麻酔科
研究活動の概要

麻酔科は20名前後で2013年は2400症例の全身管理を行いました。約半数は心臓血管手術管理であり、20%程度が緊急手術となっています。そのため、夜間祝祭日は麻酔科医3名体制で複数の緊急手術に対応しております。大動脈解離、新生児緊急手術などが並列で夜間に施行されることも多くあります。また、心臓外科術後集中室管理に2-3名の麻酔科医を平日昼間は派遣しております。

臨床研究では近赤外分光法とICGを利用した脳血流測定や体性感覚誘発電位を利用した脊髄機能モニタリングでテータ蓄積をしております。フィブリノーゲン製剤やクリオプレシピテート製剤などの使用とその効果についてもローテムなどを使用して計測を行っています。

経食道心エコーのデータはほとんどの心臓大血管手術で収集してハードディスクにすべて保存しております。このデータからの解析により心不全症例での心機能、右心機能などの解析を行っています。また、この多くのデータを利用してTEE講習会や、日本心エコー図学会などの講演をおこなっています。

今年度は日本心臓血管麻酔学会を主催するため、日本全国の心臓麻酔関連施設との連携を深めております。日本における心臓麻酔の中心的施設として活動できるように多種多様な発信を行う予定としております。心臓大血管手術もこの数年でステント手術、小切開手術、ロボット手術、カテーテル弁手術など大きく変遷してきました。心臓麻酔も追従して進歩していく必要があります。新しいハイブリッド手術室なども必要となるでしょう。

エコーガイド下神経ブロック、3D経食道心エコー、新しい脳脊髄モニタリング、新しい止血製剤など多くの機材、道具を有効に使用して適切かつ迅速な診断と治療をおこなえるよう対応していくことが重要となります。より多くの優秀な心臓麻酔科医を育成していくための研修プログラムの構築が大切だと考えています。

2013年の主な研究成果

近赤外線分光法装置数種類を利用して簡易的能血流測定を測定した。また、周術期TEEによる評価診断を精度よくおこなうため、大動脈弁狭窄、僧帽弁形成術における至適人工弁サイズ、人工リングサイズの計測を施行した。東京、大阪での麻酔科医を対象としたTEE講習会で講師として講演をおこなった。胸腹部大動脈瘤手術症例においてMEP測定、脊髄スパイナルドレナージの有無についての全国調査をおこなっている。

研究業績
  1. Yoshitani K, Inatomi Y, Kuwajima K and Ohnishi Y. Anesthetic management of pregnant women with stroke. Neurol Med Chir (Tokyo). 53, 537-540, 2013.
  2. Yoshitani K, Kuwajima K, Irie T, Inatomi Y, Miyazaki A, Iihara K and Ohnishi Y. Clinical validity of cerebral oxygen saturation measured by time-resolved spectroscopy during carotid endarterectomy. J Neurosurg Anesthesiol. 25, 248-253, 2013.
  3. 大西 佳彦. β遮断薬の術前投与の実際 伊藤 浩編. β遮断薬を臨床で活かす. 135, 137, 2013.