。医学的アドバイスを十分理解していただき、本人の希望、家族の意志を尊重し、他科との協力の元、集約的な管理を行っています。また、産後フォローまでの周産期管理を行っているため、低出産体重で生まれた新生児等の出生後の検査、経過観察入院の件数も多くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1
大腸癌 - - - - - - 1
乳癌 - - - - - - 1
肺癌 - - - 17 - 81 1
肝癌 - - - - - - 1
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
初発患者はUICC-TNM分類から示される病期分類による患者数、再発患者は再発だけでなく、初回治療(がんと診断され初めに計画された一連の治療)後に転移と診断された患者数も含まれます。10人未満の数値は-で表示しております。
解説
がんの病期分類は、がんがどれくらい進行しているのかという病期・進行度を意味し、 Stage0からStageIVまであり、StageIVは最も進行しているがんです。
当院の症例は遠隔転移を認める stage IV が多くなっております。
これは当院がガンマナイフ(定位放射線治療)を有し、転移性脳腫瘍の症例を近隣の医療機関、 がん診療拠点病院から受け入れ、密接な連携を保ち、積極的に診療していることによります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 34 12.88 76.26
重症 10 18.20 80.30
超重症 - - -
不明 - - -
○定義
成人の市中肺炎の患者で、入院契機病名及び最も医療資源を投入し傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎もの。
インフルエンザ等、ウイルス肺炎、誤嚥性肺炎は除外する。
肺炎の重症度をA-DROPを使用して分類しています。
A-DROP:以下の項目のうち入院時(入院中に発生した場合は発症時)の状態に該当する項目の数
 ・男性70歳以上、女性75歳以上
 ・BUN 21mg/dL以上または脱水あり
 ・SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
 ・意識障害あり
 ・血圧(収縮期) 90mmHg以下
0~1:軽症、2:中等度、3:重症、4~5:超重症
○特徴
当院は循環器病の高度専門病院のため、軽症の場合でも循環器疾患の既往があり重症化を危惧され入院となるケースがあります。
市中肺炎は年齢が上がるごとに重症化していることが分かります。
なお、この指標には表されておりませんが、重症および超重症の患者様の7割以上が救急搬送によって搬送されています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 727 19.54 74.58 42.64
その他 159 13.00 71.34 23.27
脳梗塞<ICD10(国際疾病分類)が 『I63$』 に該当する>患者数
本格的な脳卒中ケアユニット(SCU)を国内ではじめて立ち上げ、24時間365日体制で急性期脳卒中患者さんを断らずに受け入れています。脳神経外科と良好に連携し、外科手術が必要な場合は遅れることなく外科治療を受けられます。急性期 診療に引き続き、近隣の医療機関に転院して回復期機能訓練を滞らずに受けられるよう、地域医療連携を推進しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
不整脈科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 367 1.96 4.34 0.27 62.96
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 143 5.76 7.71 2.10 73.22
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 119 2.61 3.80 0.00 53.72
K597-2 ペースメーカー交換術 69 1.74 5.74 0.00 78.59
K599-2 植込型除細動器交換術 46 5.07 5.59 2.17 62.28
 不整脈科部門の手術件数で最も多い手術は、経皮的カテーテル心筋焼灼術で、「心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの」「その他のもの」を合わせると平成29年度は486件実施しています。平成28年度の431件からは55件増加しています。
 経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)は心臓に入れた細い管(カテーテル)の先から高周波を流し、心筋の一部に熱を加えて火傷させ、不整脈の原因をなくしてしまう治療法です。心臓の形態をリアルタイムに表示する最新の3次元マッピング装置や、高い安全性と効果を実現したイリゲーションカテーテルなど、医療技術の進歩により実用可能となった最新の機器を用いてアブレーション治療を行っています。
肺循環科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K570-3 経皮的肺動脈形成術 268 3.68 5.53 0.00 64.83
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 37 2.30 5.70 0.001.96 62.86
K6233 静脈形成術、吻合術(その他の静脈) 14 5.29 5.71 0.00 52.93
K592-2 肺動脈血栓内膜摘除術 13 17.62 39.31 7.69 56.69
K620 下大静脈フィルター留置術 - - - - -
 肺循環器科において、平成29年度最も多い手術は経皮的肺動脈形成術で慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するカテーテル治療です。件数は268件で、平成28年度220件から48件増加しています。
