医療安全室
研究活動の概要

院内の医療安全管理体制の確保と推進を行うために、副院長を委員長とした「医療安全管理委員会(医療法設置義務)」を設置している。医療安全管理委員会の目的達成のため、医療安全管理の実務を担当する部署として、「医療安全室」が設置(平成14年10月~)されている。医療安全室は室長、医療安全管理者以下20名(併任含む)で構成している。

加えてリスクマネージャー(医師部門27名、薬剤師・技師(士)部門7名、看護師部門24名、事務管理部門3名)を任命し、医療安全室との連携・協同のもと、院内各部署の医療安全活動を展開している。

医療法に基づく活動
  1. 医療安全に係る委員会の活動
  2. 会議名称回/年主な審議内容
    医療安全委員会12医療安全確保に係る事項全般
    医療安全室全体会議12医療安全室WG活動、インシデント事例分析後の対策検討
    医療安全室コアメンバー会議(1回/週)47インシデント事例分析(162件)、医療安全相談窓口など患者家族への対応の協議
    医療安全推進担当者部会(医師・薬剤師・技師(士)合同部会)12インシデント再発防止策など医療安全の具体的方策の検討
    医療安全推進担当者部会(看護師部会)12インシデント再発防止策等医療安全の具体的方策の検討、インシデント事例分析演習、テーマ別院内ラウンド

  3. 医療安全管理指針の整備
  4. ○平成24年7月 医療安全推進指針・医療安全推進マニュアル第18次改定・配布
    ・・・・改訂の主な内容は、医療安全管理指針、医療安全管理に関する規定、医療安全管理マニュアル、医薬品の安全使用のための業務手順書、医療機器保守管理指針
    ・・・・新たに電子カルテに関する項目、ドクターハートの放送と一般放送との区別、行動制限の記録に関する使用基準、ICの説明範囲、自殺防止、転倒転落時レントゲン撮影法、バルーンカテーテル自己抜去の対応について、外来患者の採血後の痛み・しびれ等を訴えた場合の対応手順、経管栄養チューブ挿入時の位置確認のためのルール、埋込型LVAS装着患者の移動について、MRI:起こり得るエラーや事故と対策、Piの実施について、病院情報システム、IDが二重登録と成った場合、先進医療・治験推進部、調整TPN製剤の払い出し、入院時使用医薬品の確認、医療機器管理台帳の整備、平成23年度に実施した保守管理

  5. 院内医療事故等情報収集・分析
  6. ○平成24年度インシデント・アクシデント報告件数
    報告件数医師(%)薬剤師・技師(%)看護師(%)運営局(%)
    インシデント3304127(3.8)133(4.0)3012(91.1)10(0.3)
    アクシデント3221(65.6)7(21.8)

    ○インシデント再発防止対策等院内安全の確保(抜粋)

    • メディーセーフ更新(病棟配布)
    • 睡眠導入剤使用検査の検討
    • 病室コンセント配置
    • 院内字雑予防
    • 患者誤認、フルネームキャンペーン
    • 要注意患者申請書
    • カテーテル室人工呼吸器の配置・運営に関する手順
    • 注射薬の器材への吸着・収着とDEHPの溶出について
    • MRI使用可能ストレッチャーの注意喚起へ向けたテープ表示
    • 点滴ポンプの滴下表示や流量確認の注意喚起

  7. 職員研修の実施
  8. ○全職員対象講習会(受講率100%)

    • 「心肺蘇生2010ガイドラインの変更点を学ぶ」(受講率:100%)
      国立循環器病研究センター 医療安全管理部長 横山 広行先生
    • 「元気で安全な病院づくりの社会心理学」(受講率:100%)
      熊本大学 教育学部付属教育実践総合センター 吉田 道雄先生

    ○テーマ・対象別研修
    講演・講義新採用者対象医療安全講義
    医療訴訟ガイダンス「医療訴訟の実情と判例」
    医療コンフリクト・マネジメント研修「医療メディエーション~国循版~」
    MRI医療安全講習会
    シミュレーショントレーニング新採用専門修練医・レジデント対象医療安全演習
    オーダリング、気道管理、大腿動脈穿刺、エコーガイド下CV挿入、CPR
    DC、カルテ記載、インフォームドコンセント
    新採用看護師対象医療安全演習
    心肺蘇生実技研修
    ME機器研修人工呼吸器研修(Servoⅰ, AVEA, Ⅴ60, BiPAP, BabyLog, Hamilton, RTX,)
    DuraHeartプロテクトカバー研修会
    HeartMateII説明会

  9. 医療安全相談窓口
  10. ○特になし

その他の2012年の主な活動
  1. 医療安全ワーキンググループ活動
    • 教育研修:医療安全講習会及びNCVC版医療メディエーション研修「基礎編」 2日間講習 29名受講
    • カルテ指示確認:電子カルテチェック(回診記録、IC記録、カンファレンス記録、説明者と立会い者名の有無、患者・家族の反応、IC対象者と患者の続き柄の記載、指示コメントの終了日の記載、IC記録の実施日時の記載
    • 心肺蘇生事例分析:「院内心肺蘇生経過記録」テンプレート記事入力
    • 医薬品安全管理:患者限定医薬品の新年度更新手続きについて
    • 医療機器安全管理:人工呼吸器勉強会、DrCar搭載の人工呼吸器研修、ME機器中央管理(輸液ポンプ・シリンジポンプ)
    • 安全な手術:カテのタイムアウト実施に向けて
    • 患者誤認防止:患者フルネーム呼称確認キャンペーン、病棟ラウンド
  2. 全国医療安全共同行動
    • 参加テーマ:医療安全推進室ワーキンググループ活動
    • 医療安全共同行動フォーラム参加
  3. 院内事例検討会・医療事故調査委員会
    • 院内事例検討会:11例
    • 医療事故調査委員会:開催なし
  4. 重症回診
    • 162例実施
  5. その他
    • 院内ラウンド(フルネーム呼称活動)
    • 医療安全ニュース11回発行
研究発表
  1. 岡田美子:心拍監視モニターに対する看護師の意義 第7回医療の質・安全学会学術集会 平成24年11月23~24日
研究業績
  1. 井上 知美, 高田 幸千子, 横山 広行, 大西 純子, 嘉田 晃子, 米本 直裕, 小竹 武, 野々木 宏. 心肺蘇生講習会実施による病院職員の救命意識の変化. 日本臨床救急医学会雑誌 15, 401-407, 2012.
  2. 横山 広行, 野々木 宏. 【蘇生科学と教育:市民へのアプローチ(最前線)】 識る 新しい救急システムについて. Heart View 16, 1050-1055, 2012.
  3. 横山 広行. 心不全をマスターする. 心不全末期の対応, 268, 2012.
  4. 野々木 宏, 横山 広行. 循環器疾患と精神疾患. 心不全の緩和ケア, 2012.