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心臓移植について

臓器移植法改正以降の日本における心臓移植の現状

国内心臓移植数の年次推移2008年国際移植学会で採択されたイスタンブール宣言以降、世界の移植医療分野では自国での移植医療を推進し、渡航移植を抑制しようとする機運が高まり、これまでのように我が国から海外に渡って臓器移植をうけることが困難となりました。このような背景もあり、我が国での臓器移植を促進するために、臓器移植法の改正が検討され、2010年7月に改正臓器移植法が施行されました。
従来の臓器移植法では、脳死下臓器提供の際には臓器提供者本人の書面による同意が生前に行われていることが必須要件でした。このため、臓器提供の意思を生前口頭で表していたような方であっても臓器提供の意思表示を示す書面がなければ脳死下での臓器提供を行えない現実がありました。今回の臓器移植法改正では、本人が臓器提供を望まない意思表示を行っていなければ、御家族の意思により、脳死下での臓器提供ができるようになりました。この改正が行われるまでは、生前の本人の意思を受けての場合も含め御家族が臓器提供を希望しても、本人の書面による意思表示確認ができないために臓器提供を断念した例がありました。今回の改正により、このような臓器提供者本人やその御家族の意思を大切にすることができるようになりました。
臓器移植法が改正された2010年7月以降、脳死下臓器提供数は著明に増加し、これまで年間10例程度となっていた心臓移植が、2010年度23例(うち移植法改正以後が20例)、2011年は31例、2012年は28例行われました。
国立循環器病研究センターにおいても、2010年6例、2011年9例、そして2012年は11例の心臓移植を行っており、1999年以降、国内で行われた心臓移植148例中の実に1/3にあたる52例を当センターで行っています(2012年12月31日現在)。臓器移植法改正により小児からの臓器提供も可能になりましたが、国内では未だ に10歳未満の小児ドナーからの臓器提供は1例のみにとどまっており、今後、成人の心臓移植の推進とともに小児科領域での移植が認知されていくことが期待されています。

植込型補助人工心臓は日本でも保険償還されます。

臓器移植法改正以後の心臓移植数の増加とともに近年重症心不全診療領域における革新的変化として植込型補助人工心臓の保険償還があげられます。
上記に記したように2010年以降心臓移植数は増加傾向にあります。しかし、重症心不全患者が心臓移植適応と判定され、日本臓器移植ネットワークに心臓移植希望患者として登録してから、実際に心臓移植を受けられるまでに3年程度の待機期間が必要です。このような状況の中、待機中に自己の心臓では全身循環を維持できなくなる症例が多くあり、このような症例に対しては補助人工心臓を装着することにより心臓移植までの橋渡し治療(Bridge to Transplant: BTT治療)を行うことができます。
我が国で心臓移植を受けられる患者の9割が補助人工心臓装着患者であり、心臓移植と補助人工心臓治療はそれぞれが切っても切れない関係にあります。
これまで我が国では、国立循環器病研究センターで開発された体外設置型の補助人工心臓のみが心臓移植対象患者におけるBTT治療に対して保険償還されてきました。この補助人工心臓により長期の補助後に心臓移植が実施され、現在元気に社会復帰している方も多くあります。しかし、本機器を用いた場合、移植待機期間の数年間すべてを病院に入院した状態で過ごすこととなり、患者の生活の質(Quality of Life)は低いと言わざるを得ませんでした。欧米では、早くから体内植込型の補助人工心臓が臨床応用され、最近では小型化された機器が用いられるようになり、BTT治療のみならず、心臓移植の適応のない患者の心不全治療としても使用されてきています (なお、このような使用はDestination Therapy(DT)と呼ばれています。)
2011年4月以降、我が国においても小型化された植込型補助人工心臓がBTT治療に対して保険償還され、長期の待機を必要とする心臓移植待機患者にとっての福音となっています。植込型補助人工心臓を装着しますと、装着術後全身状態が安定すれば、リハビリを行うとともに人工心臓についての勉強やトレーニングを行うことで、退院が可能となります。そして、自宅、もしくは植込型人工心臓の管理が可能な施設のお近くに転居し、ご家族と過ごすことができるようになります。植込型補助人工心臓が積極的に用いられるようになったことは、臓器移植法改正と並び、重症心不全患者に対する治療において革新的な出来事であり、患者にとっても治療選択が広がるとともに、移植待機期間中のQuality of Lifeが大幅に改善されることから非常に意義深い変化といえます。

最終更新日 2013年04月04日

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