臨床栄養部
研究活動の概要

臨床栄養部は、栄養管理部門とNST活動を統括している。

栄養管理部は循環器疾患治療を目的に、塩分制限・脂質組成・エネルギー量等を考慮すると共に、嗜好的にも満足できる患者食に取り組み、かつ食品・経腸栄養製品・栄養補助食品等も駆使し患者の栄養管理を行っている。また、循環器病の専門病院としてワーファリン服用患者のワーファリンコントロールのための食事の選択のひとつとして低ビタミンK食提供対応も行っている。さらに、脳卒中後の咀嚼・嚥下障害に対応した嚥下訓練食も病状によりステップアップができるよう0~3および嚥下移行食の4段階を提供している。

栄養食事指導においては、栄養治療の重要性を認識してもらうべく入院・外来患者に個別栄養指導、集団栄養指導を行うとともに、外来患者や家族を対象にした調理講習会も定期的に開催している。

栄養管理の重要性は、生活習慣が要因として起こる循環器病疾患の治療・予防策として広く認められているところである。当部は循環器病の専門病院の治療食の中心を担う責任部門として、研究・教育活動を進めている。これまで作成してきた各種の治療食に関するコンテンツを知的資産部と協力し国循の知的資産としての活用化に取組んでいる。その中で、塩分やカロリーにも配慮した美味しい病院食を目指しており、その弁当作成やデジタルレシピの事業化が進められ、国循弁当の販売は、大阪、京都、東京、千葉と全国に広がり、さらに、住友商事、阪急電鉄などの社員食堂でも国循食の提供がなされ、メディアで盛んに取り上げられた。デジタルレシピは大阪市大、大阪府大と連携し、健康献立SORAとして糖尿病におけるカーボンコントロールや食育の面も充実させ、パソコンやスマートフォンによる一般者の利用も拡大した。さらに、患者はじめ多方面から要望のあった国循の食事をレシピ本にまとめた「国循の美味しいかるしおレシピ」は25万部をこえるベストセラーとなり、2013年12月に出版された続「国循の美味しいかるしおレシピ」も8万部を発行している。

NST(Nutrition Support Team)は、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師を含む多職種共同で栄養状態の把握から適切な栄養投与に関する治療活動を進めている。その一環として、栄養評価を基に中長期腸管不使用による下痢の改善を図るための経口食の内容および投与法の検討、褥瘡者の栄養介入、薬効減弱の影響回避の食事内容の見直しを進めている。また、これらの成果を日本静脈経腸栄養学会や国立病院総合医学会および日本心臓病学会で発表した。

研究業績
  1. 村井 一人. 院内を飛び出した病院食 ー国循食の均てん化をめざしてー. 臨床栄養. 122, 410-411, 2013.
  2. 村井 一人. スキルアップ外来栄養食事指導 循環器疾患. 臨床栄養. 123, 508-510, 2013.
  3. 国立循環器病研究センター. 続 国循の美味しい! かるしおレシピ. . , , 2013.
  4. 中谷 武嗣, 村井一人, 竹田博幸, 上ノ町かおり, 佐藤友紀, 北川冬華, 時田和敏, 糸林俊夫, 高木 洋子.国循病院食の改良.循環器病研究の進歩,34,4-10,2013.