 全国から全国有数の肺高血圧症専門治療施設である当院で治療を受けられています。2番目に多い手術は経皮的心房中隔欠損閉鎖術で心房中隔欠損症に対するカテーテル治療です。成人先天性心疾患の患者さんは心臓だけでなく肺血管にも異常を持つ場合があり、また肺高血圧症を合併することもあります。肺循環科では小児循環器科、小児心臓外科と連携して診断、治療を行なっています。
心不全科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K599-3 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術 17 19.88 21.12 5.88 65.59
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 12 13.17 10.75 0.00 76.75
K595-2 経皮的中隔心筋焼灼術 - - - - -
K5991 植込型除細動器移植術(経静脈リード) - - - - -
K5551 弁置換術(1弁) - - - - -
 心不全科は、弁膜症や慢性心不全の検査入院や急性心不全に対する薬物治療のための入院が多いため、手術件数は少ない状況です。大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療に関しては、心臓外科と心不全科と合同で行っていますが、入院科が心臓血管外科であるため、心不全科の手術数には反映されません。ペースメーカー移植術等必要な場合には、多くは不整脈科へ入院して実施しています。
冠疾患科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 310 2.55 3.34 0.97 71.92
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 134 0.04 12.70 2.99 70.84
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 68 0.01 17.12 4.41 68.85
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 29 1.86 2.55 0.00 72.69
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 28 5.32 7.00 0.00 73.64
 冠疾患科において、平成29年度最も多い手術は急性心筋梗塞、狭心症の治療である経皮的冠動脈ステント留置術です。件数は、「急性心筋梗塞に対するもの」「不安定狭心症に対するもの」「その他のもの」合わせて512件で、平成28年度466件から46件増加しています。
 経皮的冠動脈ステント留置術等のカテーテル治療(PCI)では、ロータブレーター(カテーテルの先端に小さなダイヤモンドの粒を装着した丸い金属を、非常に高速に回転させることで、石灰化した固い病変を削ることができます)や、薬物溶出性ステント(冠動脈ステントを構成するステンレスの金網の表面に再狭窄を予防する効果のある薬剤をコーティングしたものです)など最先端技術を取り入れるとともに、心血管イメージングや機能検査法を組み合わせて必要な時に必要な血管に対してカテーテル治療を実施しています。
血管科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 121 5.43 8.89 16.53 71.82
K6082 動脈塞栓除去術(その他)(観血的) - - - - -
K0843 四肢切断術(指) - - - - -
K6093 動脈血栓内膜摘出術(その他) - - - - -
K567-2 経皮的大動脈形成術 - - - - -
 血管科において平成29年度最も多く実施している手術は、下肢閉塞性動脈硬化症、重症虚血肢、バージャー病等症例に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術です。
 血管科では、本当に血行再建(カテーテル治療や外科治療)が必要な患者さんかどうかを見極めて治療方針を決定します。内科的治療が基本ですが、症状の強い患者さんには血行再建を考慮します。当院の特徴として、重症の患者さんが多く来院されますが、困難なケースを含めても90%以上の手技成功を収めています。またカテーテル治療で治せない場合や、カテーテル治療がふさわしくない場合には外科的治療を選択します。そのために毎週、血管外科や放射線科との合同カンファレンスを行い、それぞれの患者さんに最善と考えられる治療法を提供しています。
重症心不全・移植医療部
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K604-24 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降) 101 6.32 18.75 0.00 46.10
K604-21 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(初日) 18 36.50 107.22 0.00 44.61
K5541 弁形成術(1弁) 13 40.62 206.77 0.00 41.23
K6031 補助人工心臓(初日) - - - - -
K604-22 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(2日目以降30日目まで) - - - - -
 重症心不全・移植医療部において平成29年度最も多い手術は、「植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降)」になります。これは、特発性拡張型心筋症や重症心不全症例に対し植え込型補助人工心臓手術をおこなった後、心機能評価や合併症の加療を行うために再度入院した場合に手術項目に算定することになるためです。
