周産期・婦人科では母体心臓病合併妊娠の管理を年間約100例、母体の脳血管障害合併妊娠の管理を約20例、胎児心臓病に関する妊娠、出産の管理を年間約60例行っています。

近年、先天性心疾患の治療成績が向上し、生殖年齢に達することが増えてきています。心疾患を持つ女性の妊娠について妊娠前コンサルトを受ける事も多くなってきております。心臓内科、小児循環器科と連携をとりつつ、それらのハイリスク妊娠管理を日々行っております。肺高血圧、弁膜症、機械弁合併妊娠など、数多くのハイリスク妊娠分娩の依頼を全国より相談を受けるようになっております。マルファン症候群では遺伝診断科と協力し、遺伝診断、カウンセリングを行ないながら、妊娠中に必要があれば血管外科で置換術を行なってもらっています。その後の分娩までの管理も含めて貴重なノウハウが蓄積されています。

脳血管障害合併妊娠としては、もやもや病、血管腫、脳動静脈奇形合併妊娠などの脳出血のハイリスク妊娠の管理を行なっています。

近年、一次分娩施設における胎児心臓病のスクリーニングに対する関心、技術が著明に上昇していますが、当科としても紹介された症例に対して心臓の治療内容を図で示すなど、誠意ある紹介状を返すようにしており、また紹介施設に対して定期的に症例のフィードバックを行うなど、地域産婦人科に対するレジオナリゼーションを大切にするよう心がけています。さらに、地域でのスクリーニング精度の向上や円滑な連携のためにセミナーを開催しています。

1. 胎児頻脈性不整脈に関する多施設共同研究（厚生労働科学研究補助金「科学的根拠に基づく胎児治療法の臨床応用に関する研究（左合班）」）の中核施設としてプロトコールを作成し2010年から5年間の前向き研究を開始するに至っている。
2. 妊娠に関連する脳血管障害の全国調査の事務局として本邦での全体像の把握や治療戦略の策定に貢献した。
3. 周産期心筋症に関する全国調査を行い、本邦における実態調査を行った。さらに研究を進め、前向き登録をはじめ、病態解明の研究を進めている。
4. 母体心疾患合併妊娠の研究成果を2011年にはマルファン症候群、周産期心筋症、2012年にはさらに大動脈炎症候群などの合併妊娠につき論文投稿した。

1. Kamiya C. A., Iwamiya T., Neki R., Katsuragi S., Kawasaki K., Miyoshi T., Sasaki Y., Osato K., Murohara T. and Ikeda T. Outcome of pregnancy and effects on the right heart in women with repaired tetralogy of fallot. Circ J 76, 957-63, 2012.
2. Katsuragi S., Omoto A., Kamiya C., Ueda K., Sasaki Y., Yamanaka K., Neki R., Yoshimatsu J., Niwa K. and Ikeda T. Risk factors for maternal outcome in pregnancy complicated with dilated cardiomyopathy. J Perinatol 32, 170-5, 2012.
3. Katsuragi S., Yamanaka K., Neki R., Kamiya C., Sasaki Y., Osato K., Miyoshi T., Kawasaki K., Horiuchi C., Kobayashi Y., Ueda K., Yoshimatsu J., Niwa K., Takagi Y., Ogo T., Nakanishi N. and Ikeda T. Maternal outcome in pregnancy complicated with pulmonary arterial hypertension. Circ J 76, 2249-54, 2012.
4. Miyoshi T., Maeno Y., Sago H., Inamura N., Yasukohchi S., Kawataki M., Horigome H., Yoda H., Taketazu M., Shozu M., Nii M., Kato H., Hayashi S., Hagiwara A., Omoto A., Shimizu W., Shiraishi I., Sakaguchi H., Nishimura K., Ueda K., Katsuragi S. and Ikeda T. Evaluation of transplacental treatment for fetal congenital bradyarrhythmia: - nationwide survey in Japan. Circ J 76, 469-76, 2012.
5. Ohshima M., Yamahara K., Ishikane S., Harada K., Tsuda H., Otani K., Taguchi A., Miyazato M., Katsuragi S., Yoshimatsu J., Kodama M., Kangawa K. and Ikeda T. Systemic transplantation of allogenic fetal membrane-derived mesenchymal stem cells suppresses Th1 and Th17 T cell responses in experimental autoimmune myocarditis. J Mol Cell Cardiol 53, 420-8, 2012.
6. Takahashi Yuichiro, Kawabata Ichiro, Sumie Masahiro, Nakata Masahiko, Ishii Keisuke, Murakoshi Takeshi, Katsuragi Shinji, Ikeda Tomoaki, Saito Mari, Kawamoto Hiroshi, Hayashi Satoshi and Sago Haruhiko. Thoracoamniotic shunting for fetal pleural effusions using a double-basket shunt. PRENATAL DIAGNOSIS 32, 1282-1287, 2012.
7. 吉松 淳. 【知っておきたい重症産褥合併症】 産褥期の脳出血. 産科と婦人科 79, 1109-1113, 2012.
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12. 神谷 千津子. 【これが決め手!産婦人科医が知っておきたい周産期疾患マーカー】 周産期(産褥)心筋症と診断マーカー　妊産婦死亡. 産婦人科の実際 61, 1311-1318, 2012.
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