看護部
研究活動の概要

看護部における研究活動は、循環器病看護の知識・技術の向上を目指すために必須の活動であり、看護部の教育研修プログラムの一環として、リサーチナースやCVENを講師とし、看護研究の意義、文献検索、倫理的配慮、研究計画書の作成の仕方などの学習を継続している。また、『NCVC看護研究会』が中心となり、2013年2月「第3回NCVC看護研究学会」を開催した。12題の口述発表と8題のポスター提示、そして独立行政法人国立病院機構東京医療センター教育研修部臨床研修科医長/臨床研究センター臨床疫学研究室長の尾藤誠司氏を迎え「本当に知りたいことをリサーチクエスチョンにしよう」の特別講演というプログラムで行い、206名の参加があった。日々の看護実践の中から、看護研究への意識付けへと大いにつながる内容であった。

今年度の、看護部の各研究テーマは、循環器疾患看護に関するもの、患者・家族指導や支援に関するもの、看護師の実践能力の評価、教育・人材育成に取り組んだもの、看護師のストレスに注目したものなど、多岐に渡っている。その取り組みの成果を学会及び学術集会で発表することができた。

2012年の主な研究成果
  1. 研究助成による研究
  2. 循環器病研究開発事業
    財団法人循環器病研究振興財団 循環器疾患看護研究助成に以下の4題

    • 心臓外科急性期看護に求められる看護実践能力の獲得とその向上に向けた参加型教育プログラム(クリニカルラダー)の開発に取り組んだ。
    • 先天性心疾患に対する手術を受けた子供のICU入室中の父親に焦点をあて、その父親の思いを明らかにすることで、父親に対する具体的な働きかけの示唆を得た。
    • 心臓カテーテル検査を受ける1~5歳までの小児に対し、安全安楽なカテーテル固定板の改良に取り組んだ。
    • 当CCUでは緊急的PCPS(経皮的心肺補助)スタンバイ症例においてCCU看護師がプライミングを行っている。そこで、迅速にプライミングが実施できるよう、視覚効果と繰り返し学習できる教育DVDの作成を試みた。そしてその教育効果の実態を調査した。

    財団法人循環器病研究振興財団 日本光電研循環器病研究助成金に以下の2題

    • 内頚動脈内膜剥離術(CEA)及び頚動脈ステント留置術(CAS)の血行再建術を受けた患者に対し、安静度の拡大時は、脳内血流に急激な変動が生じないように十分に注意しながらケアを実践している。そこで経皮的混合血酸素飽和度モニタを測定することで、簡便に脳内血流の評価を正しくでき、安全な援助行為のエビデンスを得ることを目的に取り組んだ。
    • 人工呼吸器装着患者の看護経験が無い、又は非常に少ない看護師が人工呼吸器装着患者の看護実践能力を獲得するためのシミュレーション教育プログラムの構築に取り組んだ。

  3. 循環器疾患看護の専門性を発揮した研究
    • 脳卒中に関する予防・治療における看護師の役割についてなど4題 
    • 心臓リハビリテーションに関するもの4題 
    • 大血管外科手術後でNPPV装着拒否患者の呼吸ケア介入や体圧分散用具の効果的な使用による褥瘡予防ケアに関するものなど5題 
    • 患者・家族指導や支援に関するものとして、先天性心疾患を有する乳児を持つ両親のBLS集団指導前後での意識の実態を明らかにする研究や胎児診断を受けた先天性心疾患児の母親への妊娠期からの支援のあり方に関するものなど5題 
    • 補助人工心臓装着患者とその家族への在宅管理及び退院指導に関するものなど5題 
    • 教育・人材育成に取り組んだものとして、心臓外科及び脳神経外科集中治療室における臨床現場での教育手法の検討に関するもの4題
    • 転倒・転落インシデントの減少に向けての取り組みや心拍監視モニタアラームに対する看護師の意識調査など医療安全の観点から取り組んだもの4題
    • 心臓外科超急性期看護を展開する集中治療室に焦点をあてて、看護師のストレスの実態を明らかにする取り組みやどのような職場環境を働きやすく魅力あるものと認識しているかの調査研究など2題 

    総演題数49題を以下の学会及び学術集会への院外発表とつなぐことができた。

    日本循環器看護学会、日本集中治療学会、日本脳卒中学会、日本小児循環器学会、日本小児保健協会学術集会、胎児心臓病母体支援研究会、日本看護科学学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本臨床補助人工心臓研究学会、人工臓器学会、日本生体医工学会大会、日本看護研究学会学術集会、日本冠疾患学会学術集会、心臓血管外科ウィンターセミナー、日本手術医学会、日本創傷・オストミー・失禁管理学会、日本褥創学会学術集会、国立病院総合医学会、国立病院看護研究学術集会、日本緩和医療学会、医療の質・安全学会学術集会、日本医療マネジメント学会、日本看護協会成人看護Ⅰ学会、日本看護協会看護管理学会、近畿看護学会