 重症心不全・移植医療部では、実際の診療は心臓血管内科部門、心臓血管外科部門や他の病院各部門と連携して行いますが、平成29年4月現在、350例近いの左室補助人工心臓(LVAD)装着と、95例の心臓移植を行っています。平成28年度は、人工心臓装着数52件(体外式20件、小児用EXCOR2名、植込み型30件)、心臓移植17名(総計95名)で国内最多です。
脳血管内科・脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 67 0.30 22.82 61.19 75.57
K597-3 植込型心電図記録計移植術 10 14.10 3.20 30.00 66.10
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K178-2 経皮的脳血管形成術 - - - - -
 脳血管内科/脳神経内科において、平成29年度最も多い手術は経皮的脳血栓回収術です。件数は67件で、平成28年度59件から11件増加しています。
 頭頚部の主幹動脈が閉塞した急性期脳梗塞に対する血管内治療は、2015年に相次いで有効性を示す研究が報告され、該当する患者さんには積極的に急性期血管内治療を行っております。当院では、日本脳神経血管内治療学会により認定された指導医・専門医資格を有する脳血管内科・脳神経内科医を中心に、脳神経外科と連携して、有効性が高いと見込まれる患者さんを慎重に見極めた上でこの治療を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭) 79 0.91 10.41 13.92 77.66
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 69 1.91 30.07 31.88 64.32
K1781 脳血管内手術(1箇所) 57 6.47 36.96 22.81 60.02
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) 55 3.73 15.18 1.82 30.56
K6092 動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈) 32 5.72 12.34 9.38 74.34
 脳神経外科において平成29年度最も多く実施している主たる手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術で79件。続いてくも膜下出血、脳動脈瘤等の症例に対する脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)で69件、2箇所以上等の件数も含めると75件実施しています。同様に、脳血管内手術においても1箇所では57件ですが、2箇所以上等の件数も含めると80件近くになります。
 国立循環器病研究センター(NCVC)では、2011年1月より国内初の本格的ハイブリッド手術室(Hybrid OR)を稼働しています。ハイブリッド手術とは、その名の通り、全く治療概念の異なる「開頭手術」と「血管内治療」をコラボレーションさせた治療法で、困難な病変に対する安全かつ確実な治療を遂行するための強力な武器となります。従来の独立した手術室・血管撮影室では種々の制限があり実現が困難でしたが、これを可能にするのがHybrid ORで、手術室・血管撮影室の融合により次世代脳神経外科手術の試金石となっています。NCVCでは稼働より1年で15例の患者さん:具体的には、一般的な血管内治療では病変への到達に問題がある症例や、開頭手術のみでは病変の特定が困難あるいは強い侵襲が加わる症例で使用し、いずれも良好な結果を得ています。その他、心臓・大動脈疾患でも使用されており、今後、困難な病変に対する治療のみならず、安全・確実な治療において威力を発揮するものと期待されます。
高血圧・腎臓科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K613 腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術) - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
 高血圧・腎臓科において、平成29年度最も多い手術は腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)です。件数は9件でした。
 経皮的腎血管拡張術による腎血管性高血圧の治療はクリニカルパスを用いることで入院期間の短縮と治療の標準化を進めています。
小児循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K570-3 経皮的肺動脈形成術 59 3.15 5.25 0.00 4.53
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 53 3.30 4.64 0.00 22.06
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 39 3.08 5.49 0.00 17.90
K5761 心室中隔欠損閉鎖術(単独) 27 6.78 21.30 7.41 0.52
K5621 動脈管開存症手術(経皮的動脈管開存閉鎖術) 21 2.48 3.57 0.00 16.38
 小児循環器科において、平成29年度最も多いカテーテル手術は経皮的肺動脈形成術です。症例数は59件で、平成28年度56件から3件増加しています。平成28年度62件で最も多かった経皮的心房中隔欠損閉鎖術は、平成29年度53件で9件減少しています。不整脈に対するカテーテル手術である経皮的カテーテル心筋焼灼術は、平成29年度39件で平成28年度35件から4件増加しています。
 心臓病のお子様達の診断・治療を低侵襲で行うことも大切な課題です。現在では、カテーテル治療数は年間約250例と国内最多の実績があります。とくに心房中隔欠損のカテーテル治療では、全国で最初に導入した施設の一つとして、現在も指導的な役割を果たし続けています。
