薬剤部
研究活動の概要

近年の医療において薬物療法の果たす役割は大きく、特に医薬品の適正使用は、治療に影響を与える重要な要因である。このような中、薬剤部では、医薬品の適正使用の推進を目的とし、調剤、製剤、医薬品管理等の基本的な薬剤業務に加え、薬剤管理指導、医薬品情報管理、副作用モニタリング、薬物血中濃度モニタリング等の業務を行ってきた。当センターの基本方針に従い、薬剤部における研究活動は、医薬品の適正使用や薬剤管理指導に加え、循環器用薬等の薬物動態や薬剤疫学に焦点を合わせた研究を中心に行っている。

具体的には以下のテーマに基づいた研究を実施している。

  1. 抗不整脈薬、免疫抑制剤、抗菌薬の薬物動態に関する研究
  2. 薬物血中濃度モニタリング(TDM)の臨床的有用性に関する研究
  3. 循環器用薬に関する薬剤疫学研究
  4. 副作用や相互作用に関する調査研究
  5. 薬剤業務に関連する調査研究
2012年の主な研究成果

2010年11月~2011年4月までの期間のICU入室患者のうち、成人の心臓外科および血管外科の患者を対象として、特定集中治療室管理算定加算の状況を調査した。その結果、緊急入院した患者においての加算がきわめて少なかったことが明らかになった。今後、この緊急入院した患者加算の効率を上げることが課題であると考えられた。

研究業績
  1. 中蔵 伊知郎, 山下 大輔, 杉山 喜久, 和田 恭一, 老田 章, 小原 延章. 外科系集中治療病棟における特定集中治療室管理料算定患者に対する「薬剤管理指導料1」算定状況と患者背景. 医療 66, 615-619, 2012.
  2. 桒原 健. HIV-1 感染症「服薬指導・薬剤情報」. 今日の治療指針.総編集, 198, 2012.
  3. 島本 裕子, 和田 恭一. 【保存期CKDのマネジメント】 ケーススタディ 保存期CKD患者の管理 心不全に対する強心配糖体投与の管理. 薬局 63, 3127-3132, 2012.
  4. 和田 恭一. 病気と薬のパーフェクトBOOK 2012年度版. 薬局増刊号 63, 6-13, 2012.
  5. 桒原 健. 病気と薬のパーフェクトBOOK 2012年度版. 薬局増刊号 63, 737-740, 2012.
  6. 生駒 歌織, 小原 延章. 【抗血栓療法と薬の使い方】 抗血栓薬の適正使用の実際 国立循環器病研究センターの取り組み. 薬事 54, 1139-1144, 2012.
  7. 和田 恭一. 【抗血栓療法と薬の使い方】 抗血栓薬の特徴と適正使用のポイント. 薬事 54, 1123-1131, 2012.
  8. 堀部 明美. 【救急医療と薬剤師】 特色ある薬剤師業務 循環器救急への関わり. 薬事 54, 421-427, 2012.