看護部
研究活動の概要

看護部における研究活動は、循環器病看護の知識・技術の向上を目指すために必須の活動であり、看護部の教育研修プログラムの一環として、認定・専門看護師やCVENを講師とし、看護研究の意義、文献検索、倫理的配慮、研究計画書の作成の仕方などの学習を継続している。また、『NCVC看護研究会』が中心となり、テーマ「イノベーション看護の力」とし広く地域の看護職の方を含め循環器看護について深めていきたいと考え、2016年3月「第6回NCVC看護研究学会」(於：グランフロント大阪　コングレコンベンションセンター)を開催した。

学会では、１４題の口述発表、ランチョンセミナーでは「循環器領域における緩和ケア」をテーマとして、医師の立場から重症心不全・移植医療部専門修練医の久松恵理子講師、看護師の立場からは緩和ケア認定看護師の河野由枝講師を招いた。

また特別セミナーでは、西尾久美子講師（京都女子大学現代社会学部教授）を演者に迎え「伝統文化に学ぶ自立的人材の育成　京都舞子と能楽師の事例」のテーマで講演会を実施した。参加者は一般参加を含め３４４名の参加があった。日々病棟で取り組んでいる看護実践を積極的に共有し、お互いに刺激を受け、切磋琢磨できる機会となった。

今年度の看護部で取り組んだ研究テーマは、当センターならではの高度で特異的な診療を必要とする難易度の高い症例の看護に関するもの、患者・家族指導や支援に関するもの、看護師の実践能力の評価、教育・人材育成に取り組んだもの、看護管理者の視点からのものなど、多岐に渡っている。その取り組みの成果を学会及び学術集会で発表することができた。

2015年の主な研究成果
  1. 今年度に倫理委員会で決定通知を受けた研究
    1. 研究助成による研究
      1. 循環器病研究開発事
        • 循環器専門病院における看護基礎情報の解析及び再構築に関する研究
      2. 公益財団法人循環器病研究振興財団　循環器疾患看護研究助成
        • 循環器専門Ａ病院における院内心肺蘇生に関する後ろ向き観察研究
        • 左肋間開胸による人工血管置換術を受けた患者に対するＮＨＦの効果
    2. 倫理委員会承認研究
      1. 新人看護師のストレス要因の経時的変化と離職意向との関連
      2. 内科系心臓血管集中治療科（CCU）における睡眠バンドル介入の効果
      3. 心臓血管内科集中治療室における早期リハビリテーションに関する安全性の検討
      4. ペースメーカ新規植え込み術（ﾜﾙﾌｧﾘﾝなし）ｸﾘﾃｲｶﾙﾊﾟｸﾘﾃｲｶﾙﾊﾟｽのバリアンス調査による現状分析と今後の課題
      5. 国立循環器病研究センター専門看護師（ＣＶＥＮ）の認定取得を阻害する要因の現状調査
      6. 心房細動のアブレーション：ダビガトランorアピキサバン内服患者のクリテイカルパスのバリアンス調査による現状分析と今後の課題
      7. 左肋間開胸による人工血管置換術を受けた患者に対する酸素療法の検討
      8. 副看護師長の看護管理能力育成過程で必要な自己教育力を促進・阻害する因子の現状調査
      9. 植え込型補助人工心臓退院プログラムに関する後ろ向き観察研究
      10. デバイス植え込み患者の外来看護相談に関する後ろ向き観察研究
      11. 脳卒中関連病棟に勤務する看護師が重要視している項目に対する現状調査
      12. 半側空間無視に対する空間を広げるアプローチに関する研究
      13. 脳神経外科疾患で手術を受けた患者の経口摂取までの期間についての後ろ向き研究
      14. 脳外科手術後患者に対する適正な枕の使用方法とは　～素材別、頭部の体圧・ずれの比較検討を通して～
      15. 適切な枕の使用方法の検討　～除圧枕の当て方による除圧について～
      16. 脳血管疾患患者における術後せん妄状態発症の要因分析
  2. 症例報告
    1. 心臓リハビリテーションに関するもの
    2. 植え込み型重症心不全患者の補助人工心臓装着中の看護および心臓移植後患者の看護に関するもの
    3. 安全な看護の提供を目的にアルゴリズムシートの評価や教育方法に取り組んだもの
    4. 循環器疾患看護の質評価、質向上に向けた人材活用および教育
    5. 循環器疾患のクリテイカルパスに関連したもの
    6. 臓血管外科及び心臓内科集中治療室における臨床現場での看護技術の検討に関するもの
    7. 循環器疾患患者の心理及び緩和ケア、在宅看護に関連したもの
    8. 「職場風土」「働きやすい職場環境」など看護師長の役割として看護管理者の視点に関するもの

【総演題数６３題を以下の学会及び学術集会への院外発表を行った】

　　　日本脳卒中学会総会、日本循環器学会学術集会、日本定位放射線治療学会、
　　　日本医療マネジメント学会学術総会、ＣＮＳ学会、日本クリティカルケア看護学会学術集会、
　　　日本小児看護学会学術集会、日本心臓リハビリテーション学会、日本臨床脳神経外科学会、
　　　脳神経看護研究会、看護管理学会学術集会、日本心臓移植研究会学術集会、国立病院総合医学会、
　　　日本循環器看護学会、日本心不全学会学術集会、日本クリニカルパス学会、日本人工臓器学会、
　　　国立病院看護研究学会、日本成人先天性心疾患学会、心臓血管外科ウインター学術集会、
　　　日本集中治療医学会、日本医療マネジメント学会大阪支部学術集会、
　　　日本心臓リハビリテーション学会、人工心臓と補助循環懇話会