小児心臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5601ロ 大動脈瘤切除術(上行大動脈)(人工弁置換術を伴う大動脈基部置換術) - - - - -
K564 血管輪又は重複大動脈弓離断手術 - - - - -
K5832 大血管転位症手術(ジャテーン手術) - - - - -
K587 左心低形成症候群手術(ノルウッド手術) - - - - -
- - - - - - -
 小児心臓外科では、先天性心疾患、あるいは小児期の心臓血管疾患に対する外科的治療を行っています。先天性心疾患に対しては、新生児から成人期まで、術後遠隔期のあらゆる病変を含めて全ての外科治療に対応しています。特に複雑先天性心疾患治療の領域では1978年の開設以来これまでに約7,500例の人工心肺を用いた手術、900例以上の新生児手術を手がけています。我々は当センター開設以来、小児循環器科と一体となった診療体制をとっており、24時間365日対応できる体制を整えています。
心臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 109 4.78 14.06 14.68 70.53
K5551 弁置換術(1弁) 71 4.63 14.03 9.86 66.89
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 61 3.82 8.77 9.84 83.54
K5552 弁置換術(2弁) 43 6.49 16.47 9.30 69.98
K5541 弁形成術(1弁) 42 4.52 13.60 4.76 57.57
心臓外科において、平成29年度最も多い手術は「冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)(2吻合以上のもの)」です。症例数は109件で、平成28年度91件から18件減少しています。
 虚血性心疾患に関しては、心臓を止めず人工心肺を用いない心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)を標準術式としています。人工心肺を使わないこ とによ り、脳梗塞、腎不全等の合併症、輸血率が低い手術が可能となりました。グラフトは両側内胸動脈、橈骨動脈などを用いた完全血行再建を基本方針としています。 経皮的大動脈弁置換術は、通常、胸骨正中切開や人工心肺使用下の心停止状態を必要としないため、通常の大動脈弁置換術に比べて手術ダメージがかなり低く、手術後の早期日常生活復帰を可能にします。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 70 4.41 11.57 10.00 78.96
K5611 ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 58 5.09 20.26 13.79 73.22
K5603ニ 大動脈瘤切除術(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術(その他のもの)) 43 3.63 31.58 34.88 71.23
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 41 3.76 15.07 12.20 68.83
K5602 大動脈瘤切除術(弓部大動脈) 21 4.90 27.71 19.05 67.38
 血管外科において、平成29年度最も多い手術はステントグラフト内挿術です。「胸部大動脈に対するもの」と「腹部大動脈に対するもの」を合算すると、症例数は128件となります。
 これまでは大動脈瘤に対する手術法としては、人工血管置換術が大半を占めていましたが、最近になって「ステントグラフト留置術」と呼ばれる体の負担の少ない血管内治療も盛んに行われるようになりました。
 従来の人工血管置換術は、直接大動脈瘤を露出する必要があり、大きな創がなければ手術ができませんでした.しかし、ステントグラフト留置術は足の付け根の小さな創から、カテーテルという細い管を使って折りたたんだ人工血管を大動脈瘤の中に留置する方法ですので、体の負担がとても小さくなります。体の負担が少ない低侵襲な治療法としての特長を生かし、高齢者の患者さんや従来の手術の危険性が高い患者さんを中心にこの方法を実施しています。以前であれば手術侵襲の大きさから大動脈手術をあきらめざるを得なかった患者さんにとっても大きな福音となっています。
周産期・婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 65 12.25 10.05 0.00 33.60
K895 会陰(陰門)切開及び縫合術(分娩時) 38 10.71 6.32 0.00 30.55
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 37 31.08 10.05 0.00 33.19
K8961 会陰(腟壁)裂創縫合術(分娩時)(筋層に及ぶ) 29 13.62 6.41 0.00 31.76
K893 吸引娩出術 28 13.07 7.96 0.00 32.79
 周産期・婦人科において、平成29年度最も多い手術は緊急帝王切開術です。症例数は65件で、平成28年度48件から17件増加しています。
 予定での反復帝王切開、自然分娩がハイリスクな患者様の分娩、分娩時異常に対する帝王切開術(緊急)等の対応を行える体制を整えています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 75 0.61
異なる - -
 入院契機の同一・異なるとは、入院するきっかけとなった病名と、入院期間の主な治療が同一か異なるかを区別しております。

 『手術・処置等の合併症』は、人工的な挿入物の感染(ペースメーカ-植込み等)があります。
 合併症・創部の感染症の発生率は1%未満となっております。
更新履歴
平成30年9月28日
平成29年度国立循環器病研究センター病院指標公開

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